ペダル その1
(ペダルのしくみ その1)
メダカ : 若芽先生! 今日は、いよいよ「ペダル」の勉強ですね!
若 芽 : どうしたんだ、メダカ。異常にテンションが高いじゃないか。熱でもあるのか?
メダカ : 何言ってるんですか! 今日は憧れのペダルの勉強ですよ! ワクワクするなあ。
若 芽 : ほう。メダカは「ペダルの勉強」が憧れだったのか。
メダカ : 「ペダルの勉強」が憧れなんじゃなくて、「ペダル」が憧れなんです!
若 芽 : その二つのどこが違うんだ?
メダカ : 勉強に憧れているわけじゃなくて、ペダルが踏めるようになることに憧れているんですよ。
若 芽 : だが、ペダルを踏めるようにするためには、ペダルの勉強が必要だろ?
メダカ : それはそうですけど。
若 芽 : じゃあ、ペダルの勉強に憧れている、でも、同じことだな。
メダカ : え? でも、それは、なんか違うんじゃ……。
若 芽 : なんか言ったか?
メダカ : いえ、何も言ってません。それより、先生、ペダルの勉強を始めましょう。
若 芽 : よしよし。ところで、メダカ。お前はどうしてペダルに憧れているんだ?
メダカ : そりゃあ、ペダルが踏めたら凄く上手くなった気がするでしょう? ピアニスト気分、っていうヤツですよ。
若 芽 : なるほどな。だが、下手なペダルだったら、踏まないほうがマシだぞ。
メダカ : え? ドキッ!
若 芽 : さて、釘を刺したところで、いよいよペダルの踏み方を、と言いたいところだが、その前にペダルそのもののことを知らなければならない。
メダカ : ペダルそのものを知るって、どういうことですか?
若 芽 : ピアノにはペダルが何本ある?
メダカ : えっと、普通は3本ですよね。古いピアノはペダルが2本しかないタイプもありますけど。
若 芽 : そう、3本ある。それは、みんな同じ役割を持っているわけじゃないよな。
メダカ : もちろん、そうですよ。同じ役割だったら、3本も要らないじゃないですか。
若 芽 : そりゃ、そうだな。
メダカ : 右のペダルは、踏むと、鍵盤から手を離しても音は鳴ったままになりますよね。左端のは弱音ペダル、っていうヤツでしょ? 真ん中のはよくわからないけど、とにかく、それぞれ役割が違うのは当然です。
若 芽 : その通り。それぞれ役割が違う。だからさ、今日はまず、一本一本のペダルの機能についての説明をしようと思う。
メダカ : はあ。
若 芽 : じゃ、まず、いちばん重要な右のペダルからだな。右のペダルは、ダンパーペダルと呼ばれる。他にもレガートペダルとかサスティンペダルとか、ラウドペダルとかいろいろ呼ばれてるけど、わかめはダンパーペダルが妥当なところだと思う。
メダカ : どうして、妥当なんですか? そもそも、ダンパーって何ですか?
若 芽 : ダンパーを知らない? しょうがないなあ。ピアノの中を見てみよう。ピアノの鍵盤を押すと、音が出るよな。その時、弦を叩いているのがハンマーだ。ハンマーは、ほら、これだ。
メダカ : このフェルトでできたヤツですね。弦を叩いているから、わかります。
若 芽 : 鍵盤を離すと音が消える。そんなことは当たり前だと思っているかもしれないが、なぜ音が消えるかというと、ダンパーが弦を押さえるからだ。ほら、弦の上(グランドピアノの場合)に、鍵盤を押さえた時には上がり鍵盤から手を離すと下がる、という動きをする木とフェルトでできた小さい部品があるだろ? それがダンバーだ。
メダカ : ああ、この黒いやつですか。高いほうの音にはないんですね。
若 芽 : うん。ないんだ。だから、高いほうから1オクターブ半は、鍵盤から手を離しても、鳴りっぱなしになるだろ。
メダカ : あ、そうか。ダンパーがないから、高い音は鳴りっぱなしになっていたんですね。
若 芽 : ダンパーの役目は、鍵盤が押された時には弦を開放して音を鳴らし、鍵盤から手を離すと、弦を押さえて音を止めることだ。ギターをジャンと鳴らして、それを手で止めたりするだろ? その手の代わりがダンパーなわけ。
メダカ : なるほど。
若 芽 : それで、話を戻すが、右のペダルを踏むと、このダンパーが全部上がる(ピアノの中を見てみましょう)。つまり、すべての弦が開放される。ということは、右のペダルを踏んでいる間は、どの鍵盤を弾いても、鳴りっぱなしになる、ってことだ。
メダカ : 右のペダルを踏むと、鳴りっぱなしになるって、初めに僕が言いましたが。
若 芽 : いや、だからさ。どうして鳴りっぱなしになるのか、説明してたんだけど。
メダカ : あ。すみません。
若 芽 : なんか、今の一言で力が抜けた。あとは次回ということで、今日はこの辺で。
メダカ : ええと、皆さん、僕のせいで途中になってしまって、ごめんなさい。とにかく、今日のダンパーペダルについての説明は、ご理解いただけたでしょうか。若芽先生の説明が意味不明だと思われたら、ご指摘ください。次回は、残りの2本のペダルのしくみついて。では。さようなら。
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