なにげない日記(抜粋) 1999年7月 8月

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 1999年9月


7/15(木)
 とうとうホームページを開いてしまった。一月前には微塵も考えていなかったのに、いったいどうしてこんなことになったんだろう。わかめのどこに、こんなに行動力があったんだろうか。
 パソコン歴はまだ2年弱で、インターネット歴8ヶ月のわかめは、ほんとにホームページなんて大それたものを作ろうなんて思っていなかった。
 それなのに、6月の末にHTMLの入門書を買ってきて、右も左もわからないまま、ホームページを一応作ってしまった。それで、こんなに悲惨なページになっているんだけどな。
 FTPも知らなかったのに、アップロードできた時には、やっぱり結構感激するものだ。ミスがあってリンクが働かないところとか、明日直さなくてはならないが。
 そんなわかめが、なぜ、ホームページを作る気になったのかというと、きっかけは二つあったと思う。
 一つめは書くことが思考することだと気が付いたからで、二つめは個人でも発信したいことさえあれば自由に発信することができるんだと気が付いたからだ。
 もう、ずっと長いこと文章を書くなんていうことはしていなかった。でも、自分の好きなことなら文章を書くことは楽しいのだと思い出した。小学校の作文や大学のレポートなんかは大嫌いだったけどね。
 で、いきなり書くことが懐かしくなったのかもしれない。
 ちょっと文章を書いてみたら書くことは思考することだとしみじみ思ってしまった。今まで長いこと何も考えずに生きていたのかとちょっと呆然とした。いや、実際には何も考えずに生きるなんてできないんだけどさ。でも、質が違うって言うか…。頭を使う場所が違うって言うか…。
 だけど、発信するものはあるのか?
 わかめが少しでも知っていると言えるのはピアノのことだけだ。それも、弾くことが物理的に好きなだけなので、弾くこと以外は何も知らない。曲の背景とかを特にこだわって調べたりしない性質(たち)なんだ。
 でも、ずっとピアノを教えてきて、わかめにはいろいろ思うところもある。
 気楽にいろいろ書いてみてもいいじゃないか。
 そう言う訳で、このホームページの作成がはじまったのだった。わかめは、ただの街のピアノ教室の先生だからたいしたことは言えないけどね。


7/18(日)
 世の中には先生(ピアノの)になったらピアノのレッスンには行かなくて良いと思っている方も多いだろうが(実際うちの生徒にわかめもまだピアノを習いに行っていると言うと驚かれる)真面目な先生はおけいこに通っている。大学の時の先生やどっかで誰かに紹介してもらった先生などに。
 人生にはいろいろなことがあるから事情があっておけいこに行けないこともあるだろうし(こういう時はわかめにもあった)別の方法で研鑽を積んでいる方ももちろんいるとは思うけど。ピアニストになって自分の音楽を確立しているとか自分に充分自信があるとかいう人はいいけど、上手くなりたいなら、普通の人は(先生になっても)できるだけレッスンには行った方がいい。自分の演奏を人に聞いてもらうということは、どんなに上手くても必要なことだからだ。
 わかめの教室にも、もうしっかり先生してる人が習いに来てくれてる。有り難いことだ。
 別にわかめは、レッスンに行っている先生が良い先生でレッスンに行かない先生が悪い先生だと言っているんじゃあないよ。(これについてはピアノの先生の選び方も参照して欲しい。) ピアノの演奏技術と指導者としての知識や能力は比例するわけじゃないからな。ただ、勉強熱心だということが重要な要素だと考える生徒や保護者の方々には、一つのめやすにはなるだろう。
 わかめは単に上手くないからレッスンに通っているんだが、得るものはたくさんある。それに教わる気持ちもよく分かるしな。あ、でも、さすがに週一とかじゃあないよ。もちろん週一に通いたい人は通ったって全然かまわない。練習嫌いのわかめには無理だが。


7/19(月)
 今日は生徒が一人休んだんだけど、その子ってば先週も休んだ。今日は風邪で学校も休んだ模様なので仕方がないんだが。うっかりわかめはお休みの連絡の電話で、先週と今週の分を夏休みにやってあげるなどと口走っていた。そう、わかめは仕事が趣味だからな。(ホントか?)
 いや、正直なところ、わかめだって先週の分までは振り替えてあげたくなんてなかったんだけどさ。一回分は仕方がないとしてもな。でも、明らかに時間的に無理だという場合以外は、つい他の日にレッスンしてあげますと言ってしまうのだ。気が弱くて。(ホントか?)
 お休みの次は辞めるかな、と連想するのは昔の音楽教室時代の強迫観念だろうか。でも真面目な子はあまり休まないから、これはまんざら間違った連想ではないのだ。本当はピアノを続けたいんだけど学校が大変でレッスンに来られない、なんて場合もあるけどな。
 練習をしてこなくてもレッスンにさえ来ていれば、少しずつでもピアノは上手になるもんだ。そりゃあ練習してくるにこしたことはないよ、そんなのは決まっている。でもな、本人に自覚がなければナカナカ練習するようにさせるのは大変なんだ。上手くなるためには練習が絶対必要だって自分で分からなきゃだめってことだ。それでもピアノ教室に通いつづけるっていうのも一つの才能だとは思うよ。
 保護者の皆さんが子供さんにピアノを続けて欲しいと思っているなら、レッスンを休ませないことだ。そのうちにピアノの練習に目覚めることもあると思うので。


7/22(木)
 ずっと前から不思議だと思っていたことがある。
 わかめはもう結構長い間ピアノを教えている。わかめだって昔は若かった。知識と実力は今も変わらないかもしれないが経験だけは今の方が絶対ある。なのに、わかめが何も知らないで無茶苦茶教えていた頃の生徒たちの方が、早く教本がすすんだり上手くもなっていたような気がするのだ。
 わかめだっていろいろ経験すればちょっとは教え方も上手くなっていると思うのにこれはいったいどういうことだろう。大学を出たばかりの頃は何歳の子供がどのくらいのことを理解できるものかさえも知らなかったし、やみくもに音符を読ませたりただ弾かせたりしていただけだった。
 今は、小さい子は形の認識はできるが(たとえば全音符と四分音符は違う形だ、など)位置の認識は難しい(五線のどの位置にあるか、ソかシかということなど)ということも本を読んだりして(もしかしたらセミナーで聞いたんだったか?)学んだから音符が読めなくてもいきなり怒ったりしなくなったし、リズムがよく分からない生徒とは一緒に踊ったりまでしている。練習してこなくても「ここで練習していきなさい!」などとは怒鳴りまくらなくなった。怒鳴りまくっていた方が生徒は上手くなるのか?
 そういうことを常々不思議に思っていたんだけど、テレビで最近の子供たちは以前より人に依存する傾向が強いので手取り足取り指導しなければならなくなっているというようなことを言っている人がいた。うーん、なるほど。
 昔は不親切に教えていても生徒は上手くなっていったが、今は親切に教えないと上手くならないってことか? わかめの教え方を考えてみても、確かに若い頃は放任な教え方だったし今は充分過保護な教え方だ。子供たちが変わったってことなら、やっぱり先生も変わらなければいけないだろうけど。もっと子供たちには知識や技術に貪欲になって欲しいものだ。


7/25(日)
 このホームページって、ピアノ教室関係あるいはクラシック音楽関係のホームページとはどっかズレてる感じだ。わかめが変わっているんだろうか。うーん。
 でもわかめにはこういうホームページしかできないんだから、カウンタをはやく回そうとするのは諦めたほうがいいかもしれない。気長にやっていれば、こういうページが好みだという奇特な方も現れるかもしれない。それを待とう。
 なんかすでに落ち込みモードのわかめであった。


7/27(火)
 さて、久しぶりにレッスンの話。
 生徒がどのくらい弾けるようになったら丸をあげるべきか? 
 丸をあげるというのは、先生が赤えんぴつか何かで花丸を書いてあげて、この曲はもう卒業して次の曲を練習しましょう、ということだ。いや、別に花丸じゃなくてもいいんだけど。
 そう、問題は丸の種類のことじゃない。鉛筆の種類のことでもないぞ。
 もちろん生徒の実力も個性も十人十色だ。それに、算数のテストじゃないんだから、上手いも下手も測れるものじゃない。感覚的なものと言えるかもしれない。
 ピアノの先生たちはきっと自分なりに考えて丸をあげていると思う。わかめも自分のポリシーがあって今まで丸をあげるかあげないか決めてきた。
 でも、ここのところ、少し悩んでいる。
 一曲一曲をきちんと仕上げるほうが、生徒が難しい曲を弾くようになった時に困らないだろうと思って、わかめは少しは厳しかったかもしれない。いい加減に丸にして、後で泣くのは嫌だからな、お互いに。
 でも、あんまり高い完成度を要求しても、そういうのがダメな生徒もいることに気づいた。その生徒が上手くないとか才能がないと言っているんじゃないよ。単に完成度を上げることに執着しないタイプだというに過ぎない。だから、実力はあるのにわかめが望む線の少し下くらいまでしか弾けるようにならない。
 初めはわかめもバカで、それに気づかずにいた。というか完成度をあげることがレッスンすることだと思っていたのかもしれない。
 でもなあ、性格なんだよな。だからわかめがどんなにがんばっても性格を変えることは無理と思う。で、方針を変えることにした。楽しくなきゃ音楽じゃないしな。生徒の性格に合わせたレッスンを心がけよう。うーん。プロみたい。あ、一応お金貰ってたら、プロですか?


8/3(火)
 ピアノの先生の選び方でさんざん書いたことだが、わかめの教室にも悲しいことに相性の合わない生徒が在籍している。
 わかめのレッスンの方針と全然違うことを望んでいるようだ。
 わかめの方針は、基礎的なテクニックを身につけさせ楽譜をちゃんと読めるようにさせて自立させたいというものだ。ちょっと試しに弾いてみようかなと思った曲を、いちいち先生のところへ持ってきて教えてもらわなきゃならないなんてヤダろ? で、あんまりいい加減なすすみ方はしたくない、とわかめは思ってしまうのだ。難しくなった時、壁にぶち当たってピアノが嫌いになったりしたら嫌だし。
 わかめも最近は心を入れ替えてむやみに何回も丸をあげないなんてことはしなくなったんだが、ちゃんとできてない感じの時は迷わず「もう一回練習してきてね。」と言っている。
 ピアノの教本はどんな教本でも簡単なところから難しいところへ進んでいくようになっている。10番が完璧に弾けなければ11番に進んではいけないなんてことはないけど、10番代の練習曲があるレベルに達しなければ、20番、30番と進んでいくのは辛いだろ? 
 一曲一曲をある程度うまくなるまで練習するという積み重ねが、テクニックを身に付けるためには必要だと思う。楽譜を読むのが目的ならそれでもいいが、上手くなりたいんなら少しは考えないとな。音符がまともに弾けるようになって初めてその曲を弾くというスタートラインに立ったことになるとわかめは思うぞ。
 生徒の中には「練習したのにちっとも上手くならない」とか「うちでは弾けた」とか「同じ曲をもう一週間練習してくるのは嫌だ」とか言う子もいる。
 うちでどんな練習をしてきたかは千里眼じゃないから知っている訳じゃない。レッスンで弾く様子で判断するしかないから、一生懸命練習してきても先生に認めてもらえない事もあるだろう。でも、そんなことはピアノ教室に限ったことじゃないぞ。世の中には結果だけを判断材料にすることはたくさんある。受験だってそうだよな。受験の当日に調子が出なかったからといって、もう一回受けさせてもらえるか? 
 しかしそれ以前に、練習したのに上手くならないとかいうくらいホンキで練習しているとは思えないけどな、あの弾き方では。
 とにかくそういう訳でおけいこしていてもちっとも楽しくない。こんなんじゃ、趣味で教えているとは言えないじゃないか。


8/4(水)
 夏休みは嫌だ。なぜなら、いつもは学校に行っている生徒たちが休みのため、非日常なレッスンスケジュールになってしまうからだ。いや、そうじゃなかった。わかめも毎日二人や三人ずつのレッスンをだらだらしているよりは休みが多いほうがいいので一日にまとめてレッスンできることはいいんだ。困るのはいつもと違うレッスン日やレッスン時間を忘れる生徒が毎日一人以上は必ずいる、ということなのだ。わかめにはわかめの予定というものがある。
 でも、つい、忘れて来なかった生徒に電話までして、別の時間にレッスンしてあげてしまう。それで生徒のほうも懲りないのか?
 さすがのわかめも替えてあげた時間に来ない時はもう電話しないけどな。
 しかしなあ、君たちの生活がピアノ中心に回っていないのはわかっているけど、約束を守るのは人間として普通のことだと思うぞ。


8/5(木)
 昨日、夏休みはレッスンを忘れる生徒が毎日必ずいると書いたけど、今日は全員ちゃんと来た。ので、訂正。夏休みは夏休み以外のレッスン日より多くの生徒がレッスンを忘れる傾向にある。


8/9(月)
 相性の悪い生徒との不毛な会話のため、30分のレッスンの筈が1時間が過ぎていた。次の生徒がいなかったので時間は延び放題。あんなに時間を費やして、建設的な解決法を見つけられないわかめって、ちょっと情けない。
 別にこの生徒が悪いヤツだと言っているんじゃない。ただわかめとは相性が合わないんだ。お互い、見ている方向が全然違うもんな。
 でも、このままではわかめは精神的にまいってしまうので、なんとかしなくては。


8/17(火)
 レッスンをなんとか乗り切って帰宅。練習曲(今回は一曲しか弾いていかなかった)が上がってしまい(丸になったということ)もうストックがない。ぼんやりしていると次のレッスン日になってしまうので、すぐにも練習始めないといけないんだが、アハハ。やっぱりレッスンが終わった日くらい羽を伸ばさないとな、っていつも羽を伸ばしっぱなしだけどさ。
 レッスンが終わってから先生と少しだけお話ししたんだが、生徒の中には注意するとムッとするタイプの子もいるらしい。自分の意見を持つことは大切なことだけど、人の言うことを素直に聞けないとそれは結局自分に戻ってくるぞ。ほら、注意されて(ピアノに限らず何に対しても)ムッとしているあなた。人の言うことを全部鵜呑みにしろとは言わないが、人生を実り多きものにするためには、人の話に耳を傾けることも必要だ。
 わかめ、お前もな。


8/19(木)
 今日は大人の生徒さんがレッスンにいらした。わかめの教室には大人の生徒さんが何人かおけいこにいらっしゃるのだが、中には大人になってから初めてピアノに触るという方もいる。わかめは子供の頃からピアノ教室に通っていたし、ピアノを習うなら子供のうちからやらないと、という世間の常識(?)にも染まっていたので、大人になってからピアノを始めても弾けるようになるのか実のところ半信半疑だった。ところが!
 これがちゃんと弾けるようになるのでびっくり。それぞれの意識や練習量や知識が違うのだから、みんなが同じように上手くなる訳ではないが、わかめは右手と左手が別々に動くようになるということにまず感動した。これってバカにしているんじゃないよ。
 大人の方でピアノをやってみたいな、って思っているけどレッスンには行けない人って両手を別々に動かすなんて無理だと思っているからなんじゃないですか?
 そう思っているあなた、大丈夫です。やる気さえあれば両手でピアノを弾けるようにはなります。ただみんながショパンの「ノクターン」を弾けるようになる訳ではありませんけどね。


8/26(木)

 夜遅くに電話があった。フルートの伴奏の依頼。ホテルのロビーで弾くという仕事である。去年はたまに(片手で数えられるくらい)していたんだが、今年はなんと初めて(もう9月だぞ)。もう、そんな昔に弾いた曲なんて弾けないぞ! その上、新しい曲もやると言う。しかし、まあ、仕事まで半月ほどあるから、ありがたくお受けした。そう言やぁ、初めてのこの仕事の時には一週間くらいしか時間がなくて、練習しすぎて指が浮腫んだことをなつかしく思い出すよ。伴奏の曲って数が多いから嫌さ。難しいっていうより時間ばかりがかかるのだ。
 明日は練習三昧になると思う。(ホントか?)


8/27(金)

 練習三昧の日(ウソ)。でも、伴奏の練習はした。よくしたもので少し弾いていると思い出してくるじゃあーりませんか。良かった。今度は指を腫らさなくてすむよ。なんてったって日頃練習しない若芽先生だからな。いきなり弾くと酷い目に合う。皆さんはマネをしてはいけませんよ。毎日しっかり練習しましょう。

 体調はいい感じなんだけど、食欲がない。これで人並みに夏に痩せられるのだろうか?


8/30(月)

 伴奏の楽譜が夕方届く。山のよう。この中から弾けそうなのを弾けばいいという話だが、いっぺん弾くだけで時間かかりそう。だいたい譜面の様子で弾くか弾かないか決めよう。でないと練習してる時間がないやん。


8/31(火)

 伴奏は、とりあえず、6曲採用、2曲不採用、5曲考え中。というところで、採用したヤツを練習しなくちゃ。

 1999年9月


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