楽典 8


 音程(おんてい) その5 (派生音を含む音程 その1)

メダカ : 若芽先生、今日の音程の勉強には、#や♭が付いた音も出てくるんですよね。

若 芽 : そうだ。いよいよ、音程の勉強も佳境に入ってきたな。

メダカ : なんか、#や♭が付くと難しそうですが。

若 芽 : いや、全然。

メダカ : え? 全然難しくないんですか。

若 芽 : 幹音同士の音程がわかっていれば、楽チンだ。

メダカ : へえ、そうなんだ。ちょっと気が抜けてしまいましたよ。今日は難しい話だと思っていたのにな。

若 芽 : 難しくなくて悪かったな。

メダカ : いや、もちろん嬉しいですよ。皆さんもそう思っていると思いますよ、きっと。では、若芽先生、説明をよろしくお願いします。

若 芽 : ハイハイ。では、まず、下の表を見てくれ。

メダカ : この表はなんですか。

若 芽 : これは、どんな楽典の本にもたいてい書いてある。(楽典の本に書いてあるのはこんな表ではありません。「唇」みたいな形です。)

メダカ : はあ、それで。

若 芽 : この表を使って、派生音を含む音程を解明しようというわけだ。その前に、メダカ、完全系と長短系は混ざらないってことを覚えているか。

メダカ : ああ、そんなことを前に勉強しましたね。

若 芽 : 大丈夫かなあ。

メダカ : 大丈夫です。ちゃんと覚えてますよ。

完全系と長短系の音程の変化のしかた
(隣りのマス同士は半音ずつ音程が違う)
重減
(じゅうげん)
(げん)完全(ぞう)重増
(じゅうぞう)
狭い ←―――――――――――――――――――――――→ 広い

若 芽 : 覚えていてもいなくても、とにかく、完全系と長短系は混ざらない。だから、上の表のように2つの系列ができる。

メダカ : ああ、これは2つの系列ってことなんですね。真ん中の部分だけが2段になっているから変だなあと思いましたよ。

若 芽 : 若芽ががんばって作った表に何か文句でも?

メダカ : いえ、とんでもありません。素晴らしい表です。

若 芽 : わかればよろしい。一応、上の表の見方を説明しておこう。完全系の音程は、完全○度より半音広がると1マス右へ進んで、増○度、更に半音広がるともう1マス右の、重増○度、になる。

メダカ : じゃあ、完全○度が半音狭くなると1マス左の減○度になって、もう半音狭くなると、もう一つ左の、重減○度になるわけですね。

若 芽 : その通り。で、長短系は、短○度が半音広くなると、一つ右の長○度になり、さらに半音広くなると増○度に、さらにさらに半音広くなると重増○度になる。狭くなるほうは、完全系と同じで半音ずつ減○度、重減○度、となるわけだ。

メダカ : 長○度は、半音広がれば増○度で、半音狭くなると減○度ですね。

若 芽 : 何を言っているんだ。よく表を見てみなさい。長○度は半音狭くなると短○度になるじゃないか。

メダカ : あ、ホントだ。もう半音狭くなった時に、減○度になるんだ。

若 芽 : そうそう。では、表の見方もわかったところで、いよいよ上の表を実際に使って、派生音を含む音程を理解しよう。

メダカ : はい、お願いします。

若 芽 : では、2度から。2度というと、どういう音の組み合わせがあるかね?

メダカ : ド−レ。

若 芽 : ずいぶん、簡単だなあ。まあ、いいか。派生音を含む音程の勉強だから、ド#−レの音程を考えてみよう。

メダカ : はい。

若 芽 : 今、ド#−レの音程を考えると言ったが、こういうふうに#や♭が付いていても、初めは、#や♭は無視して幹音同士の音程を考えなければならない。

メダカ : どうしてですか?

若 芽 : 音程の○度という数字の部分は、幹音同士の音程で決まるからだ。

メダカ : え?

若 芽 : え? ってなんだよ。そんなところでボケるな。

メダカ : え、でも、なんか、よくわからないんですが。

若 芽 : しょうがないなあ。ド#とレ♭は異名同音(名前は違うが音は同じ)だろ? だけど、たとえ音の高さは同じでも、楽典では、ド#とレ♭は別のものなんだ。

メダカ : はあ。で?

若 芽 : つまり、ド−レは#や♭がいくつ付いても2度だし、レ−レは#や♭が付いても1度なんだ。変わるのは頭につく「長」とか「短」だけなんだ。わかったか?

メダカ : と言うことはですね。ド#−レとレ♭−レは同じ半音なのに音程は違うってことですか?

若 芽 : 当然だ。

メダカ : えー? ちょっと混乱してきましたよ。若芽先生、僕はちょっとわけがわからなくなりましたので、帰らせていただきます。

若 芽 : ちょっと、メダカ、待ちなさい。

メダカ : では、失礼します。

若 芽 : (しばしボーゼン) 皆さん、メダカが帰ってしまったので、申し訳ありませんが、今日はここまで。では、さようなら。

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