遺言

Q.遺言ができるのはどういう事項ですか。
A. 近年、遺言を作成しておきたいという人が増えています。しかし、まだ遺言について誤解している人が多いので、この機会に正しい基礎知識を身につけましょう。
 まず、遺言とは死後の法律関係を定めるものですから、例えば、「私の死後は兄弟仲良く暮らすように」という遺言は精神的には重要な意味があるとしても、法律関係ではありませんから、法的効力がありません。遺言により、法的効力が生じるのは、1.認知、2.財産の処分すなわち遺贈と寄附行為、3.後見人の指定、後見監督人の指定、4.相続人の廃除および廃除の取消、5.相続分の指定または指定の委託、6.遺産分割方法の指定または指定の委託、7.遺産分割の禁止、8.相続人相互の担保責任の指定、9.遺言執行者の指定または指定の委託、10.遺留分減殺方法の指定の10種です。
Q. 遺言はどういう場合に作成したらよいでしょうか。
A.遺言を作成しない場合は民法に定める法定相続により相続が定まり、自分の意に沿わないケースも出てきます。一般に、次のようなケースは遺言を作成した方がよいと言えるでしょう。

1.両親が死亡しており、子どもがいない場合 法定相続では、配偶者と本人の兄弟姉妹に相続権が生じますが、遺産を配偶者のみに相続させるという遺言を作成すれば、そのとおり法的効力を生じます。

2.内縁の妻や認知したい子どもがいる場合 法定相続では婚姻していない以上、内縁関係にある者には相続権が認められませんが、遺言によれば内妻のように法定相続人以外の者にも遺産を残すことができます(これを「遺贈」と言います。)。 また、生前に認知していなくても遺言により認知することができ、これにより認知された子は法定相続人になります。

3.先妻の子と後妻いる場合 本人が後妻と自宅に同居していた場合、残された後妻は自宅にそのまま住みたいと望むのが一般ですが、後妻に自宅を相続させるという遺言を作成しないと、先妻の子にも自宅について相続権が生じますから、自宅の処分をめぐってトラブルが生じがちです。

4.亡くなった息子の妻に長年世話になった場合 亡くなった息子の妻に相続権はありませんが、長年看護してくれたような場合は、感謝する意味で遺言により遺産を遺贈することができます。
Q. 遺言書はどのように作成するのですか。
A.遺言の種類とその方式は民法の規定によらなければならず、規定に反すると無効になります。遺言は必ず書面にしなければなりません。なぜなら、遺言は死後に効力を生じますが、本人の意思は死後に確認できないので、遺言意思を書面によって明確にする必要があるからです。

遺言には普通方式と特別方式があり、よく利用されるのは、普通方式のうち、自筆証書遺言と公正証書遺言です。
自筆証書遺言はすべてを自筆で書く遺言です。遺言内容の全文と作成年月日、氏名を書き、捺印しなければなりません。自筆証書遺言は作成者が本人であることを確認する必要がありますので、パソコンやタイプライターで作成したら無効となります。公証人や証人を必要としないので費用をかけず、人に知られずにいつでも作成できる利点はありますが、方式や表現に不備があれば遺言が無効になってしまうので慎重に作成する必要があります。また、自筆証書遺言は相続開始後家庭裁判所の検認という手続をしなければなりません。
公正証書遺言は公証人が作成し、遺言者と証人が内容の正確であることを承認してから、各人が署名押印する遺言です。費用がかかり、2人以上の証人を必要としますが、原本が公証役場に保管されるので、紛失、隠匿等の心配もなく安全です。遺言者が病気、高齢等で公証役場に行けない場合でも、公証人に病院や自宅に出張して作成してもらうことができます。
費用は多少かかりますが、安全確実なのは公正証書遺言です。自筆証書遺言はせっかく作成しても、些細な書き間違いや法に従った訂正方式を践まないと無効になってしまいますので、公正証書遺言を利用されることをお勧めします。

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