ク レ ブ ス 回 路 

ク レ ブ ス 回 路

(クエン酸回路・TCA回路)

<翻訳>
更新日:2008年 5月13日


1. 皆さんに、このページで取り上げるクエン酸という化学物質の裏わざ的な使い方をお勧めします。

@ 圃場に苗を定植します。その場合、定植した後から水を与えます。その時、クエン酸を溶いた用水にて行います。すると見事なくらい活着が早くなります。
A 栽培期間中、例えば梅雨時期など曇天の続くとき、クエン酸を含んだ水で葉面散布や潅水を行います。見違えるくらい元気になり、葉が立ち上がってきます。
 成り疲れのときも同様です。
B 温度管理などが悪く、作物が“ぐったり”しているときもAと同じ効果が現れます。
C 葉野菜は出荷前に洗浄した後、一度クエン酸溶液に浸し直ぐに取り上げて水を切り、そして出荷をしてください。日持ちが良くなります。
 (出荷の7日前から2回の灌水で作物に吸収させておくと、店頭での日持ちが良くなります)
D 切花では、水揚げに用いてください。方法は花の首下まで水に浸します。要領はC葉野菜と同じです。日持ちが良くなります。

 『クエン酸溶液の作り方』
食品添加用のクエン酸を用います。ドラッグストアーなどでも湯沸しポットの洗浄剤として売られていますが、これでは高価になりますので25Kgの袋に入ったものを調達してください。
・タンクにpHを6.0に調整した1000gの水を用意します。(C・D及び葉面散布は調整の必要ありません)
・その水に1Kgの食品添加用クエン酸を入れて、よく攪拌します。
・この溶液を用水として用います。

これらのことは下記の通り、動・植物は酸化分解過程ではエネルギーを大量消費しているということで、とくに植物では葉や根をとおして外部からこのクエン酸を意図的に吸収させると、(良くない言い方ですが、、、)体内でクエン酸を作らずに代謝ができるということでもあります。つまり、動・植物は外部から有機酸(クエン酸回路中のものなら何でも良い、木酢液でも良い。クエン酸を使うのはその方が安価に手に入るから)を与えることにより、その分解過程で消費するエネルギーを温存することができ、様々なクエン酸効果が出てきます。この“裏わざ”はそのような生理々論を応用したものです。

*) 市販の栄養ドリンク剤やみかん、そして梅干の効果(クエン酸効果)もこのようなことが根拠になっています。


2. 解糖と発酵

全ての生物は生命を維持し活動を続けていくためにはエネルギーが必要である。このために体内に取り入れた糖、脂質、タンパク質などを分解して、その際遊離するエネルギーを生活の原動力としている。この現象を呼吸といい、主に糖がその材料となるので、

 酸素呼吸(好気呼吸)では   C6H12O6 + 602 = 6CO2 + 6H2O + 675.6Kcal

 無気呼吸(嫌気呼吸)では   C6H12O6 = 2C2H5OH + 2CO2 + 27.9Kcal

などの化学式で表されている。しかし体内ではこのようなエネルギーを得るための反応は一足飛びに起こるものではなく、様々な酵素の働きにより、複雑な段階を経てしだいに小さな分子に分解されていくのである。

先ず、糖はリン酸エステル化され、次に炭素と炭素の結合が切断されて2分子の3炭素化合物になる。この化合物はいくつかの反応を経てピルビン酸に変化し、この間にATP(アデノシン3リン酸)は2分子だけ生成される。

これまでの過程を解糖(Embden−Meyerhof−Parnas経路)といい酸素呼吸にも無気呼吸にも共通したもので、分子状酸素は関与することなく、無酸素的条件のもとで進められる。解糖はこのように糖の無気呼吸(嫌気)的代謝を意味するが、動物の筋収縮が起こるときはピルビン酸が還元されて乳酸が生成する。

発酵は微生物が有機物を分解し、生活に必要なエネルギーをとりだす働きであるが、糖が嫌気的に分解されるとピルビン酸からアルコールや乳酸などが生成される。アルコール発酵はピルビン酸が脱炭酸され、生成したアセトアルデヒドが還元されてアルコールになる。乳酸発酵はピルビン酸が還元されて乳酸になる現象で、このしくみは筋収縮のよる場合と同一経路をたどる。

発酵は微生物の種類や環境によって変わるので、酢酸発酵、クエン酸発酵、アセトン・ブタノール発酵、アミノ酸発酵など様々な形式があり、多くの発酵生産物は食品、医薬品といった分野にも多く存在し、我々の日常生活にとって切り離せないものとなっている。




3. ク レ ブ ス 回 路(クエン酸回路・TCA回路)

生体内では糖質は嫌気的に分解されると、解糖の過程(Embden−Meyerhof−Parnas経路)をたどってピルビン酸が生成される。
酸素呼吸においてピルビン酸は、*注)ピルビン酸脱水素酵素の働きにより、CO2が脱離されてCoA(=補酵素の略)と結合し、活性化されてアセチル−CoAになる。アセチル−CoAはオキザロ酢酸と結合し、CoAを遊離させてクエン酸となる。

クエン酸は循環的な反応系に巻き込まれて触媒的に分解され、1回転して再びオキザロ酢酸に戻る。

クレブス回路とは、Hans Adolf Krebs(英・1953年ノーベル生理学医学賞)が糖はこのような経路をたどって完全に酸化分解され、そのとき多量のエネルギーを放出するという説を提案したことから、これをクレブス回路(TCA回路・クエン酸回路)と呼ぶようになった。

クレブス回路は主にミトコンドリアに含まれる種々の酵素によって進められ、1回転するたびにピルビン酸は完全に酸化分解される。
   ( CH3COCOOH + 5/2O2 → 3CO2 + 2H2O )
また脱離された水素原子はNADなどいくつかの電子伝達系を経て、最後は酸素にわたされると水になる。そしてこの過程で生じたエネルギーは共役的に合成反応に使われたり、ATPなどの高エネルギーリン酸化合物となって貯えられる。

*注)ピルビン酸脱水素酵素の働き・・・・ここにキレート剤(EDTA)が存在した場合、このピルビン酸脱水素酵素は著しく阻害されて呼吸回路の機能は減退する。


ク レ ブ ス 回 路(クエン酸回路・TCA回路)
クレブス回路




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