ピアノのレッスン室 10


 スタッカートの弾き方

メダカ : 若芽先生、今日は、いよいよスタッカートの勉強ですね。

若 芽 : メダカ、前回の「レガート弾き方」の時も、いよいよ、とか言わなかったか?

メダカ : え? そうでしたか? まあ、いいじゃないですか。さあ、始めましょう。

若 芽 : この前説明したレガートには、極端な話、弾き方は1種類しかない。レガーティシモとかもあるから、気分的には「とってもレガート」ってことはあるだろうが、まあ、とにかくレガートは、この前練習した重心移動さえできれば、オッケイだと思う。だが、スタッカートの弾き方はちょっと複雑だ。

メダカ : 複雑、ですか? なんか、イヤな予感。

若 芽 : 何か、不満でも?

メダカ : そんな、不満なんてあるわけないじゃありませんか(汗)。でも、複雑ということは、スタッカートには、何種類も弾き方があるってことですか?

若 芽 : スカッカートとかスタッカティシモとかメゾスタッカートとか、いろいろあるだろう? スタッカートにテヌートがついたヤツもあるし。

メダカ : ああ、そうですね。でも、先生、そんなの、長さが違うだけでしょう?

若 芽 : 確かに長さは違うが、弾き方だっていろいろだぞ。ただのスタッカートだって、柔らかいスタッカートや、堅いスタッカートや、丸いスタッカートや鋭いスタッカートや…。

メダカ : はいはい、わかりました。

若 芽 : あ、そうだ。もう一つ大事なことを思い出した。スタッカートが書いてあると、熱いものに触った時のように、できるだけ指を速く鍵盤から離そうとしている人を見るけど、あれだけはやめて欲しいなあ。なんで、あんなに人を驚かすような弾き方をするかなあ。

メダカ : でも、先生、スタッカートは「跳ねて弾く」ってことでしょう?

若 芽 : 君までそんなことを言っているのか? スタッカートは跳ねて弾くなんて意味じゃないぞ。音を短めに弾いて、短く弾いたあとを、音の無い状態にするってだけだ。わかりやすいように「跳ねて弾く」と言うこともあるけど、だからって、あんな風に火傷しそうなものに触った時のように弾くのとは絶対に違う!

メダカ : まあまあ、先生、そんなに興奮しないで。

若 芽 : とにかく、そういうことだから、忘れないように。

メダカ : はい、わかりました。スタッカートは「音を短めに弾く」ってことですね。

若 芽 : そうそう。

メダカ : で、先生、いよいよスタッカートの弾き方ですが、どんな風に練習すればいいんでしょう。

若 芽 : いろいろなスタッカートの弾き方を一度にやるわけにはいかないから、今日は一番基本的だと若芽が考えているスタッカートの弾き方について、説明するか。

メダカ : どんなスタッカートですか?

若 芽 : ボールが跳ねるように弾く、スタッカートだ。

メダカ : ボールというと、サッカーボールとかバスケットボールとかですか?

若 芽 : うん。なんでもいいけど、スーパーボールはダメだゾ。跳ねすぎるからな。

メダカ : ああ、なるほど。若芽先生はずいぶん跳ねすぎることが嫌いなんですね。

若 芽 : そうじゃない。どんな場合でも、大事なのは音楽なんだから、それを損なうような弾き方はだめだって思っているだけだ。

メダカ : そりゃあそうですね。

若 芽 : さて、では、始めよう。鍵盤から離れた位置から指を落とすと、音が汚くなるから本当はあんまりやりたくないんだけど、ボールのようなスタッカートを弾くためには、2、3cm上から落としたほうが自分の指先をボールだと想像しやすいと思うので、まず、鍵盤の2、3cm上に指を構える。

メダカ : こうですか?(鍵盤の2、3cm上に3の指を構える)

若 芽 : そうそう、そんな感じ。それから、自分の指先をボールだと思って、弾(はず)んでみなさい。

メダカ : (ぼぉン)

若 芽 : なんだ? ちょっと変な音がしたけど。もっとリラックスしてポンポンと弾むんだよ。

メダカ : はあ。こうですか? (ポンッポンッ)

若 芽 : 無理に鍵盤から引き剥がしてるって感じだゾ。まるで、棒の先にボールを付けて動かしてるみたいだな。

メダカ : 自分でもそう思います。

若 芽 : 鍵盤じゃないところで、机の上とかで跳ねてみたらどうだ?

メダカ : (やってみる)あ、いい感じです。

若 芽 : 当たり前だが、地球上には重力があるので、上から落としただけでは手がボールのように弾むことはない。でも、鍵盤の底まで行ってそれ以上鍵盤が下がらなくなった時に、その抵抗を上手に上に戻る力に変えることができれば、ごく自然にボールが跳ねるようにスタッカートできるんだ。

メダカ : よくわかりませんが。

若 芽 : メダカ、君さ、ちょっとそこの壁に手をついて、勢い良く押してみなさい。

メダカ : え? こうですか? (壁を押して後ろによろけるメダカ)

若 芽 : な。

メダカ : え? な、ってなんですか?

若 芽 : 壁を強く押すと、自分の身体は壁から離れるだろ?

メダカ : そんなの当たり前じゃないですか。

若 芽 : つまり、メダカは壁に押されたってことだろ? だからさ、スタッカートも、強く鍵盤を押し込むと、その反動で指が鍵盤(の底)に押されて、浮きあがるってわけだ。もちろん、さっきも言ったけど、重力の問題があるから、壁のように上手くはいかないけどな。

メダカ : ほう。(実は、イマイチよくわかっていない。)

若 芽 : 若芽が言いたいのはさ、綺麗で自然なスタッカートを見つけて欲しいってことだ。

メダカ : でも、それが難しいんですよ。

若 芽 : さっきは少し上から指を落としたけど、違うやり方もやってみよう。まず、鍵盤に指をくっつけてから、下に向かって鍵盤を押し込む。強く押し込むと、壁を押した時のように反動で手が鍵盤から離れるから、その手をピアニストが最後の音を弾いたあとのように目の高さくらいまで上げるんだ。

メダカ : こうですか? あれ? なかなか腕が上がらないなあ。

若 芽 : 腕に力が入っているから、弾もうとしている指の動きが止められているんだ。それで、力が入ったスタッカートになる。もちろん、そういう音が欲しい場合もあるから、そういう弾き方がだめだ、と言っているんじゃないよ。でも、はじめはいちばん自然なスタッカートを弾けるようにして欲しいから、腕がふわっと上げられるようにもう少し練習してみなさい。

メダカ : こんな感じかなあ。(と言いながら、練習を続ける)

若 芽 : 皆さん、メダカはどうやら、練習にはまってしまったようなので、長くなりましたし、今日はここまでにします。説明や練習の仕方がわからない方は、遠慮なく質問して下さい。では、さようなら。


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