楽典 10


 音程(おんてい) その7 (まとめ)

メダカ : 若芽先生、いよいよ、音程の勉強もまとめですね。

若 芽 : ちょっと、くどくど説明しすぎたかもしれないが、音程をきちんと理解できないと、このあとの音階や和音の説明がチンプンカンプンになってしまうからな。

メダカ : つまり、音程をしっかり勉強しておけば、これから先の勉強もそれほど大変ではない、ということですね。

若 芽 : メダカもたまには良いことを言うなあ。

メダカ : 「たまには」は、余計です。

若 芽 : ははは。さて、この前は1度と2度の問題をやったので、今日は、3度から始めよう。そうだ、メダカ、君が問題を考えなさい。

メダカ : え? 僕がですか? 

若 芽 : うん。

メダカ : わかりました。えーと、ミ♭−ソ#なんてどうでしょう。(低い音→高い音の順)

若 芽 : お! いきなり、臨時記号が2つもついているな。結構、結構。

メダカ : あ、しまったな。もっと簡単な問題にすれば良かった。

若 芽 : なんか言ったか? 

メダカ : いえ、何も言ってませんよ。じゃあ、解いてみましょう。

若 芽 : 幹音同士の音程は?

メダカ : ミ−ソですから、短3度です。

若 芽 : で、臨時記号がついたことで、音程はどう変化するんだ?

メダカ : ソについた#で半音広がり、ミについた♭でもう半音広がるので、半音2個分広くなりました。

若 芽 : ってことは、何度なんだ?

メダカ : (下の表を見て)ええと、「短」より広いほうに2マス、ということは、「長」「増」と2つ右にずれますから、「増3度」です。


完全系と長短系の音程の変化のしかた
(隣りのマス同士は半音ずつ音程が違う)
重減
(じゅうげん)
(げん)完全(ぞう)重増
(じゅうぞう)
狭い ←―――――――――――――――――――――――→ 広い

若 芽 : 正解。では4度の問題。シ−ミ♭(低い音−高い音)の音程は?

メダカ : 幹音同士の音程は、シ−ミだから完全4度で、上のミに♭がついているからこの音程より半音狭くなっていて…、えっと、減4度です。

若 芽 : 正解。じゃあ、次は5度だな。

メダカ : レ#−ラ♭なんてどうですか? 

若 芽 : また、臨時記号が2つ付いてるぞ。

メダカ : あ、しまった。

若 芽 : 臨時記号なんて、いくつ付いていても難しいことはない。同じように考えればいいんだ。

メダカ : はあ、がんばります。ええと、まず、幹音同士の音程はレ−ラだから完全5度で…、低いほうの音が#ということは「狭くなる」、それから高いほうの音に♭が付いているから、また「狭くなる」。ということは、完全より、狭くなって狭くなるから、表では左へ1、2……。ええっ、重減5度、ですか?

若 芽 : その通り。

メダカ : 重減音程とか重増音程なんて、ただ、理論上あるだけかと思ってました。結構身近にあるんですね。

若 芽 : まあな。

メダカ : 次は6度ですね。もしかして、若芽先生、6度と7度は「転回」を使うのでは?

若 芽 : メダカ、すばらしい。よく転回を覚えていたな。

メダカ : へへへ。任せてください。(転回を忘れてしまった方は、楽典 7をご覧ください。)

若 芽 : では、問題。ファ#−レ♭(低い音−高い音)の音程は?

メダカ : ファ−レって、すぐには何度かわかりませんねえ。こういう時には、転回を使うんですね。

若 芽 : どういうふうに考えるのか説明してみなさい。

メダカ : はい。「ファ−レ」を逆にして「レ−ファ」にすると、すぐに短3度だってわかります。短3度を転回した音程は、長6度ですから「ファ−レ」は長6度ということです。

若 芽 : よしよし。それで?

メダカ : 低いほうのファに#が付いていて、高いほうのレに♭が付いているので、半音ずつ2回狭くなります。長6度から表を左へ1、2、と狭くなるほうへ移動すると…、減6度ですね。

若 芽 : 正解。では、最後の7度の問題。ミ♭−レ#はどうだ?

メダカ : え? ミ♭とレ#って、オクターブじゃないですか?

若 芽 : だからさ、1度の時にも言っただろ? 実際に出る音がオクターブでも、幹音がミ−レだったら、7度なんだよ。

メダカ : あ、そうか。ええと、では、やってみます。「ミ−レ」を反対にした「レ−ミ」は長2度ですから、もともとの「ミ−レ」は短7度ですね。それで、低いほうのミに♭が付いていて、高いほうのレが#なんだから、半音ずつ2回広くなっています。だから、短7度から、長、増と2回広いほうへ移動するので、答えは増7度です。

若 芽 : もう、メダカは、音程はバッチリだな。

メダカ : そうですか? そうですよねえ。僕もそうだと思ってました。へへへ。

若 芽 : さて、皆さん、「音程」は理解していただけたでしょうか。「音程」の勉強はこれで終わりです。今回は、ダブルシャープやダブルフラットについては、話がややこしくなるので説明してありませんが、ダブルシャープがどういうものかおわかりなら、考え方は同じですので、おわかりいただけると思います。何か疑問がありましたら、掲示板かメールで、質問してください。

メダカ : 先生、質問。

若 芽 : なんだ、もう質問か?

メダカ : 今は、片方の音に#、もう片方には♭が付いている音程を主にやりましたが、もし、両方に#、あるいは♭がついていたら、それって幹音同士の音程と同じなわけですよね?

若 芽 : もちろん、同じだ。低いほうの音を半音上げても、高いほうの音を半音上げたら、その間の距離は変わらない。

メダカ : じゃあ、#が両方に付いていたら、消しちゃえばいいんですね。簡単だなあ。皆さん、長かった「音程」もやっと今回で終わりです。お疲れ様でした。次回は「音階」でお会いしましょう。さようなら〜。

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