音符を読む その1 (絶対的に読む)
「音符を読む」については、9/19の「なにげない日記」にも、少し書いてあります。
メダカ : 若芽先生、ソルフェージュの2回目は「音符を読む」ですね。
若 芽 : うん。
メダカ : はじめて楽譜を見る方が対象ですか?
若 芽 : そういう方ももちろんだが、実際にピアノを弾いていても音符をきちんと読んでいない人もいるので、みんなで、音符の読み方をもう一度考えて直してみようということだ。
メダカ : なるほど。
若 芽 : メダカは音符をどうやって読んでいるんだ?
メダカ : え? どうやってって、音符が書いてある場所で読んでますよ。
若 芽 : ト音記号だったら一番下の線はミとか?
メダカ : ええ、真中の線ならシですよね。
若 芽 : じゃあメダカは絶対的に読んでいるんだな。
メダカ : はあ? 何ですか、その絶対的というのは。
若 芽 : 音符の場所と音の名前(鍵盤の位置)を1対1で結び付けて覚えるということだ。
メダカ : 普通はそうでしょう。他にどんな読み方があるんですか?
若 芽 : 相対的な読み方がある。
メダカ : はあ? ますますわからないことを言わないで下さいよ。その相対的というのは何なんですか。
若 芽 : 一番下の線の音と下から二番目の線の音は一つ飛びになっている。
メダカ : そりゃあそうですよ。だって線と間(カンと読む、線と線の間のこと)は交互になっているんですから。
若 芽 : そうするとミの一つ飛びの音はソになる。
メダカ : そんなことしなくても下から二番目の線はソです。
若 芽 : それはそうだけど、一つずつ読むより早いこともあるぞ。
メダカ : そうですか? (疑問の目つき)
若 芽 : まあ、どっちにしても絶対的に読めなくては話にならないから、今日は「絶対的に読む」を効率良くこなすために少し説明しよう。
メダカ : はい、お願いします。
若 芽 : 先に、楽典の勉強を少し。名前をきちんと定義しておかないと、話が通じないからな。
メダカ : はあ、定義ねえ。
若 芽 : ト音記号が五線についているものを高音部譜表と言う。ヘ音記号がついているのは低音部譜表だ。で、この二つが一緒になっているものを大譜表と呼ぶ。ピアノの楽譜はたいてい大譜表で書かれている。
メダカ : 連弾などで、右手で弾く部分も左手で弾く部分もト音記号っていう楽譜がありますが、あれは大譜表とは言わないんですか?
若 芽 : 言わない。そういう場合は、左手で弾くほうのト音記号をヘ音記号に変えて、そのすぐ後ろにト音記号を書けば、大譜表になる。大譜表は一人で演奏する楽譜で、中カッコ({ )で括られている。
メダカ : ああ、ほんとだ。
若 芽 : さて、さっき「五線」という言葉を使ったけど、メダカ、一応五線の説明をしなさい。
メダカ : はい。五線は音符が書いてある五本の線のことです。五線には線の一本ずつ、間(かん)の一つずつに名前がついています。線は、下から、第1線、第2線、第3線、第4線、第5線、です。間(かん)は下から、第1間、第2間、第3間、第4間、です。
若 芽 : よろしい。では、いよいよ音符を効率的に絶対的に読む方法だ。
メダカ : 初めはト音記号からですか?
若 芽 : ト音記号からでもいいんだけど、ふつう音は下から読むよな。だから今回はヘ音記号からにしよう。「ソシレファラ」。
メダカ : ………。え? 先生、今のはなんですか?
若 芽 : 線の音だけを下から読んだんだ。「ソシレファラ」、言ってみなさい。
メダカ : 「ソシレファラ」。
若 芽 : よろしい。で次は間の音な。「ラドミソ」、はい。
メダカ : 「ラドミソ」、じゃないって。先生、もう少しちゃんと説明しないと。つまり、ヘ音記号の楽譜では、第1線がソで、第2線はシ、第3線はレ、第4線はファ、第5線はラ、ってことで、続けて言うと「ソシレファラ」になる、ってことですね。
若 芽 : メダカの言い方のほうがずっとわかりにくいと思うぞ。
メダカ : (無視) で、間(かん)のほうは、第1間がラ、第2間がド、第3間がミ、第4間がソ、ってことだから「ラドミソ」なんですね。
若 芽 : まあ、そういうことだ。とにかく繰り返し呟いて覚える。
メダカ : ピアノの鍵盤の位置は、皆さんそれぞれ確認しておいて下さいね。ヘ音記号の第1線のソは真中のドから1オクターブ半下ですよ。
若 芽 : 次はト音記号な。五線の中の音ではないけど、真中のドの音はみんな知っていると思うので、ドをいれて「ドミ、ソシレファ」と覚える。
メダカ : はい。間(かん)は?
若 芽 : 間は省略。
メダカ : え? 先生、今日はずいぶん手抜きじゃないですか?
若 芽 : そんなことはないぞ。次にまとめてやるのだ。
メダカ : まとめて、とは?
若 芽 : 大譜表の、高音部譜表と低音部譜表の間に真中のドを入れると、下から全部音が並ぶよな。なので、まとめて覚えてしまうのだ。線の音は下から「ソシレファ、ラドミ、ソシレファ」。間の音は下から「ラドミ、ソシレファ、ラドミ」。
メダカ : あれ? 先生、「ソシレファ」と「ラドミ」しかありませんよ。
若 芽 : だから、まとめてやったほうがいいだろ? 音階は7つの音だから、一つ飛びだと2オクターブで同じになるんだ。
メダカ : ほう、なるほど。じゃあ、僕の苦手な加線(五線の範囲では書けない、もっと高い、またはもっと低い音をあらわすために書き加えられた短い線)も同じように読んでいけばいいんですね。
若 芽 : その通り。ト音記号の上第1線(上の加線の一本目)はラだから、線を「ラドミ、ソシレファ」と上がっていけばすぐ読める。加線なんて全然怖くないぞ。
メダカ : あ、ほんとだ。僕、3本以上加線があると、もうダメだったんです。間なら「ソシレファ、ラドミ」と行けばいいんですね。あー、嬉しいなあ。(ジーン。)
若 芽 : ……。今日はこれで終わり。メダカは嬉しさにひたっているので使い物にならなくなりました。皆さん、とにかく音符に慣れましょう。字を読むように、声を出して一つずつ音符を読んでみるのです。ゆっくりで構いません。時間がかかっても音がわかるということが大事です。次回は「相対的に読む」に挑戦しましょう。お楽しみに。では、さようなら。
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