個人再生手続(2) 〜小規模個人再生

Q.どのような人が小規模個人再生の申立ができるのですか。
A.@将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある個人であること,
  A再生債権(再生手続開始前の原因に基づく財産上の請求権のこと)の総額が5000万円未満であることが要件となります。

 Aの「再生債権の総額」とは,再生債権のうち,a.住宅資金貸付債権(住宅ローン)の額,b.別除権(抵当権など)の行使によって弁済を受けることが見込まれる額,c.民事再生手続開始前の罰金等を控除した金額をいいます。
Q.開始決定が出るとどうなるんですか。
A.裁判所は開始決定と同時に債権届出期間・異議申述期間を定め,公告し,債権者に送達します。

 開始決定により,再生債権による個別的権利行使・強制執行は禁止されますが,再生債務者には従来どおり財産の管理処分権が認められます。
Q. 債権調査はどのように行われますか。
A.小規模個人再生では,通常の民事再生での債権調査・確定手続よりも簡略な債権届出・異議申述・評価の手続が定められています。

 まず,再生債務者に提出が義務づけられている債権者一覧表の記載をもって債権者は債権届出をしたものとみなされます。再生債務者及び他の届出債権者は,異議申述期間内に届出債権に異議を申し立てることができます。ただし,再生債務者が異議を述べるには債権者一覧表提出のとき,異議を留保しておかなければなりません。異議の述べられた再生債権は個人再生委員の調査・裁判所の評価手続を経て,その存否及び額が決定されます。
Q.再生計画案とはどういうものですか。
A.再生計画案は債務者が提出するもので,再生債権者の権利の変更等に関する条項を記載します。

 再生債権者の権利の変更に関する条項(弁済期,弁済額,支払方法等)は,原則として再生債権者間で平等でなければなりません。また,再生債権の弁済方法は,

@弁済期が3か月に1回以上到来する分割払いによること,
A最終の弁済期は再生計画認可決定確定の日から3年後の属する月中の   日であること(ただし,特別事情ある場合は5年を終えない範囲内であること)が要求されます。

 さらに,再生計画に基づく弁済総額は,個人再生手続(1)をご覧ください。

 再生計画の決議は議決権を有する再生債権者による書面決議によって行われ,再生計画案に不同意の回答をした議決権者が議決権者総数の半数に満たず,かつ,その議決権の額が議決権総額の2分の1を超えない場合は再生計画の可決があったものとみなされます。
Q. 小規模個人再生手続はいつ終了し,また終了するとどうなるのですか。
A.再生計画案が可決された場合には,裁判所は不認可事由がある場合を除いて再生計画認可決定をします。決定が確定すると再生手続は終結し,再生債務者が独力で再生計画を遂行することになります。再生計画遂行が挫折した場合,再生計画が取り消され,破産宣告がなされることもありますが,

@やむを得ない事由があるときは再生計画で定められた期限を当初の期限から2年を超えない範囲で延長することにより,再生計画を変更できるほか,
A再生債務者の責に帰することができない事由があり,各再生債権に対して,4分の3以上の額の弁済が終了しているなど一定の要件を満たす場合は,再生債務者の申立により,残債務の免除が認められます(ハードシップ免責)。

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