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6/4(金) 掲示板に、付点8分音符と16分音符のリズム(いわゆるタッカのリズム)の教え方に関する質問が投稿されていたので、今日はその話。 わかめは、付点のリズムは、できるだけ時間的にも気分的にも余裕がある時に教えるようにしている。つまり、それだけ厄介なんである。 タッカのリズムに限らないが、今一つ身に付かない、あるいは理解されにくいリズムは、一度に完璧にしようと思わずに、いろんな曲、いろんなパターンで、出てくるたびに少しずつ磨きをかけていくのがいいんじゃないだろうか。 生徒がまだ小さくて、付点の説明をくどくどしても理解できない時は、わかめは、説明は抜きで、付点8分音符と16分音符をセットで「タッカのリズム」ということだけ、教えている。 まず、わかめが何度か手を叩いたりリズムを歌ったりして聞かせてから、生徒にも真似させる。で、次はピアノでそのリズムを弾くわけだが、隣で歌いながら弾かせるので、その時はなんとか上手くいく。が! 一週間後には、悲しいかな、メチャクチャなリズムを弾いてくる子もいるんだな。 ということで、メチャクチャになる前に、もう一つ手を打っておくべきだと考える方には、スキップをお勧めする。ただし、最近の子はスキップを知らないこともあるから、先生が見本をやってみせなければならないし、ピアノで部屋がいっぱいのレッスン室では、スペースがなくてスキップすることが不可能かもしれない。だが、まあ、やれるものならやってみる価値はあるだろう。 しかし、スキップを教えても、なかなか、きちんとした付点のリズムでスキップできる子は少ない。(ちなみに、スキップをしながら両手を前後に振ってみると、リズム感がいいか悪いかわかる、という話もある。)スキップの速度にも寄るが、たいていはリズムが甘くなる。だが、この時点では、正確さを追求するよりも、取り合えず付点ってこんな感じ、ということを体験させられればいいわけで、正確なリズムは、だいたいのリズムが刻めるようになったら教えればいい。もちろん、初めから正確な付点のリズムを刻めるに越したことはないが。 なんにしても、その子の様子を見ながら、ご指導ください。一度では無理な場合でも、毎週やっていれば、だんだんと付点に慣れてくるので、あまり焦らずにな。 ところで、付点のリズムはなぜ「タッカのリズム」なんて言うんだろう。テンポが速い時はタッカと歌うのもわかるが、ゆっくり弾きたい場合には、なんてふさわしくない呼び方(読み方)なんだろうと、わかめは密かに思っている。だって、タッカをゆっくりと歌ったら、三連符の1個目と3個目みたいな気がしないか? え? そんなことない? まあ、もちろん、そんなことないと思う人もいるだろうが(笑)。 とにかく、わかめは、タッカと読むのは三連符みたいでしっくりこないので、付点のリズムを正確に教えたい時には、ターンカ、と裏の拍(ン)を強調するように読んでいる。ターンカと繰り返しながら、手で付点のリズムを叩く、あるいは、16分音符でタカタカタカタカと言いながら、初めのタと最後のカで手を叩く、などの練習も必要に応じてやっている。速くやろうとするとうまく手拍子が打てないかもしれないので、初めはゆっくりとやるのがいいだろう。 「ソルフェージュの教室 5」の「付点」で説明しているような理論的なことは、付点のリズムが弾ける(叩ける)ようになってからでも、算数で分数を習ってからでも、充分だと考えている。(非常に進度の速いお子さんは、早めに説明する必要があるかもしれません。) 6/28(月) 掲示板に「幻想即興曲」の初めの部分(右手が16分音符、左手が3連符)の練習の仕方についての質問があったので、本日は、一拍に入れる音の数が右手と左手では異なる場合の練習について。 難しい曲を弾くようになると、右手が3連符で左手が8分音符(またはその逆)というような、右と左のリズム(というか、一拍に弾くべき音符の数)が異なる楽譜に出会う。初めてこういうケースにぶつかると、たいていの人はちょっと戸惑うんじゃないだろうか。 ソナタアルバムにちょっと出てくる程度なら適当にごまかすこともできるだろうが、ドビュッシーの「アラベスク」あたりになると、ちゃんと弾かないと曲として聞こえないから、真剣にならざるを得ない。 こういう左右が異なるリズムは、「右手のリズム」と「左手のリズム」の2つを、それぞれ別々に感じて弾くのが理想である。リズムだけでメロディがないことは少ないだろうから、実際はリズムの異なる2つのメロディを、頭の中で歌いながら弾くということになる。ピアノは単旋律楽器ではないので、バッハのフーガでなくても、一度にいくつものメロディを聞き分けて表現することが重要で、質問にあったショパンの「幻想即興曲」も、右と左を別々に聞き取れなければ、本当に綺麗に弾けたとは言えない。 でもな。そんなことを初めからできるなら、誰も苦労はしないわけで。わかめも高校時代には「幻想即興曲」を弾ける人が不思議でならなかった。が、自分が弾けるようになってみれば、不思議でもなんでもないのだ。人間、何事も慣れだ。 しかし、練習しなければ慣れることはできないし慣れなければ練習できない、というのでは、いつまで経っても上手くならない。ということで、取り合えず、慣れるまでの練習方法を考えてみよう。やっぱり、基本はシンプルな2つと3つの組み合わせ(8分音符2個と3連符)だろうな。 左右が2対3になるようなリズムを弾く場合、どっちのリズムを主に考えるのがいいだろうか。3連符を中心に考えてそれに8分音符を合わせるの簡単か、8分音符に3連符を合わせるのが簡単か、ということだ。(2つのリズムを別々に感じて弾ける人は、両方を感じて弾くのがいちばんいいんだから、この先は読まなくていいよ。) 問題 ここに、1つのリンゴがあります。半分に切ったものを3人で食べる(1)のと、3つに切ったものを2人で食べる(2)のでは、分けやすいのはどっちでしょう。 答え (1)の場合は、半分になった2切れのリンゴそれぞれから、3分の1ずつ切り分けなければならない。(2)の場合は、3切れのうち、1切れずつを2人に分けたあと、残りの1切れを半分に切ればOK。だから、答えは(2)だ。 2つに分けたものを3つに分けなおすより、3つに切れたものを2つに分けなおすことのほうが簡単なのはおわかりいただけただろうか。リズムの話もリンゴの話と同じだと考えると、2対3のリズムも、3連符を基準に考えて、そこに8分音符を当てはめるのがいいということになる。 断言はしないよ。逆のほうが弾きやすいって人もいるかもしれないし、メロディを取っているほうのリズムを優先したいと考える場合もあるだろう。だが、メロディだけを優先させると、うまく弾けない、ということにもなりかねないので、こういう場合は、譜読みは譜読みと割り切ることも大事だと思う。リズムと音がきちんと弾けるようになってから、音楽の流れ(メロディ)をしっかりと意識して弾けば問題ないと思う。 なんだか、すっかり説明しおえたような気になっていたが、具体的な練習方法は何一つ書いてなかったな。 3連符を基準にする、ということは、一拍を123123と数えながら弾く、ということだ。3連符を弾くのとは別の手で8分音符を弾く場合は、12ト312ト3(イチニトサンイチニトサン)と言いながら弾くと良い。 もうわかるよね。1(イ)で両手を弾く、2(ニ)で3連符の2番目の音を弾く、トで8分音符の2番目の音を弾く、3(サ)で3連符の最後の音を弾く。 念のため、ドビュッシーの「アラベスク」を例に、もう一度説明しよう。 6小節目からの左右がそろわない3対2のリズムは、都合がいいことに右手の3連符がメロディなので、まず、右手をゆっくりめに123123と数えながら片手で練習する。すらすらと弾けるようになったら、左手の8分音符を合わせよう。1で両手を必ずそろえる。2で右手の3連符の2番目の音、トで左手の2番目の音、3で右手の3番目の音を弾く。 こういう両手がそろわないリズムの時に注意しなければならないのは、そろわない音ではなく、むしろ、そろえなければならない音だ(この場合は両手の1番目の音)。そろわない音ばかり気にしていると、そろえなければならない音までそろわなくなることが多い。拍の頭をきっちりそろえることが、こういうリズムをきちんと弾くコツだと思う。 異常に長くなってしまったので、今日はこの辺で。「幻想即興曲」については、次回。 7/26(月) ほぼ週一で掲示板の質問にレスしていたら、すっかり更新した気分になっていた。気が付いたら、なんと一ヶ月ぶりの日記ではないか。既に日記とは呼べないことはわかっている。が、今までもそうだったから、細かいことは気にしないことに(笑)。 トップページでお知らせしましたが、掲示板を休止しました。このところちょっと忙しくて、皆さんの質問にレスする余裕がないのよ(<誰、これ)。日記なら一ヶ月くらい書かなくてもいいけど、掲示板は一ヶ月も放っておくわけにはいかないからさ。 それに、わかめがこのサイトでやりたいのは、掲示板で質問に答えることじゃなくて、音楽のお勉強を系統立てて書いたり(ちっとも書いてないけど/笑)、日記で好きなことを書いたりすることなんで、ご理解ください。掲示板を停止したので、今までより、多少日記の更新頻度が増えるかもしれない(笑)。 それから、「休止」と書いてありますが、再開する予定は今のところありません。読みたい人がいるかもしれないのでしばらくリンクしておきますが、たぶん8月中には閉鎖することになるでしょう。掲示板にご参加くださった皆さん、長い間、ありがとうございました。ログは質問が一般的なものに関しては、できるだけアップしたいと思っています。 あ、ごめん。前回の日記で書くと言った「幻想即興曲」については、もう少し待ってください。 7/30(金) 旅行に出かけるので、わかめは4、5日留守です。掲示板も停止してあるし更新も滅多にしないようなサイトなので、別にお知らせする必要もないだろうと思ったんだけど、急にわかめに連絡を取りたくなる場合がないとも限らないので、念のため。ほら、万が一にも、旅行でわかめの教室のそばを通るからレッスンを……、とかさ(笑)。 8月5日以降はいますので、こちらにお越しの節は、是非お寄りください(笑)。 それから、誰も気付いてないと思うけど、3ヶ月振りに今週の楽語を更新しときました。既に「今週の楽語」ではなく「今月の楽語」でさえないが、この日記も全然「日記」ではないので、細かいことは気にしないように(笑)。 8/6(金) 無事に自宅に帰って来ました。ついでに、久し振りにわかめの近況など。 毎年10月には友人たちと小さなホールを借りて演奏会形式の勉強会を行っている(過去の日記参照)。昨年同様、わかめは今年も腕の調子が最悪なので、ピアノは諦めて歌を歌うことにした。曲目は「オンブラマイフ」と「Lascia ch'io pianga(私を泣かせてください)」の予定。 2年前に「オンブラマイフ」を歌った時は、「イタリア歌曲」の中声用を使った。だから、今回もそのつもりだったんだが、久し振りに歌ってみたら Es dur だと、最低音が真ん中のドより長二度下のB(変ロ)、最高音はそれより1オクターブ半高いEs(2点変ホ)なので、低くてちょいキツイ感じ。 わかめはたぶんソプラノじゃなくてメゾソプラノなんだと思う。でも、長2度高い F dur で歌ってみると非常に歌いやすいから、もし高声用が F dur なら、高声用の「イタリア歌曲」を買ってもいいな、と考えていた。ところが、高声用の「オンブラマイフ」って、驚いたことに、いきなり長3度も高い G dur なのよ(<誰これ)。最高音はGだから、出ないことはない。ないが、しかし、非常に歌いにくい。中声用も高声用も歌いにくいなんて、最悪。 わかめは移動ドだから、 Es dur の楽譜を見ながら F dur で歌うことなんて簡単だ。だけど、問題は伴奏譜なんである。F dur の伴奏譜を用意しなければ、F dur で歌うことはできない。 楽譜を手書きするのは結構大変だよなあ、なんて考えていて、ふと、3年以上前に「楽譜制作ソフト」なるものを買っていたことを思い出す。CD-ROM はすぐにみつかったが、3年以上前のソフトなので今使ってるPC(windows XP)では使えないことが判明。その時点で一旦は諦めかけたが、我が家に存在するいちばん古いパソコンが windows 95 だったので、試しにそいつにインストールしてみた。ちゃんと動くじゃないか! というわけで、現在「楽譜制作ソフト」と格闘中。手書きのほうが早いかも、と感じる今日この頃である……(笑)。 8/19(木) パソコンでの楽譜書きにもすっかり慣れて、F dur の「オンブラマイフ」もほぼ完成した。印刷してみて、やっぱ手書きより見やすいよなあ、と感激している。苦労した甲斐があったってもんだ。 楽譜書きが一段落してホッとしたのもつかの間、なんと、わかめに「健康セミナー」でピアノを弾いてくれ、という依頼が……。 実は一年半くらい前、同じようなセミナーの「みんなで歌いましょう」という時間に、伴奏を頼まれて行ったことがある。だから、また伴奏かと思っていたら、今度は歌わないでピアノだけを聴くという。ゲゲッ、と思ったが、歌謡曲のアレンジなどの気楽に聞けるもので40分くらい、ということだったので、堅苦しく考えず、やってみることに。 本番は2週間後。すぐに選曲して、練習始めないとな。 8/31(火) 上の日記に書いた健康セミナーの仕事だが、ギャラはすずめの涙なので、楽譜を買ってブラウスをクリーニングに出すと足が出そうである。しかし、楽しいからいいのだ。何より、練習する曲がある、という状況が、妙に新鮮である(笑)。 今回は、「冬ソナ」と「川の流れのように」を弾いてほしいというリクエストがあったので、そのほかに、みんなが知ってる曲というコンセプトで「夏の思い出」とか「赤とんぼ」とか「いい日旅立ち」とか「渚のアデリーヌ」とか「ショパンのノクターン」などを弾く予定です。手は万全とは言いがたいが、練習はちょうどいいリハビリになっているような気がしてる。 本番は電子ピアノなので、昨日、楽器の様子を見に行ってきた。初めはちょっと触っただけで響き渡る音にビビッて怖くて弾けなかったんだが、音質(?)を Mellow にしたら弾きやすくなったのでホッと一安心。電子楽器って慣れてないから、うろたえてしまうよ。 |