音程(おんてい) その4
(幹音どうしの音程 4 「転回音程」)
メダカ : 若芽先生、今日は「幹音どうしの音程」のまとめですね。
若 芽 : やっと、幹音どうしの音程も、今回で終わりか。長かったなあ。
メダカ : 何、自分の世界に入ってるんですか。さっさと始めてください。
若 芽 : ああ、悪い悪い。今回は6度と7度のことを重点的に勉強しよう。
メダカ : そう言えば6度にも短6度と長6度があって、いちいち半音の数や全音の数を数えるのは面倒だって僕が言ったら、もっと簡単な方法があると、言ってましたね。
若 芽 : うん。2度や3度は、慣れてくれば、ド−レ(下の音→上の音の順番)が長2度だとかレ−ファが短3度だとかすぐにわかるようになるけど、6度とか7度はちょっと厄介だよな。
メダカ : ええ。とっても大変です。
若 芽 : 鍵盤を見ていれば、どこに半音があるのか見えるから、6度の音程が「長」なのか「短」なのか考えるのもそんなに難しいことじゃないが、頭の中だけで考えていると混乱することがある。
メダカ : もう、既にメチャクチャになってます。
若 芽 : じゃあ、早速、その簡単な方法、というのを説明しよう。
メダカ : はい、お願いします。
若 芽 : 「ド−ラ」を逆さまにしてみよう。「ラ−ド」になるだろ?
メダカ : ええ、なりますが。それが?
若 芽 : 「ラ−ド」は何度だ?
メダカ : えっと、短3度です。
若 芽 : その通り。3度だと「短」なのか「長」なのか、すぐにわかるよな。
メダカ : はあ、まあ、わかりますけど。それが、なんなんですか? 今知りたいのは「ラ−ド」じゃなくて、「ド−ラ」ですよ。
若 芽 : だから、これが、音程がすぐわかる秘密兵器の「転回(てんかい)」なんだ。
メダカ : え? さりげなく聞いたこともない言葉を使わないで下さいよ。「転回」って、なんなんですか?
若 芽 : 今、やったみたいに、音程を作っている2つの音を逆さまにすることだよ。それを、「音程の転回」というんだ。わかった?
メダカ : もう1度、お願いします。
若 芽 : 「音程の転回」っていうのは、2つの音がある時、低い方の音を1オクターブ上に移動させるか、あるいは高い方の音を1オクターブ下に移動させるってことだ。(転回の結果できる音程を「転回音程」と言う。)
メダカ : ということは、たとえばド−レという音の場合は、ドを1オクターブ上に持っていくか、レを1オクターブ下に持っていくってことですね。
若 芽 : その通り。
メダカ : ということは、ド−レはレ−ドになりますね。
若 芽 : その通り。
メダカ : あの〜、先生。それが?
若 芽 : 「転回」させると、簡単に音程がわかるんだ。
メダカ : え?
若 芽 : ここは大事だから、ちゃんと聞いておくように。
メダカ : はい。
若 芽 : 2度を転回させると7度になり、3度を転回させると6度になる。4度を転回させると5度になり、5度を転回させると4度、6度は3度、7度は2度になる。何か気が付くことは。
メダカ : 足すと9になります。
若 芽 : その通り。元の音程(原音程)と転回音程を足すと9になるんだ。(8ではないので注意すること。)ではもう一つ。長音程を転回させると短音程になり、短音程を転回させると長音程になり、完全音程は完全音程に、減音程は増音程に、増音程は減音程になるんだ。
メダカ : ほう。ということは、長2度を転回させると短7度になり、短3度を転回させると長6度になる。完全4度を転回させると完全5度、減5度を転回させると増4度になるということですね。
若 芽 : 切れ味がいいなあ、今日は。
メダカ : えへへ、それほどでも。でも、それでどうして簡単に音程がわかるんですか?
若 芽 : (溜め息) 6度や7度のように広い音程の場合、長7度か短7度か迷うことがあるだろ?
メダカ : ええ。あります。
若 芽 : たとえば、7度を転回させると2度になる。2度なら、短2度か長2度かすぐにわかるよな。転回音程が長2度だったら元の音程は短7度だし、転回音程が短2度だったら?
メダカ : 元の音程は長7度になります。
若 芽 : ほらな、簡単だろ?
メダカ : うーん(簡単かどうか、考えている)。
若 芽 : まあ、無理に転回音程を使え、と言っているわけじゃないぞ。転回音程を使ったほうが楽だわ〜、と思った人は使えばいいし、転回音程なんてめんどくさいゾ〜、という方は、前回までのように、半音と全音の数で音程を求めるのが良いと思うよ。どっちにしても、答えが正しければいいんだからな。
メダカ : それはそうですね。どんな方法でも、正しい答えがわかればいいってことですからね。
若 芽 : そういうことだ。今日のまとめとして、若芽が、転回音程の表を作ってみた。
メダカ : ほう、素晴らしい。
若 芽 : 転回音程が気に入った方は、参考にしてくれ。
メダカ : ちょっと考えたんですけど、音程を求める時に、転回音程でも確かめると、間違いは少なくなりそうですね。
若 芽 : メダカ、今日の君は、本当に切れ味がいいなあ。次回もその調子でかんばってくれ。
メダカ : はい、がんばります。では、皆さん、下の表を参考にして、自分に合った音程の求め方を見つけてくださいね。さようなら〜。