相談されるご家族へ・相談されたご家族へ
※ご本人さんやご家族の状態や状況に応じて、異なる状況もあり、必ずしもこの限りではありませんが、ほとんどのご家族にお願いしていることです。
お願い
- 親御さんが相談に来る場合、なるべく本人へ相談してくる旨を伝える方が良いです。隠すことで、自分の知らないところで何やら親が動いているということを本人は良いと感じないことが多いです。
- 親御さんが相談した後、なるべく本人へどうだったかを伝えてください。詳細まで詳しく伝えないにしても、
/どんな場所だったか
/どんな人と相談したか
/何を相談したか
/親御さんが感じたこと
が伝えられるといいです。
※本人と親御さんとの関係性にもよるので、かならずしもこの限りではありません。 - 親御さんがいいなと感じた「支援メニュー」を必ずしもご本人が「受けたい!」と感じるわけではありません。
先走って、「これ、すごくいいから、お前に必要だから行け」といった押し付けや、勝手な申し込みは避けてください。言い方として、
「こういう支援メニューがあると聞いたんだけど、もし興味があったら詳しく聞いてみないか?」とか「ここで相談することで、何か一歩が踏み出せるような印象を受けたんだけど、どうだろうか?」
という言い回しで、ご本人に伝えてみてはいかがでしょうか ご本人さんの意思のない状態で支援は行えません。理由は、結果的に効果の無いばかりか、状態を悪化させたり、ご家族関係を悪化させることがあるからです。 - 親御さんが代わりに電話などで申し込みをされる場合は、以下の事にご注意ください。
・ご本人さんの明確な意思決定があった。「やってみたい」「やってもいい」「やる」等
・電話を代わりにする理由として
/ご本人さんが電話が苦手
/申し込みに大きな勇気が必要で動けないでいる
/ご本人さんが不在で、申し込み締め切りに間に合わない
等の明確な理由が必要です。
・本人がやるともやらないとも言っていない状況では、申し込みではなく、まずはそのことについてご相談の予約を取ってください。 - 親子関係による状態の悪化について
ご相談時に、親御さんとご本人さんの関係性が必ずしも良い状態ではないご家族もいらっしゃいます。その場合には特に、「隠すこと」「先走ること」等が状況を悪化させ、ご本人の心を傷つけ、結果として親子間の信頼関係を崩し、ご本人さんの為には何も良いことが無いといったことが多くあります。
「まだ話さない方がいい」「まだそういう状態ではない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう方はたいてい過去に裏切られ経験による人間不信があります。不信感をさらに強くさせることは、ご家族の支援としては望ましくありません。 関係性が良好であれば、あるほど、親子間では情報のやり取りがある事が望ましいと考えます。 - ご本人と一緒に相談に来られる時には以下の事にご注意下さい。
/必ず、どこへ(サポステへ)何をしにいくのか(相談)を
明確に伝えて下さい
/本人が嫌だと言っているのを無理やり車に乗せて連れてこないで下さい
/ウソをついて連れてこないでください
必ず、ご本人さんが納得の上で、ご自分の意思でご相談に来ていただけるようにお願いします。
親×本人 それぞれの思いが交差してお互いに傷ついた例
※過去に親御さんやご本人から直接伺ったケースです。ご家族やご本人の状態によって異なるため、必ずしもこの限りではありませんが、ご家族の思いとご本人さんの思いが交差してしまわないよう、ご家族やご本人の状況に照らしてご参考にして下さい。
- 「働け」と強く言うのは良くないと思い、食卓テーブルの息子の座る席に求人雑誌を置いて、働いてほしいという気持ちを伝えていた。(母)
⇒「無言のプレッシャー」の代表的な事例です。これは口で言うのとまったく同じ、むしろ逃げられない分精神的にかなり追いつめてしまうケースですから、よくありません。伝えたいことがあれば、話ができる状態であれば、口で伝えた方が相手の反応を見ながら話せるので、良いです。でも、「働け」とは言わないでほしいですね。 - 自分(本人)の顔を見るときやご飯の支度をしている時とか、「はぁ」と親が強くため息をつく。すると、自分は生きているだけでも悪いことをしているという気持ちになり、どうしていいか分からなくなるし、死んでしまいたい。(本人)
⇒ニート等の若者たちは、自分の存在価値がとても低く、自己肯定感情も低い状態にあります。そのため、自分を認めてくれているか、自分は生きていてもいいのかといったことを考えがちです。他の理由で親がため息をついていても、それをイコール自分のせいと結び付けてしまい、落ち込んでしまいます。 - 親戚や隣の人とかに、自分(本人)についてのウソをついている。働いていないのに、働いているとか、大学を出ていないのに、卒業したとか言っている。そういうのを聞くと、自分自身を強く否定されている気持ちになり、親の期待に添えなった自分を思い知らされる。(本人)
⇒ご本人の存在否定・拒否に強くつながってしまう例です。本人を強く傷つけています。 - 親から、親戚などの集まりに出席しないで欲しいと、言い方はきつくはなかったが、「出なくていいよ」と指示された。たぶん子供がニートであることを親は周りに知られると恥ずかしいからだと思う。自分の事を考えて言ってくれた言葉ではなかった。(本人)
⇒親御さんは、気遣っての言葉かも知れませんが、出るか出ないかを決めるのは、ご本人さんに任せてもいいかもしれません。指示されるという行為を嫌がる人は多いです。 - 親から、「働かざるもの食うべからず」と言われ、働けるならとっくに働いていると言い返すこともできなかった。(本人)
⇒働かないといけないと思いつつも、働けない自分の中で苦しんでいる人が多いです。その理由も分からないし、働かないから食べるなと言われ、生活の安全すら脅かされることは、ご本人の安心につながらず、次のステップへ余計進めなくしてしまいます。 - 「なんで働かないんだ!」と言われて黙っていると、ため息をつかれた。自分で理由がわかっているなら、とっくに何とかしていると思うけど、「分からない」という理由すら、理由にならないと言われそうで言えない。結局いつも、黙ってしまう方へ追い込む形の話をしているのは親の方だ。(本人)
⇒つい、何かしら納得できる理由が欲しくなりますが、たいていの事についての説明はご本人さんにも「分からない」ことが多いようです。分からないからこそ余計に悩んでしまっている人も多くいます。また、つい質問責めをしてしまったり、行動に理由を求めてしまう話し方をしていると、追い込まれてしまいます。 - なにか、自分のできそうな、小さなことからやってみようと思ってそれを少し親へ話すと、「働くならちゃんとした会社」「パートではなく正社員」と言われてしまい、自分のやってみようという提案は一切受け入れられない。「それよりも△△がいい」といったことばかりで、いつも否定されている。気にせず思い通りにやればいいと思うけど、それができない。(本人)
⇒やる気が出ると、それを否定されるということが小さなころから繰り返されていると、やる気は起きません。もし、何かしらの気持ちが出たら、まずそれを温かく受容するのは大切です。自己決定・自己責任の経験をすることにより、自分の行動に責任を持つことができるようになります。子どもの考えではなく、親の思い通りに子どもを操作してしまうと、子どもがいざ動こうとしたときに自分の意思で動けなくなってしまいます。 - 高校入学や大学入学、就職先についても、常に親が子どもの進路決定に口をはさみ、結局親が決めてきてしまい、子どもが意思決定をしてこなかった。そのせいなのか、何をやるにも自分で決められないみたいで、失敗してもいいから、もう少し子どもに決めさせるべきだった。(母)
⇒進路決定が自分の意思ではない場合、自己決定ではないため、自分への責任が発生せず、周りを責めたり責任転換してしまい、ご本人の失敗経験もあって、余計に自発的な行動へ至ることができにくくなります。また、自分以外の決定による行動はプレッシャーもあって、失敗してはいけないという強い思い込みも出てしまいます。 - 父親はいつも本人がいないかの様に接していて、話しかけたりすらもしてくれなかった。私がそういう態度は良くないと夫に話すと、「親のすねかじりに優しくなんて出来ない」等、子どもに優しくしてくれない夫に対して不満で、よく喧嘩になっていた。そういうのは子どもにはよくなかったかもしれない(母)
⇒ご夫婦がご本人の事で言い争ったりしていると、すぐに空気を察してご本人が、家族や親に迷惑をかけたり、自分のせいで家族が壊れてしまうと考え、ますます自己否定に陥ります。家の空気が悪くなり、家族と接しないようにと避ける傾向になり、引きこもりを長期化させることもあります。 - 母親は、いつも子どもの事ばかり考えていて、好きだった仕事も辞めて子どもと一緒に家にいます。それは良くないから働いた方がいいと言うと、「子どもが小さい頃に過ごしたり出来なかった事が原因で引きこもりなんだから、一緒にいてあげないといけない」と言って聞かず、二人で家にいますが、母親は不満も多く、ストレスを抱えているように見え、余計に本人への負担になっていると思う(父)
⇒母親が元気でいること、笑顔でいることは大切なことです。仕事を辞めることで、償いのように見えるかもしれませんが、本人にとっては重荷になることも多く、「仕事まで辞めさせてしまった自分」を責めることがあります。家で一緒に過ごすことがお互いのストレスを高め、結果として得策にならないことも多いです。 - 引きこもっている状態から、状況改善していく為、家の中で手伝いをしてもらうようにした。昼間家族が仕事をしている為、洗濯物をお願いしたら、洗濯物が取り込まれた状態だけであっため、洗濯物がたたまれていない事を言ったら、それ以来やらなくなった。(母)
⇒焦点を当てるべきは「やったこと」です。完璧さや当たり前の一連の行動等を求めてしまうと、お互いに辛いです。出来た事、やってくれた事に感謝をし、褒め、内容や結果をすぐに求めないようにする方が良いです。まずは行動につなげていくこと、その後に少しずつ出来る事を増やしていく方が本人に自信につながります。本人が自分で改善し工夫していくのを待ち、それを誉めてもらえれば本人はとても嬉しいはずです。