力を抜く その2
メダカ : いよいよ力の抜き方の勉強です。若芽先生、よろしくお願いします。
若 芽 : まずは、完全に脱力することの練習だな。
メダカ : 完全に脱力するとは?
若 芽 : 全身の力を抜く。
メダカ : はあ?
若 芽 : メダカ、君、ちょっとそこへ横になってみなさい。
メダカ : あのォ、寝るということですか?
若 芽 : そうだよ、さっさとしなさい。
(メダカ、いやいや横になる。)
若 芽 : そうしたら全身に力を入れる
。
メダカ : うーん。(と言いつつ力を入れている。)
若 芽 : さあ、力を抜いてー。
メダカ : はあー。
若 芽 : 今の力が抜けた状態をきちんと意識することが重要だ。人間は眠る前には力が抜けた状態になるから、その時に力が抜けたというのはこういう状態なんだな、とよく観察すると脱力した時としてない時の区別がつくようになる。
メダカ : なるほど、その脱力した状態を自分で観察する、つまり力が抜けているのはこういう感じなんだと、実感することが大事なんですね。
若 芽 : その通り。それから、右手だけ力を入れてみるとか、左手だけ力を抜いてみるとかするともっといろいろ実感できるかもしれないぞ。
(メダカ、いろいろ試している。)
メダカ : ああ、そうですね。なんかちょっとわかってきたような気が…。
若 芽 : 完全に脱力ができて、それがマスターできたら、今度は立ったままやってみる。
(メダカ、立つ。)
若 芽 : 立っていると寝ている時のように完全に力を抜くことはできないよな。
メダカ : 倒れてしまいますからね。
若 芽 : だから、身体はまっすぐに支えて、肩から先をぶらーんとさせる。
メダカ : これ、結構気持ちいいですね。
若 芽 : これから若芽が君の腕を持ち上げるから力は抜いたままにしているんだぞ。
メダカ : はあ。
(若芽、メダカの腕を持ち上げる。)
若 芽 : ほら、力が入ってしまったじゃないか。君の腕は空中に浮かぶほど軽いのかね。
(若芽が手を離しても、メダカの腕は前にならえのポーズのまま、下に落ちてこない。)
メダカ : すいません、つい、力が入ってしまいました。
若 芽 : とにかく、立っていてもピアノの前に座っていてもいいけど、この先のことは、もう少し腕の力を完全に抜けるように練習してからだな。
メダカ : はあ。でも、僕には上手くできませんでしたが、皆さんの中にはもう腕の脱力が完璧にできる方もいると思いますので、先生、もう少し…。
若 芽 : 力の抜き方については良い教本があるから、それを参考にするとよい。カワイ出版から出ている三善晃先生の書かれた「Miyoshi ピアノ・メソード」第1巻だ。
メダカ : ああ、これですか。ピンクの表紙で薄い楽譜ですね。
若 芽 : 「Miyoshi ピアノ・メソード」は全部で8巻あるけど、第1巻は子供の導入用だ。
メダカ : 写真とかで説明してありますね。気になる人は楽譜屋さんで探してください。
若 芽 : その初めに載っている「身体と呼吸の練習」というのが脱力についてのよいヒントになると思うから、試してみるように。終わり。
メダカ : 皆さん、そういう訳ですので、今日はこの辺で。では、さようなら。
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