楽典 1


 音名(おんめい) その1

メダカ : ここは楽典の教室です。今日から皆さんと楽典とはなんなのかを少しずつ学んでいこうと思います。若芽先生、楽典というと難しいもののような、ピアノを弾くこととはあまり関係がないような、そんな気がしますが。

若 芽 : 楽典は音楽の決まり、規則みたいなものだよ。だから知っているにこしたことはないって感じかな。ここでは、そんなに難しいことはやれないしな。

メダカ : 文章だけでは、説明は難しいですね。

若 芽 : うん。でも、若芽はパソコンのことはよく分からないから、文章で説明するしかできないんだ。絵とか全然だめだし。

メダカ : 先生、できるだけがんばりましょう。で、今日は何から勉強しますか?

若 芽 : 今日は音名(おんめい)だな。

メダカ : 音名というとドレミのことですか?

若 芽 : そう。ドレミは音の名前だが、どこの国で使われている名前なのか知っているか?

メダカ : え? どこの国って? 日本でしょ?

若 芽 : (溜息)ドレミはイタリアで使われている。

メダカ : 日本でもドレミと言っているじゃないですか?

若 芽 : 今はみんなドレミと言っているけど、過去にはハニホと言って歌っていた時期もあったらしい。さすがに若芽もその時には生きていなかったので話を聞いただけだが。「チューリップ」なんか「ハニホ、ハニホ、トホニハニホニ」なんて歌っていたと思っただけで、笑ってしまうぞ。

メダカ : それって、ちょっとすごいですね。

若 芽 : すごいだろ? まあ、そういう訳で今日本でも使われているドレミはもともとはイタリアの音名なんだ。

メダカ : わかりました。それで、日本の音名はハニホなんですね。

若 芽 : そうそう。ドがハ、レがニ、ミがホ、ファがヘ、ソがト、ラがイ、シがロ、だ。

メダカ : ドレミファソラシドはハニホヘトイロハ、となりますね。

若 芽 : うん。

メダカ : これはハ長調とかのハですか?

若 芽 : そうだよ。ト音記号とかのトだ。

メダカ : では今は日本の音名は調の名前くらいでしか使われていないという訳ですね。

若 芽 : うーん。まあ、そう言えなくもないかな。

メダカ : 他の国ではどんな音名を使っているんですか? みんなドレミですか?

若 芽 : フランスはドをユットと呼ぶらしいが、他の音はイタリアと同じだ。

メダカ : ユット、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ユットですか?

若 芽 : うん、そう。若芽もそういうのを実際に聞いたことはないけど。

メダカ : ドイツはどうです?

若 芽 : ドイツはC(ツェー)D(デー)E(エー)F(エフ)G(ゲー)A(アー)H(ハー)C(ツェー)だ。

メダカ : うーん。いきなりアカデミックな様子ですね。あれ? 先生、Bがないですよ。忘れたでしょう。

若 芽 : ばかなことを言うな。若芽が間違えるわけないだろう。B(ベー)はHの♭、つまりシ♭のことを言うので、白鍵には使われないんだ。

メダカ : なぜですか?

若 芽 : そんなこと、若芽は知らないぞ。でも、そうなっているんだからしょうがないだろ。

メダカ : じゃあ、先生。アメリカは?

若 芽 : CDEFGABCだ。

メダカ : 今度は英語ですから、Cはシー、Dはディーでいいんですね。

若 芽 : うん。

メダカ : あれ? 今度はB(ビー)がありますよ。

若 芽 : Bと書いてあるだけだとシかシ♭かわからないことになる。べーと呼べばシ♭、ビーと呼べはシのことだ。

メダカ : 混乱するじゃないですか。

若 芽 : それは若芽のせいじゃないぞ。最初にそういうこともあると理解しておけばそんなに困らないと思うがな。

メダカ : はあ、努力します。皆さん、白鍵の音名はわかりましたでしょうか。次回は黒鍵の音名について勉強しましょう。では、さようなら。


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