土 壌 分 析 の 現 状 に つ い て 考 え る 

<翻訳>
2012年 4月 4日 .

1.前書き

 これは、或る大手小売流通企業の農場の栽培支援として関わるようになって、はっきり分かってきた日本農業の現状です。これまで私はこの事を薄々とは感じていました。業界では“栽培には土壌の分析を有効的行い、肥料の無駄使いを止めよう”と言っている中での以下のような現状です。その社の担当者と今後、質の高い野菜を効率的にどうやって栽培して行くか、過去の取組方や土壌改良の手法などを検討していた時に提出されたデータです。

土壌分析と言う業務の日本における現状として、全国各地の農家が依頼する土壌分析は、やっている処で試薬や指示薬の緩衝法が違うのか、或いは土壌の前処理が決められた通りに出来ていないのか、(養液の分析でも違うから前処理ではないと思う)下に列記したデータは一部の例ですが、後段に示したように、各々の数値が全く違うと言う事が明確になってきました。この事は、過去、私が農家を訪問した際、例えばJAでやった分析表、或いは肥料会社でやって貰った分析表などを見せられて、目の前のその園地の生育具合とを比較すると“どうも違うな〜”、そのような事を以前から感じていた事です。

 私たちは、今回、自分たちのやっている分析の値が正確に検出できているかどうか、そして、その測定誤差がどのくらいあるのか、分かったら良いな〜、そのような考えで、土壌が同じ検体になるようにしっかりと混ぜ合わせ、検定依頼をしました。その結果、その時は自社(A社)分析のほか3ヶ所にお願いをしましたが、そのいずれとも数値が全く違っており、これでは逆に、どれを採用したら良いのか反って分からなくなった次第です。過去、簡易分析と私たち(米澤農研及び中隈分析室とN社)がやっている分析には相当誤差がある。このような事実は、簡易分析装置が発売された当初(昭和55年頃)から私たちは承知していました。

その当時も、すぐに分析比較をしました(注ー1)。残念ながら、その時のデータは紛失してありませんが、記憶として残っているのは、“石灰が全然使えないな〜”と関係者一同納得した事を記憶しています。処が、現在ではこんな精度の高い原子吸光計やイオンクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどの高級機種が安価に買えるようになり、然も、高学歴の専門職の人たちが業務を行うので、“各所ともほぼ同じような数値で出来て来るのかな”と実は大変な期待をしていました。

 この簡易分析との差については『土壌分析の記録集のページ』@H・Sib.農園AT・Sim.農園の中でも比較検討していますが、その分析の数値が余りにもかけ離れていると言う事実です。特に、石灰は今でもかけ離れた数字で示されていて、改善されていません。また、同じサンプルで公共機関や学校そして肥料メーカーなどの関連企業に分析をお願いしてみました。勿論、私達と他社とも比較をして見ました。

・・・が、結果はやっぱり合致しません。折角、お金を掛けて栽培の基本となる土壌分析をして、完璧なくらいの栽培を期待したのですが、これでは全然利用できません。そのような事を踏まえてデータを示しながら、且つ、私たちは公定法と言う事で行ってきた分析法、これは旧来の手分析手法のやり方で、皆さんからは、今の機器には合わないよ!と言う批判があるかも知れませんが、数値と言う私たちの一番欲しいデータは精度高く出ていると考えています。

これが医療分野の健康検査の際にやる血液分析のように、どこでやっても数値がほぼ同じ。私たちの土壌分析でも、どこでやっても誤差が数%以内になっている。そのような規格統一の為の参考になるものならと、このサイトを立ち上げた次第であります。また、最後段には、その時使っていたマニアルも開示する事にしました。

(注ー1) この当時のわたしたちのグループの分析は、@JAの簡易分析とAN社の2社だけでしたが、その後、ここにAN社とB米澤農研、さらにはC米澤が以前勤務していた電力会社の研究所の3社が加わります。また、このABCの3社は、月に1回の精度合わせのための同サンプル(前処理した土壌を3分割して各々が分析する)による分析を励行していましたから、結論的には4社の分析比較という事になります。

 2012年4月3日付の日本農業新聞によると、日本土壌協会は2012年度には農業の土作り指導者を養成するため資格認定制度を創設するという事を発表しています。これによると、土壌診断に基づき施肥設計などを行い、地力低下や連作障害の克服に役立つ人材の育成をするとの事ですので、近い将来は土壌分析も診断基準も処方基準も必ずや統一された形になると期待致しています。


2.分析結果の比較

米澤農業研究所が定めた、土壌中の肥料成分の欠乏・標準・過剰・極限量
単位mg/乾土100g( ≒ kg/10a)
分 析 日
肥料投入量
酸度
(pH:Kcl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
塩素
(Cl)
欠乏   1.0 30 5.0 280 20   5
標準 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.70 10
過剰   4.2 35 58.2 75.1 380.8 36   15
極限   2〜3 40 60 80 400 40    

この数値の決定について米澤は、エリス&スワニー両氏の培養液を基本として土壌用に換算し、その後経験的に修正を加えながら現在の数値にした、と語っている。

ぶどう栽培農園(長野県)−@
標準 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.70 10
'09.04.02 3.8 8.2 18.3 111.0 11.7 176.2 37.4 0.30 中隈分析室
'09.04.27 5.9(H2O) 3.1 6.5 64.0 55.0 414.0 74.0 258.6ppm JA
ぶどう標準 6.5〜7.0     20〜60 43〜51 279〜350 73〜91 8.0〜10.8 −−−

 症状は葉の緑色が浅い(石灰欠)。圃場には炭酸石灰を340kg投与した。結果、葉の色は漸次緑色を呈して来る。他方、仮に414kgが正しければ、炭カル340kg(=CaOとして180kg)を加えた場合594kgとなり、他の項目も含め超過剰状態となる。これでは作物は、昼間は萎れが酷くなり順次枯れる筈である。依って、CaOの414kgには疑問が残る。

ぶどう栽培農園(長野県)−A
標準 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30/td> 2.70 10
'09.04.02 5.8 2.5 17.8 318.0 131.2 72.7 108.4 0.1 中隈分析室
'09.04.27 5.5(H2O) 2.8 3.1 74.2 58.0 409.0 86.0 259.8ppm JA
ぶどう標準 6.5〜7.0     20〜60 43〜51 279〜350 73〜91 8.0〜10.8 −−−

 葉の緑色が浅い。炭酸石灰を500kg(CaOは500×53%=265kg)投与す。結果、葉の色は漸次緑色を呈して来る。依って、CaOの409.0kgは疑問が残る。

アスパラ栽培農園(長野県)
標準 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.70 10
'09.04.02 5.5 5.8 13.3 165.5 155.3 78.3 103.4 0.14 中隈分析室
'09.04.27 6.3(H2O) 2.8 0.5 125.3 168.0 480.0 140.0 635.4ppm JA
アスパラ標準 6.0〜6.5     30〜50 37〜61 305〜400 78〜105 8.0〜10.8 −−−

 注)炭酸石灰を480kg(成分254kg)を施した直後、採土し検定に出したと言う。石灰分の分析はCaOで検出する。炭酸石灰はCaCO3である。直後の中隈分はこれが検出されてなく、JA分では25日の時間経過と共にCaOと変化し検出されている。という見方が出来る。問題点は、分析の数値も然ることながら、採土から分析までの日数である。中隈分析室では1週間。JAでは簡易分析であるにも関わらず25日も掛かっているという事で、これでは処置が手遅れである。
上記2例を鑑みると、JAの標準数値はもっと高く(600kg位)ても良いのではないか、と言う疑問が残る。


A社農場(ハウス葉菜):2010年12月29日

サンプル(1)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
EC
(sec/m)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
CEC 塩基飽和度
(%)
A社 6.8 0.19 12.5 867.0 57.8 594.0 84.6 27.8 95.9
B大学 6.5 1.32 30.2 254.0 167.0 167.0 158.0 37.1 126.0
C社 6.7 0.62 13.7 168.0 151.0 612.0 85.9 30.4 96.6
D社 6.1 1.55 8.4 0.1 9.0 27.9 8.5 −−− −−−

『予想される不具合及び所見』
 A社:石灰大過剰・苦土過剰のために生長しない。
 B大:石灰が大欠乏、且つ加里と苦土が大過剰の為、発芽しても生長せず枯れる。
 C社:加里・石灰が大過剰。苦土過剰。加里と石灰が、これだけ過剰になると栽培は無理。
 D社:数値が異常に少なく、りん酸など0kgなどと言う普通では考えられない数値のため、この社の分析は検討できない。(以下、省略)


サンプル(2)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
EC
(sec/m)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
CEC 塩基飽和度
(%)
A社 6.9 0.08 5.5 542.1 53.0 594.4 71.6 26.8 96.9
B大学 6.6 0.95 14.8 161.0 180.0 999.0 128.0 41.5 112.0
C社 6.6 0.64 9.0 120.0 152.3 650.0 71.9 32.1 93.6
D社 6.4 1.44 5.0 0.0 10.2 27.5 6.2 −−− −−−
『予想される不具合及び所見』
 A社:過剰気味。何とか栽培できる。硝安以外、今年は何も施肥しない方が良い。
 B大:加里・石灰・苦土大過剰。3点が、これだけ過剰になれば客土の必要あり。
 C社:加里・石灰が大過剰。これだけ過剰になると、栽培には困難を伴う。特に加里が多すぎる。


サンプル(3)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
EC
(sec/m)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
CEC 塩基飽和度
(%)
A社 6.6 0.19 12.5 421.2 62.2 454.2 62.7 22.5 91.9
B大学 6.3 1.13 27.7 104.0 189.0 787.0 105.0 32.7 116.0
C社 6.4 0.92 17.5 84.0 177.7 556.0 56.9 29.3 90.4
D社 6.4 1.88 9.7 0.0 12.2 36.6 8.4 −−− −−−

『予想される不具合及び所見』
 A社:石灰大過剰の為、生長し辛い。だが、この圃場は石灰さえ減ってくれれば、すぐ良くなる。
 B大:加里・石灰・苦土大過剰。これだけ過剰になると客土の必要あり
 C社:加里・石灰が大過剰。これだけ過剰になると栽培は無理。


サンプル(4)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
EC
(sec/m)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
CEC 塩基飽和度
(%)
A社 6.7 0.62 40.3 814.7 89.0 695.8 117.1 33.0 98.9
B大学 6.6 2.90 104.0 165.0 241.0 1080.0 246.0 33.7 172.0
C社 6.5 1.86 35.4 114.0 232.6 686.0 99.1 27.3 126.0
D社 6.5 3.84 25.4 0.0 22.4 70.6 26.9 −−− −−−

『予想される不具合及び所見』
 いずれの土壌も栽培不可。加里・石灰・苦土が多すぎる。

  <サンプル(5)以下、略>


 

サンプル(5)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
EC
(sec/m)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
CEC 塩基飽和度
(%)
A社 6.8 0.31 20.3 557.7 55.5 545.4 109.4 26.7 97.9
B大学 6.7 1.95 44.4 141.0 170.0 985.0 252.0 34.8 152.0
C社 6.7 1.35 24.5 104.0 162.2 610.0 107.9 25.7 119.2
D社 6.6 3.22 16.8 0.0 14.7 63.4 27.4 −−− −−−


サンプル(6)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
EC
(sec/m)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
CEC 塩基飽和度
(%)
A社 7.3 0.15 9.9 1137.9 67.6 673.2 87.1 27.0 110.4
B大学 7.2 0.76 21.0 223.0 198.0 912.0 141.0 27.5 161.0
C社 7.3 0.44 12.0 140.0 207.8 595.0 75.3 24.8 118.7
D社 7.0 0.95 5.9 0.2 7.0 15.5 4.4 −−− −−−


サンプル(7)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
EC
(sec/m)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
CEC 塩基飽和度
(%)
A社 7.2 0.07 4.7 326.0 50.1 492.8 73.5 21.0 106.2
B大学 7.4 0.96 23.1 170.0 203.0 794.0 124.0 25.3 155.0
C社 7.3 0.55 10.4 124.0 192.8 552.0 76.7 21.4 129.2
D社 7.0 0.97 4.2 0.2 5.8 15.5 4.0 −−− −−−


サンプル(8)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
EC
(sec/m)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
CEC 塩基飽和度
(%)
A社 7.5 0.01 0.9 611.8 50.0 431.9 71.1 17.5 114.8
B大学 7.1 0.81 17.7 159.0 184.0 765.0 134.0 23.9 160.0
C社 7.0 0.43 8.1 130.0 168.0 542.0 81.2 21.3 126.7
D社 7.0 0.91 4.6 0.1 6.2 14.6 4.9 −−− −−−


サンプル(9)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
EC
(sec/m)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
CEC 塩基飽和度
(%)
A社 7.4 0.16 10.1 627.3 77.8 528.6 73.3 21.1 114.9
B大学 7.1 0.52 11.3 78.9 162.0 853.0 120.0 32.4 124.0
C社 7.1 0.34 5.3 54.0 142.3 534.0 83.3 22.9 114.7
D社 7.1 0.50 2.2 0.0 3.2 8.5 2.1 −−− −−−


サンプル(10)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
EC
(sec/m)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
CEC 塩基飽和度
(%)
A社 7.3 0.39 25.0 494.2 125.5 629.5 82.9 25.6 114.7
B大学 7.4 2.14 52.6 123.0 336.0 977.0 144.0 25.3 198.0
C社 7.1 1.37 20.4 94.0 322.4 654.0 81.9 22.6 151.8
D社 7.1 2.18 8.8 0.0 18.9 39.1 10.0 −−− −−−
同じサンプルを作り各所に依頼した処、このように比較ができないような数値で報告があった。これではどの数値を採用したら良いか、反って判断に迷う処か、判断できなくなった。特に、D社の場合、数値自体の桁が違っているのではないかと疑いたくなる事と、全リン酸に於いては検出値が0.0などと言う考えにくい数値である。資料はまだまだ何例もあるが、いずれも同じような結果なので、ここでは10例とした。以上のような理解の仕方で下の表も見ていただくと・・・・



 A社農場(ハウス葉菜):2011年6月4日

サンプル(11)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
塩素
(Cl)
EC
(sec/m)
A社 6.6 0.8 35.0 698.1 376.8 623.8 242.7 45.8 5.4
中隈分析室 6.1 1.8 42.5 75.0 210.7 447.6 106.1 55.6 −−−
D社 5.8 痕跡 23.9 未検出 36.1 67.4 39.1 37.0 4.5


サンプル(12)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
塩素
(Cl)
EC
(sec/m)
A社 6.4 24.3 2.7 412.1 151.3 383.1 −−− 15.8 0.4
中隈分析室 6.2 0.6 17.5 70.0 72.2 492.4 39.7 21.2 −−−
D社 6.3 痕跡 2.0 未検出 7.1 38.4 13.2 12.0 1.8


サンプル(13)

分 析 者 酸度
(pH:Kcl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
塩素
(Cl)
EC
(sec/m)
A社 7.5 19.7 8.1 493.2 205.7 558.1 −−− 5.6 1.3
中隈分析室 6.4 0.7 40.0 65.0 252.8 537.2 53.0 23.1 −−−
D社 6.8 痕跡 5.7 未検出 5.4 30.6 7.9 4.1 1.4
 * ここでは、実際に栽培しているA社の分析室と中隈分析室とを比較して、取りあえず、その誤差原因の究明をする事とした。唯、中隈分析室の機器も2009年の買い替え以降、精度が大幅に落ちた点が原因究明の障害となっている。


 近年では、土壌分析業務を行っている所には、農業試験場は勿論の事、大学や農業改良普及所・JA・肥料メーカー・専門の分析会社、そして私達のようなコンサル業務を行う所など多岐にわたっている。上記に列記した会社は肥料製造会社や薬品会社などの大手企業である。このような大企業が寄り集まっても、各々の考え方で業務を行っている所為か、皆さん方のデータを取りまとめてみると上表のような結果となっている。

てんでバラバラという感じである。業界が一丸となって研究をしないと問題は解決されないと思う(血液検査をする日本臨床衛生検査技師会の例)。強いては日本農業界の発展の為にもそうすべきである。ここで分かった事は、サンプル(11)〜(13)までの圃場は過剰傾向にあるとは言うものの、何とか栽培は出来た。しかしながら、上質の物が収穫できたとは言い難い。数値的にはサンプル(12)が栽培の限界点ではなかろうかとも思う。

以上のように、栽培は何とか誤魔化しながらできたと言う感じだった。本論を推測でまとめると、サンプル(1)〜(10)の分析数値を見て感じるのは、まず、D社は検討に値しない。A社・B大学・C社では加里、石灰、苦土の分析数値が正しいならば、この圃場は客土をしなければどうにもならない状態の圃場である事は間違いない(11〜13 圃場を中隈の分析数値で栽培して見て、良く理解できた)。悪いながらも何とかやれていた。という事は、数値が正しくないのではないかと疑わざるを得ない。つまり、数値はもっと低いのではないかと言う疑問である。

そこで、中隈分析室の分析の精度が悪くなったとは言え、偏差値で修正すれば十分数値的には正しく出ているような感じがする。これは予算が許し、機器のグレードさえ上げれば解決できるもので、このベースになっている分析法、つまり米澤が昭和40年代後半から取り入れてきた水質・培養液及び土壌の分析手引書が基となっている。最後に、その分析手引書のPDF版を公開する。これが何らかの指針になれば良いと考えた。

参考にして頂き、日本農業の発展の為に寄与できれば幸いに思います。


 = 完 = 




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