ソルフェージュ 8


 調号(調子記号)

メダカ : 若芽先生、今日のテーマは「調号」ですね。

若 芽 : うん。メダカ、調号(ちょうごう)とは何なのか、説明しなさい。

メダカ : 音部記号の横に付いている#や♭のことです。

若 芽 : よしよし、その通り。

メダカ : でも、先生。ハ長調とイ短調は#も♭も付かないですよ。調号がないってことですか?

若 芽 : 「調号がない」というのは正確ではなくて、調号はあるんだが書く#や♭がない、つまり、ハ長調の調号は「何もつかないという調号」だ、というほうが正しいんだと思うんだけど。

メダカ : はあ? 何、ぶつぶつ言ってるんですか? さっぱりわかりませんよ。

若 芽 : ハ長調(とイ短調)には、調号を書きたくても、付かないから書けないだろ? だから、「調号がない」という言い方をしても、本当に調号がないのじゃなくて、書く#や♭がないと言っているわけで…。

メダカ : 若芽先生、ますます訳がわからなくなりますから、その話はもういいです。先に進んでください。

若 芽 : わかった。そうしよう。さて、メダカ。調号と拍子記号では、どっちを先に、つまり音部記号の近くに書くのか知っているか。

メダカ : え? ええと、どっちが先だったっけな。

若 芽 : 楽譜を書くときにト音記号を書いて調号を書くか、それともト音記号を書いて拍子記号(4/4や6/8など)を書いてから調号を書くか、ということだぞ。

メダカ : はい、質問はわかりますけど…。

若 芽 : 意外と知らないで楽譜を見ていることが多いんだよ。メダカだけじゃなくてさ。

メダカ : 毎日、楽譜を見てても、考えたことなかったです。

若 芽 : しょうがないな、今日は特別に教えてやろう。ちゃんと覚えておくように。

メダカ : はい。

若 芽 : 音部記号の次に書くのは、調号で、その次に、拍子記号を書く。

メダカ : はあ、なるほど。ト音記号と拍子記号の間に、調号を書く(ハ長調やイ短調の場合は何も書かない)ってことですね。

若 芽 : そうだ。ただし、1段目はそれでいいが、2段目からは違うぞ。

メダカ : あ、2段目には拍子記号はなくて、音部記号と調号しかありません。

若 芽 : 音部記号と調号は五線の各段の左端に段が変わるたびに書かなければならない。でも、拍子記号は拍子が変わらない限り、曲のはじめに1つ書けばいいから、間違って段が変わるごとに拍子記号を書いたりしてはならない。

メダカ : わかりました。つまり、1段目は、音部記号(ト音記号など)、調号、拍子記号の順番に書いて、2段目からは、音部記号と調号だけになるってことですね。(曲の途中で音部記号や拍子や調が変わる時は、段の途中、または最後で、音部記号も拍子記号も調号も書きかえます。)

若 芽 : そういうことだ。

メダカ : 若芽先生、質問。調号っていうのは、何のためにあるんですか?

若 芽 : ここに、#が3つ付いている曲があるとしよう。その曲の#の付いた音を全部臨時記号で書いたら、どうなると思う?

メダカ : そりゃあ、結構ウザイかも。

若 芽 : そのウザイってのはなんだ? 

メダカ : はあ、すみません。

若 芽 : 見るほうにとっても書くほうにとってもわずらわしいので、どうせ初めから#とか♭が付くとわかっている音には、いちいち臨時記号を付けずに、音部記号の横にまとめて書いている、というわけだ。

メダカ : はあ、なるほど。僕は時々、全部臨時記号で書いて欲しい気分になることもあるけどなあ。

若 芽 : 何か言ったか?

メダカ : いえ、何も言いません。大変よくわかりました。で、先生、調号は、調によってみんな違いますよね。

若 芽 : 調によってその調を構成する音階が違うわけだから、当然、必要な#や♭も違う。それをまとめて書いているわけだから、調によって調号が違うのは当たり前だ。

メダカ : なんか、回りくどい言い方ですけど、つまり、ト長調とニ長調では、音階が違うから#が付く音も違うってことで、調号も違うってわけですね?

若 芽 : その通り。ああ、それから、調号だけでは長調なのか短調なのかはわからないから、気を付けるように。

メダカ : ああ、つい長調のような気がしてしまいますが、短調だという可能性もあるわけですね。

若 芽 : そういうことだ。

メダカ : わかりました。気を付けます。先生、やっと本題なんですが、何か、調号に決まりはあるんですか?

若 芽 : #と♭が混ざって付くことは絶対ない。

メダカ : はあ、まあ、そりゃあそうでしょうが。他には? たとえば付く順番とかは?

若 芽 : もちろん、決まっているさ。#の付く順番や♭の付く順番がデタラメだったら困るじゃないか。

メダカ : まあ、そうですよね。デタラメだったら、#3つと言われてもどこに#を付けていいのかわかりませんよね。

若 芽 : そうだろ? だから、この順番さえ知っていれば怖いものはない。#や♭の数がわかれば、どの音に#を付ければいいか、たちどころにわかる! (稀に全音音階を使用している音楽の場合、#の位置が全然違うこともあるので、一応注意すること)

メダカ : たちどころに、ですか。では、そのありがたい順番を教えて下さい。

若 芽 : 幹音(皆さん、覚えてますか)は7つなので、#も♭も最高で7つまで付く。#は「ファドソレラミシ」。

メダカ : は? 早口過ぎて、わかりませんでした。

若 芽 : ファ、ド、ソ、レ、ラ、ミ、シ、だよ。一気に覚えないと忘れるぞ。

メダカ : 「ファドソレラミシ」ですね。先生、これは#1つの時は初めのファだけで、2つの時はファド、3つの時はファドソ、と付き、4つの時は4番目のレまで付く、ということですね?

若 芽 : そうだ。それで、7つ付く時はファドソレラミシと全部に付くんだ。

メダカ : 全部に付くなら、順番は関係ないと思うけど。

若 芽 : 何か言ったか?

メダカ : いえ、先生の話はよくわかるなあ、って言ったんです。で、♭は?

若 芽 : 「シミラレソドファ」だ。

メダカ : シミラレソドファ、シミラレソドファ。皆さんも一緒に口に出して言いましょう。これも、もちろん、♭1個の時はシだけ、2個の時は2つ目までなのでシミ、3個だと3つ目までのシミラとなるってことです。

若 芽 : さて、なんか今回はいつもに増してまとまりのない話になってしまったが、疲れてしまったので、終わりにする。

メダカ : 終わりですか? 

若 芽 : とにかく、この#と♭の付く順番を知っていると何かと便利なので、しっかり覚えておくようにな。

メダカ : はい、がんばります。皆さんもがんばって覚えましょう。では、さようなら。


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