リズム
メダカ : 若芽先生、いよいよソルフェージュについてですが。
若 芽 : いよいよ、という程のこともないと思うがな。
メダカ : ソルフェージュというと聴音とかですか?
若 芽 : メダカ、君はホームページで聴音の練習ができると思ってるの?
メダカ : やり方によってはできるかもしれませんが。
若 芽 : 皆さんがそんなことをこのページに期待しているとは思えないな。それに若芽にはどっちみち無理だし。
メダカ : 僕はただ、聴音がどういうものか、説明するのかなと思っただけですよ。
若 芽 : 若芽は聴音には嫌な思い出しかない。世の中には聴音に苦労しない人もいるだろうけど、あの苦労は聴音ができない人にしかわからんな。若芽は絶対音感がなかったのでそりゃあ大変だった。普段、絶対音感が欲しいなんて思わないんだが、学生時代のソルフェの授業で聴音する時にはホントあったらいいなと思ったぞ。
メダカ : まあまあ、先生。苦労話はそのくらいで。聴音聴音とさっきから言葉は出てきますが、知らない人はどういうものか知りたいのではないでしょうか。
若 芽 : そんなの知りたいわけないだろ? 気になるなら君が説明しなさい。
メダカ : 仕方がないな。では、若芽先生の代わりに僕が「聴音」がなんなのか説明しましょう。聴音とは簡単にいうとピアノで弾いた曲(課題)を聴き取って楽譜に書くということです。課題は、簡単な場合は4小節くらいの単旋律ですし、難しいのは四声の和声聴音とか三声のフーガみたいなのを聴き取ることもあります。絶対音感をお持ちの方はシンフォニーのCDなんかも全部聴き取れちゃうと聞いたことがありますが、僕が直接そういう方を知っているわけではありません。若芽先生、これでいいでしょうか。
若 芽 : うん、いいだろう。
メダカ : それで先生。先生はこのページ(ソルフェージュの教室)で何を説明したいんですか?
若 芽 : 若芽はここで「ピアノを弾くために必要なソルフェージュ」という話をしたいんだ。
メダカ : ピアノを弾くためのソルフェージュですか? それで、今日は具体的にはどういうことを?
若 芽 : 今回はリズムについてだ。
メダカ : リズム、ですか。
若 芽 : メダカ、また君、不満そうだね。
メダカ : そんなことありませんよ。先生の思い過ごしです。
若 芽 : そうかなあ。まあ、いいや。じゃあ、始めよう。
メダカ : はい、お願いします。
若 芽 : 「リズムを正しく感じる」ことはピアノを弾くためにはとても大事なんだ。なぜなら、ピアノという楽器は、音の高さに関しては特別考えなくても指定された鍵盤を叩けば必要な音を簡単に出すことができるが、リズムは自分で作り出さなければならないからだ。
メダカ : ああ、なるほど。歌を歌うとかヴァイオリンを弾くとかの場合は音の高さも自分で作りますよね。でもピアノは調律さえ合っていればドを弾いてレの音が出るなんてことはありませんよね。
若 芽 : そうそう。でも、リズムは意外と重要視されていない。正しく音が弾けているのに上手くないと感じる場合は、たいていリズムが悪いんだ。
メダカ : ノリが悪いんですね。
若 芽 : うん。クラシックにもノリは大切だ。
メダカ : どうすればリズムがよくなるんでしょうか。
若 芽 : まず一定の速さで拍を正確に刻めるようにする。
メダカ : 一定の速さで刻む、というとメトロノームみたいにですか?
若 芽 : その通り。自分の中に拍の「ものさし」を作らなければリズムは測れないだろ? それも正確なものさしでないと正確には測れない。
メダカ : メトロノームに合わせて手を叩くんですか?
若 芽 : そうだ。初めはメトロノームを100にしてよく聴く。そしてそれに合わせて手を叩く。4拍子や3拍子を感じて1小節聴き、1小節叩いてもいい。ぴったり合うとメトロノームの音が聞こえなくなったり小さくなったりするから、合っているかずれているかわかっていいだろ? メダカ、やってみなさい。
メダカ : はあ。(嫌々メトロノームに合わせて手を叩くメダカ)
若 芽 : だめだな。ずれまくっているぞ。ちゃんと速さを感じてから合わせないとだめだよ。メトロノームの点滅している光に合わせようと思っていると絶対合わないぞ。自分の感覚を信じて叩かないとな。
(メダカ、続ける。)
若 芽 : そうそう、さっきよりずっといい。大事なのは手を叩いていて自分がその手拍子のタイミングを気持ちの良く感じられるかってことだ。なんとなく慌てているような叩き方では気持ち良くないだろ?
メダカ : ああ、そうですね。初めよりいい感じかも。
若 芽 : それがまあだいたいできたら、次は二分割だ。
メダカ : 二分割って…、ああ、八分音符ですか。
若 芽 : うん。二分割がきちんとできないと三分割や四分割はもちろんできないから、しっかりやるように。テンポは少し遅くして80くらいでないと叩くという動作がちょっと忙しいかもしれない。
メダカ : 小さい子の場合は八分音符がよくわからない生徒もいると思うんですが。
若 芽 : ピアノを弾くこととリズムを切り離して教えると、意外と八分音符の理解が早いと思うよ。先生がまずお手本を示す必要がある。きれいなリズムで。
メダカ : 先生が正しくリズムを刻めないといけないってことですね。
若 芽 : そうそう。気持ちのいいリズムをみんなに身体で感じて欲しいな。
メダカ : 今日はここまでです。皆さん、がんばってメトロノームに合わせて手を叩きましょう。では、さようなら。
注
今回の内容のうち、メトロノームに合わせて手を叩くという練習方法は、音楽乃友社より出版されている、呉暁(ご・あき)著「ピアノの上達はソルフェージュから」を参考にしました。興味のある方はご覧になって下さい。
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