3-2 正当なメールの判定
ほとんどが特定の人からのメールであれば、正当なメールかどうかは送信者アドレスで判定できるかもしれません。しかし、次のような例外が考えられます。
- メールアドレスを変更した取引先や友人からのメール
- ホームページなどに公開したメールアドレスをもとに送信される不特定の人からのメール
- サーバーから返送されたエラーメール
- 名刺交換した相手からのメール
- ネットショッピングの注文確認メール
- メーリングリストなどの登録確認メール
このように送信者アドレスだけでは正当なメールかどうか判定できない場合があります。
ほとんどの迷惑メールは、メールアドレス収集ソフトウェアにより得られたアドレスに送信されています。個人名など相手のことを何も知らずに送り付けているに過ぎません。一方、正当なメールはあなたに関する何かの情報を持った人が送っているはずです。不特定の方からのメールであっても、メール本文にあなたの個人名や勤務先名などが入っていれば、正当なメールの可能性が高いと考えます。自分の個人情報や自分が関連している何かの情報がメールに含まれているかどうかで、正当なメールを選別できると考えます。
OE Ruleでは、正当なメールの判定を、セーフリスト(Safe List)と呼んでいます。
次のようなセーフリストを推奨します。(のマークは、[既定のメールルールの作成]を使って追加できます。)
- [SAFE] 本文に自分の個人情報が含まれている場合
自分の名前や電話番号、郵便番号、勤務先名や所属団体の名前などがメール本文に含まれている場合です。
たとえば、”○○様へ”や”凸凹株式会社御中”などがはいっているメールです。不特定の方からのメールであっても、礼儀正しい方であればこの条件に一致します。
また、ネットショッピングの注文確認メールは、お届け先の確認としてあなたの住所や電話番号が含まれるはずです。さらに、メーリングリストなどの登録確認メールは、登録時に入力した個人名やハンドル名が含まれるはずです。
返信されてきたメールにOriginal Message が残されているときも、自分の名前が含まれるはずです。(本文に自分の署名がある場合)
このように自分の個人情報をセーフリストとして利用できます。ただし、自分のメールアドレスの一部分がセーフリストに一致しないように注意ください。
[既定のメールルールの作成]を使って、このセーフリストを作成すできます。既定のアクションは"処理の中止"で、条件にマッチした場合メールは受信トレイに入ります。
- [SAFE] 送信者が信頼できるメールアドレスの場合
信頼できるメールアドレスとは、アドレス帳のメールアドレスです。
信頼できるアドレスとは言えないものがアドレス帳に登録されていても、過度に神経質になる必要はありません。むしろ、過去に一度でもメールを交換した相手は、アドレス帳に残しておくべきです。ただし、自分自身のメールアドレスは、迷惑メール送信者が知っている情報ですので、信頼できません。
[既定のメールルールの作成]を使ってこのセーフリストを自動作成できます。既定のアクションは"処理の中止"で、条件にマッチした場合メールは受信トレイに入ります。
システム起動時に、アドレス帳とこのルールを自動的に同期することもできます。
- [SAFE] 本文に信頼できるメールアドレスを含む場合
アドレス帳に登録しているメールアドレスが、本文に含まれている場合です。
サーバーから返送されたエラーメール(バウンスメール)のほぼすべてが、この条件に一致します。
また、メールアドレスを変更した取引先や友人からのメール本文に、
旧メールアドレス: mailaddress_old@foo
新メールアドレス: mailaddress_new@hogehoge
と記されていれば、この条件に一致します。
ただし、自分自身のメールアドレスは、迷惑メール送信者が知っている情報ですので、信頼できません。
[既定のメールルールの作成]を使ってこのセーフリストを自動作成できます。既定のアクションは"処理の中止"で、条件にマッチした場合メールは受信トレイに入ります。
システム起動時に、アドレス帳とこのルールを自動的に同期することもできます。
- [SAFE] 宛先またはCCに自分の個人名や所属団体の名前が含まれている場合
多くのメールには、宛先やCCに、表示名が付けられています。
たとえば宛先に表示名を含む場合は、次のようになります。
To: 山田太郎様 <tarou@hogehoge>
To: 山田 太郎 <tarou@hogehoge>
To: 山田 様 <tarou@hogehoge>
To: T. Yamada <tarou@hogehoge>
このように表示名に個人名が含まれる場合、正当なメールの可能性が高いと判断できます。たとえ、取引先や友人がメールアドレスを変更してもアドレス帳はそのまま引き継がれますので、この条件が有効になります。
条件に加えるリストと、自分のメールアドレスの一部分が一致しないように注意する必要があります。
[既定のメールルールの作成]でこのセーフリストを簡単に作成できます。既定のアクションは"処理の中止"で、条件にマッチした場合メールは受信トレイに入ります。
- [SAFE] 登録しているメールマガジンやメーリングリストなどの場合
メールマガジンやメーリングリストは、一定の送信者アドレスから送られてくるか、件名の一部分が統一されていたりするはずです。送信者アドレスまたは件名で容易に判定できます。
- [SAFE] 件名に特定の言葉が入っている場合
ホームページ上でメールアドレスを公開している場合に、活用できるルールです。たとえば、ホームページ内のメールリンクに、次のような<A>タグを入れている場合です。
<A href="mailto: tarou@hogehoge?Subject=製品案内のご請求">資料請求はこちら</A>
このリンクを使って送られてくるメールの件名は、製品案内のご請求 になります。迷惑メール送信者が悪用する危険性がありますが、万が一の場合にはタグ内の件名を少し変えるだけで、すぐに悪用を回避できます。
(注意)Subject= に続く日本語はURLエンコードをお勧めします。
- [SAFE] その他
正当なメールであり、他のセーフリストのいずれにもマッチしない場合は、”メールの送信者が、あなたに関する何かの情報を持っているかどうか”で判定できる可能性があります。たとえば、次のようなメールの場合です。
御社の製品案内および価格表を下記宛てにお送り願います。
○○市○○町1丁目1番地
山田太郎
このメール送信者は、あなたが何かの製品を販売している会社であることを知っていますので、正当なメールでしょう。これは、[メール本文に”御社の製品”という言葉が含まれる場合]を条件にしてもよいかもしれません。このような例外的事項を捉えるセーフリスト作りは簡単ではありません。誤判定のフィードバック用に利用することが現実的でしょう。
セーフリストで捉えきれない正当なメールや、逆にセーフリストが迷惑メールを捉えてしまう場合もあります。誤判定があった場合はセーフリストの再調整をしてください。
セーフリストで捉えきれない正当なメールのほとんどは、初対面の相手からのメールと考えます。[3−3.迷惑メールの判定]で説明するブロックリストでは、初対面の相手が使わない言葉(ワイセツ用語など)を条件に使えます。
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OE Rule
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