楽典 5


 音程(おんてい) その2 (幹音どうしの音程 2 「完全系」)

メダカ : 若芽先生、今日は「音程」の2回目ですね。

若 芽 : そうだな。前回は何をやったっけ? 

メダカ : 長短系と完全系があるってところまでです。

若 芽 : ああ、そうだったな。じゃあ、今日は、白鍵どうし、つまり幹音どうしの音程について、1度から説明しよう。メダカ、1度は頭に何が付くのか覚えたかね? 

メダカ : ええ、バッチリです。1度は完全系なので「完全1度」となります。

若 芽 : よしよし。1度というのは#や♭が付かなければ全く同じ音だ。だから、「ド−ド」も「レ−レ」もみんな「完全1度」ということになるし、それに関連して、オクターブ離れた「ド−ド」と「レ−レ」などもみんな「完全8度」だ。

メダカ : なんだ、簡単じゃないですか。

若 芽 : 1度と8度はな。同じ完全系の4度を見てみよう。

メダカ : 4度というと「ド−ファ」(低い音→高い音の順)ですね。

若 芽 : この「ド−ファ」の間に全音と半音はいくつあるかな。

メダカ : 「ドレ」が全音、「レミ」が全音、「ミファ」が半音だから、全音2つと半音1つです。

若 芽 : 4度の間に全音2つと半音1つがある音程を完全4度という。

メダカ : 若芽先生、「レ−ソ」だって「ミ−ラ」だってみんな全音2つと半音1つの4度ですよ。全部「完全4度」じゃないんですか? 

若 芽 : 「ファ−シ」はどうなってる? 

メダカ : 「ファ−シ」だって…。あれっ? 半音がない! 先生、全音が3つで半音がありませんっ。

若 芽 : まあまあ、そんなに興奮しないで。つまり、完全4度より半音広くなっているわけだな。

メダカ : そうです。半音がなくて全音が一個多いんですから、半音分だけ広がった音程になるわけです。

若 芽 : この全音3つの4度は、幹音どうしでは「ファ−シ」しかない。これを「増4度」(ぞうよど)と言う。

メダカ : 変な名前。

若 芽 : しょうがないだろ! 若芽が決めたわけじゃないぞ。

メダカ : はいはい、わかってますって。じゃあ、つまり、4度は「ド−ファ」も「レ−ソ」も「ミ−ラ」も「ソ−ド」も「ラ−レ」も「シ−ミ」も全部「完全4度」なんだけど、「ファ−シ」だけが「増4度」なんですね? 

若 芽 : そういうことだ。白鍵どうしでは、ってのを忘れないようにな。

メダカ : やっぱり簡単じゃないですか。

若 芽 : 次は5度にいくぞ。5度も、基本的にはほとんど「完全5度」なんだが、一つだけ違うものがある。メダカ、わかるか? 

メダカ : ええと。ちょっと待ってくださいよ。「ド−ソ」の間には、全音は「ドレ」「レミ」「ファソ」の3つで、半音は「ミファ」が1つだから…。それから、「レ−ラ」の間も全音が3つで半音が1つだし…、「ミ−シ」の間にも全音は3つ、半音は1つ…。

若 芽 : だから、それはなんて言う音程なんだ? 

メダカ : ほとんど「完全5度」だって言いましたよね? この全音3つ半音1つという音程が「完全5度」だと思われます。

若 芽 : で、一つ違うのはどれ? 

メダカ : ええと。「ファ−ド」は全音3つで半音1つだし…、「ソ−レ」は…。

若 芽 : ヒントは「増4度」だ。

メダカ : え? だって今やってるのは5度ですよね。なんで4度が出てくるんですか?

若 芽 : いいから、増4度を反対にしてみなさい。

メダカ : 増4度を反対ですか? 反対ってことは、増4度は「ファ−シ」だったから「シ−ファ」ですね。「シ−ファ」の間には、あ! 半音が2つある! 「シド」と「ミファ」と半音が2つもあります! 

若 芽 : メダカ、そんなに興奮するようなことか? (変なヤツ)

メダカ : 若芽先生、「シ−ファ」の間は全音が2つで半音が2つになってます。つまり、完全5度より半音狭いんです。

若 芽 : 結構、結構。その通りだよ、メダカ。「完全5度」より半音狭い音程を「減5度」(げんごど)と言う。

メダカ : また、変な名前。ゲンゴロウみたい。

若 芽 : とにかく、そういう名前なんだから、ちゃんと覚えるように。間違ってもゲンゴロウとか言わないように。

メダカ : やだなあ、先生。そんなこと、言うわけないでしょう? 

若 芽 : (ちょっと信用できない。)今日はここまでにしよう。メダカ、今日のまとめをしなさい。

メダカ : 今日は幹音どうしの音程のうち「完全系」をやりました。幹音どうしの場合、1度と8度は全部「完全」が付き、「完全1度」「完全8度」となります。

若 芽 : よしよし、それから? 

メダカ : 4度はほとんど「完全4度」ですが、例外が一つあって、「ファ−シ」が「増4度」です。「増4度」は「完全4度」より半音広い音程です。

若 芽 : なんか、メダカ、今日の君はすばらしいな。

メダカ : へへへ。5度も、ほとんどは「完全5度」ですが、「シ−ファ」だけは「減5度」です。「減5度」は「完全5度」より半音狭い音程です。

若 芽 : 大変、結構。

メダカ : 皆さん、今日はここまでです。「音程」に関してはまだまだ続きますので、今の段階でよくわからなくても、全然心配いりません。回を重ねるうちに、だんだんわかってきますので、安心してください。今日のところは、完全系の幹音どうしの音程をしっかり覚えておきましょう。次回は「長短系」です。では、さようなら〜。

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