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4/11(水) 4/19(木) すっかり週一日記となりつつある「なにげない日記」ですな。「音楽のお勉強」の更新もさっぱりだし、すまん。 そんなわけで、ということもないけど、「今週の楽語」は meno です。 4月の末には、わかめの教室の発表会がある。と言っても、わかめの教室は生徒が少ないので、友人のN先生と一緒にやらせてもらっているんだが。 発表会の講師演奏は、N先生と二人で、モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」の第1楽章と第3楽章を弾く。本番が近づいてきたので、わかめも少しはまじめに練習している。2台ピアノでも暗譜で弾く人はもちろんいるが、わかめたちはいつも楽譜を見て弾くので、今年も暗譜はしない。ところが、今年の曲には、楽譜を見て弾くことで問題が発生してしまった(おおげさ)。 楽譜を見て弾くということは、楽譜をめくらなければならないということだ。でも、わかめは弾きながら楽譜をパッとめくる、なんていう芸当は今まで本番でやったことがない。 で、伴奏の時によくやるように、慌てずにめくれる箇所までデローっと切り張りしようとしたんだが、なんとこの曲には余裕を持ってめくれる場所がないのだ。12ページ中6ページめと7ページめには4小節の休みがある。しかし考えてみてくれ。4小節休みのところが見開きの左と右のページにあっても、なんの役に立つというんだ。4ページごとに4小節の休みがあればベストなのになあ。 というわけで、結局、わかめはペダルで2分音符を伸ばしながら(約1秒)パッと楽譜をめくらなければならない羽目に陥っているのだった。 ここだけじゃなくて全部で5回も、パッとページをめくらなければならなくて、実は弾くことよりめくる練習のほうが大変だったりするのだった。 それでも、練習の(めくるほう)成果もあって、N先生との練習では、めくるのは上手くいったんだが、本番のことを思うとなあ。うろたえてめくれなかったらどうしようと思うと夜も眠れない、なんてことはもちろんないが、でも、心配なのは本当だよ。 5/8(火) 4月末のわかめの教室の発表会(友人と合同)のことは、パソコンのディスプレイ騒動ですっかり書くのを忘れていた。生徒たちは悲喜こもごもといったところだが、わかめは終わったことだけで嬉しいのだった。 あんなに心配していた講師演奏の譜めくりも、一箇所間に合わないかと焦ったところがあったけど、大丈夫だったし、演奏のほうも、まずまずだったと言っておこう。 しかし、ホッとする暇もなく、翌日は月に一度のピアノのレッスンでさ。ブラームスの小品集(作品118)の1〜3にペダルを付け、4〜6を譜読みしていく筈だったんだけど全然無理で、譜読みは4だけになってしまった。が、なんとかクリア。 そして、レッスンも終わり、いよいよこれでのんびりパソコン三昧だ、と思っていたら、一週間前、伴奏のお仕事の依頼があった。皆さん、もうすっかり忘れていると思うが、わかめは本当に時々、フルートのNさんとホテルでロビーコンサートの仕事をしている。実は、このお仕事、なんと一年振りだ。一年振りで、弾けるのか? わかめよ。(もちろん一年前に弾いていた曲が、という意味だよ。) まあ、なんとかなるかと引き受けたものの、打ち合わせの電話で、伴奏する曲数の多さに仰天。1時間(30分ずつ、2回)弾くということは、一曲3分でも20曲。2分足らずの曲もあるので、曲が足りなくなったら困るからと、今までやったことのある曲をかき集めて24曲練習する羽目に。弾いたことがあるとは言え、一年振りだからねえ。中には2年以上弾いてない曲とかもあって、どんな曲だったっけってなもんだ。まあ、弾いてみたら思い出したけどさ。 それにしても、前はそんなに弾いた覚えはないぞ。確か30分で8曲くらいじゃなかっただろうか。と思って、一曲ずつ所要時間を計ってみたんだが、マジで2分15秒とかの曲が多くてゾッ。 不思議なもので、長くても短くても一曲は一曲という感じなのだ。だから、弾いている時間は同じ30分間なのに、2分の曲を15曲弾くより、5分の曲を6曲のほうが気分的に楽なのだよ。きっと24曲全部は弾かないと思うけど、一応練習はしないといけないんだよな。 そういうわけで、今週はフルートの伴奏三昧で、ブラームスは少し、という練習予定なのだった。 5/11(金) 冗談ぬきで、「今週の楽語」は「今月の楽語」になってしまっているな。本当に申し訳ない。 しかし、取り上げた楽語が50以上にもなると、だんだん紹介したいと思える楽語がなくなってくるんだよ。当初の予定では、50くらいでやめるつもりだったんだけど、なんとなく続けているうちに、今日更新した meno mosso で68個めになっている。 見たことも聞いたこともないような楽語を取り上げてもなあ、と思うので、「今週の楽語」のコーナーは、近いうちにやめようかと思っている。楽しみにしていてくださった方が、もしいれば、申し訳ないですが、まあ、そんな人はいないだろうし。 でも、もしこの件に何かご意見(たとえば、今まで出てきた楽語をもう一度見たいとか、今月の楽語でもいい、など)がありましたら、掲示板に書き込んでください。 やめるとしても、あと4回くらいは更新する予定です。 5/14(月) 「今週の楽語」を続けて欲しい、というご意見を多数いただきまして、驚いています。ありがとうございます。あんなものにこんなに需要があるとは意外でしたよ。 ということで、楽しみにしてくださる皆さんがいる間は、看板として、続けることにします。これからは、身近な楽語という方針でいきます(今までもそうだったけど)。同じ楽語が何度も登場するかもしれませんし、いつの間にか「今月の楽語」に変身しているかもしれませんが(笑)、そういうことでよろしく。 「今までの今週の楽語一覧」はトップページに秘密の入り口があります。「今週の楽語」のそばですので、興味のある方は探してみて下さい。 それから、「今週の楽語」で取り上げて欲しい楽語は、いつでも歓迎します。掲示板かメールでお知らせください。 5/15(火) 伴奏のお仕事も終わったので、いよいよブラームスを真面目にやらねば、と練習してみたんだが。 なんでこの曲集の曲はどれもこれも、こんなに弾きにくいんだろう。弾けないとか難しいというのじゃなくて、とにかく弾きにくいのだ。譜読みも一筋縄にはいかない。音がわかってからも、なかなか上手くならない。その上、暗譜のことを考えると今から眩暈がしそうだ。 この弾きにくさは、いったいなんだろう。単に、わかめがブラームスに慣れていないからだろうか(ブラームスは、学生時代にスケルツォを弾いたきり)。それともブラームスはみんな弾きにくいんだろうか。こんなに弾きにくいくせに、地味だからこの難しさは誰にも理解されない感じだし。 先月「ブラームス性格作品 演奏の手引き」という本を買ったんだが、そこには、この118の6曲目のインテルメッツォのことを、ブラームスの小品の中でもっとも完成度の高い作品だ、と書いてある。 この件については、深く考えずに、練習することにする。 5/23(水) 10月に毎年やってる勉強会のようなコンサートに、また今年も出ることになっている。わかめは、今練習しているブラームスを弾く予定なのだ。 で、昨日、今年コンサートで使わせてもらうホールの下見に、他の出演者たちと一緒に行って来た。 100席くらいの小さいホールに、ベーゼンドルファーが置いてある。前にセミナーで聴いた時は、ちょっと強く弾くと結構大きな音が出るって印象だった。 で、昨日は、ちょっと弾かせてもらったんだけど。 ピアノは確かに良い音がする。がしかし、あの鳴りすぎるピアノにとっては、ホールが小さすぎるのかもしれない。ピアニッシモというものが、あのピアノとホールには存在しない。ピアニッシモを弾こうとするとメゾピアノになってしまう。普通に弾くとフォルテだ。だから、フォルティシモは楽チンに弾ける。 うーん。 わかめは、3番目のバラードの初めの部分の、フォルテで和音のスタッカートをがんがん弾くところでは、練習不足のため、いつも指が鍵盤に負けているんだけど、なんか、そこが苦も無く弾けてびっくりさ。しかし、6番目のインテルメッツォの、sotto voce のメロディと左手の弱く弱く始まる低音は、どうしろっちゅうんだ。どんなに弱く弾いても、絶対メゾフォルテにしか聞こえないゾ。 普段は、ピアニッシモと書いてある部分にしか弱音ペダルは使わないんだけど、ピアノ(弱く)と書いてある部分は全部、踏みたい感じだ。それでも、ピアノにしかならず、ピアニッシモにはならないけど。 文句ばかり言っていると思われるかもしれないが、ピアノは良いピアノだし、ホールの響き方も良いんだよ。フォルティシモのところだって、あんなに響くのにうるさいってことはないからさ。ただ、何度も言うけど、ピアニッシモが存在しないんよ。 で、結局、無理に弱く弾こうとしないほうがいいかも、と思うことにした。実際の音量よりイメージを大切にするのだ。(<意味不明ですな。それに、そんなことができるんかい) 5/28(月) 昨日、月に一回のレッスンに行ってきた。先生に聴いていただいたのは、ブラームスの第4〜6曲。たどたどしく弾いたあとで、上の日記にも書いたピアニッシモの出ないピアノのことを泣き付くと、「腕だね」とケンモホロロ。 ええ、わかめには、どんなピアノでもピアニッシモを出せるような腕はありませんよ。まあ、一応は努力してみますけどね。 さて、その同じ日の日記に書いた弱音ペダルのことで質問をいただいたので、補足します。 はじめに、弱音ペダルについての説明をしよう。 ペダルは大抵3本ある(2本しかない場合もある)が、弱音ペダル、またはソフトペダルと呼ばれているのは、いちばん左のペダルである。グランドピアノでも、アップライトピアノでも、このペダルを踏むと音が弱くなるのは同じだが、その構造は、グランドとアップライトでは異なっている。 どう違うかを、いつものように、無謀にも画像も使わず説明しよう。 グランドピアノの左のペダルを踏むと、鍵盤が僅かに右にずれるようになっている。鍵盤がずれるとハンマーもずれる。このことがどういうことか考える前に、ピアノの中身を見てみよう。グランドピアノじゃなくて、アップライトでもオッケイだよ。 ハンマーというのは、弦を叩く部分のことで、ピアノの蓋を開けながら鍵盤を押すと、動く(鍵盤を叩く)のですぐにわかる。ついでにピアノの弦を見ると、一つの音を出すのに3本の弦が張ってあるのがわかるだろう(ただし、低いほうは、1本弦と2本弦)。 ではグランドピアノの中を覗いている方々。左のペダルを踏んでみよう。ほら、鍵盤とハンマーがずれただろ? そうすると、今まで3本の弦全部に当たっていたハンマーが、少し右に外れて、2本にしか当たらなくなってしまう。さあ、3本の弦が鳴った時と2本しか鳴らないのでは、音はどうなるだろうか? 書くまでもないけど、2本のほうが弱くなる。その上、音質も変わってしまうのだった。 今度はアップライトピアノの中を覗いている方々の番だ(ピアノの上にお人形さんを置いてある人は、片付けて蓋を開けてみよう)。アップライトは、それとは違う構造で音を弱くしている。アップライトの左側のペダルを踏むと、ハンマー全体が弦に近づくのがわかると思う。ハンマーの動きが少ない(つまり近い距離から動く)ほうが音は小さくなるよな。で、この場合は、音質も変わらないので、弱さだけを変えたい場合はこっちのアップライト方式(?)のほうが理想的だと、わかめは思う。 さて、弱音ペダルの仕組みはわかっていただけただろうか。 実は、本題は「弱音ペダルはいつ使うべきか」なのだが、長々書いてしまったので、続きは、また今度。 5/30(水) 弱音ペダルはいつ使うべきか、について。 上にも書いたように、グランドピアノの弱音ペダルを使用すると、構造的な問題から、音質が変わってしまう。つまり、単に弱くしたいだけの場合には、都合が悪いことになる。 そんなわけで、わかめはずっと弱音ペダルの使用に消極的だった。だって、音階の途中で弱音ペダルを踏むと、途中から音質が変わるわけだよ、そんなの変だろ? でも、わかめの先生は、「ピアニッシモと書いてあるところは全部、弱音ペダルを踏みなさい、そうしないと、きちんとピアニッシモを表現できない」、という先生なので、わかめは嫌々、弱音ペダルを使っていた。 しかし、最近は少し考え方が変わってきた。もしかしたら、ピアニッシモと書いてある箇所というのは、単に音量を小さくしたいというより、柔らかい音でイメージを変えて、という感じなんじゃないのか、なんてな。もちろん全部のピアニッシモの箇所が全部そうだ、というわけじゃないぞ。 弱音ペダルをなぜ使うかの理由には、指だけで弱くしようとして音が出ないよりは、弱音ペダルを使って少しはっきり弾いたほうが安心、などということももちろんある。それから、伴奏の時に、ピアノの蓋を閉めても伴奏のほうが音が大きすぎる場合は弱音ペダルを踏みっぱなしにすることもあるし。 弱音ペダルを踏むのが面倒だと思う方も多いだろうが、音量にしても音質にしても、踏まないより踏んだほうが幅広い表現ができると思う。 右のダンパーペダルを踏みながら弱音ペダルも踏むことになると、両手両足を使うことになるんだけど、これもぬ慣れなので、皆さん、これを機会に左足の訓練にも挑戦してみてはいかが? 6/6(水) 昨日、調律してもらったので、わかめのピアノも、やっと生き返りましたよ。うふふ。がんばってブラームスを練習せねばな。 調律師の方と弱音ペダルの話をしていたら、えっ? と思ったことが。 わかめは、弱音ペダルを踏むと、ハンマーは、3本張ってある弦のちょうど1本分右にずれるんだと思っていたんだけど、実はそんなには、ずれないらしいのだ。 ハンマーには、弦が当たる位置に弦溝(げんみぞ)ができる。3本弦のところは、当然3本の弦溝が存在する。でも、弱音ペダルを踏むと、ハンマーにはもう2本(3本のこともあるかも)の弦溝が刻まれるのである。弱音ペダルを踏まない状態でできる3本の弦溝の間に、弱音ペダルを踏んだ時の弦溝ができるわけだ。 ということは、ハンマーは、弦と弦の距離の半分しか、右にずれないってことだよな。なんてことがわかっても、別に何が変わるわけじゃないですがね。 あ、弱音ペダルのハーフペダルのことですが、既にできている弦溝に当たらない位置に弦を当てるように調節すると、普通の音とも弱音ペダルを踏んだ時の音とも音質が違ってくるので、そういう音色が必要な場合は、弱音ペダルのハーフペダルもありってことです。がんばってみましょう。 6/12(火) 皆さん、すっかりお忘れだと思いますが、実は、このサイトのメインは「音楽のお勉強」なんですな。それなのに、今年が半分過ぎそうになっても、まだ1つしかアップできていなかったわけですよ。まことに申し訳ない。 掲示板はペダルのことで盛り上がっているので、ペダルの説明もしたいんだけど、なかなかね。で、今日は、時間稼ぎに、なんとか書き上がった「楽典」の音程5をアップしときます。でも、久し振りなので、わかりにくいところや変なところもあるかも。何か発見した方は、掲示板でお知らせ下さい。 それにしても、ずっと放っておいたからなのか、メダカってば。拗ねてるんでしょうか? 6/18(月) 先週の金曜日の夜8時に、電話があった。歌の発表会に出るN先生からで、伴奏者が急病で伴奏できなくなったので、代わりに伴奏してもらえないだろうか、という依頼である。 本番は日曜日(つまり、金曜日の時点で、翌々日)の午後なのだった。 歌うのは2曲。そのうち1曲は、少し前にわかめがN先生の伴奏をしたものだったので、問題ない。残る1曲は「花の街」。 もちろん「花の街」は知っている。オペラのアリアじゃないしな、弾いたことはないがなんとかなるだろう、他に伴奏してくれる人はいないって言うし、N先生にはいつもお世話になってるしさ。ということで、イマイチ自信はなかったが、引き受けた。楽譜はファックスで送られてきた。便利な世の中だ。 で、伴奏合わせはいつやるんだろう、2日しかないけど、と思っていたら、翌日(つまり土曜日)の午前中に、ホールでリハができるので来て欲しいとのこと。話を聞いてから14時間後に、いきなり舞台で弾くのか? と、おののく。 しかし、「花の街」とはいえ、伴奏合わせなしのぶっつけ、というわけにはいかないから、リハには行くと約束して電話を切った。 「花の街」は思ったより難しかった。移調してあるからか手書きのような楽譜で、その上、ファックスの楽譜は縮小されててメチャメチャ見にくい。でも、前奏の初めの部分は弾かなくていいって言うから、見栄など張らず、指示の通りにした。その夜のうちに、一応弾けるようになったので、安心したんだけど、世の中そんなに甘くない。一夜漬けは、所詮一夜漬けなのさ。翌朝弾いてみたらやっぱり間違える。 3回くらい弾くうちには弾けるようになるんだけど、1回目は必ずわけがわからなくなる。マズイなあ。でも、家を出る前に練習したから、忘れないうちにホールに着けるかもしれない。 そんなことを考えてホールに行くと、なんと、N先生だけじゃなくて、N先生の歌の先生や他の出演者の方も何人かいて、ゲゲッとなる。ボロボロだったらどうしよう。まあ、みんなピンチヒッターだということはわかっているようだけど。 気弱になるが、弾かないわけにはいかない。 弾きだしてみると、わかめが思っていたよりテンポがゆっくりであった。それに、ファックスの楽譜じゃない普通サイズの楽譜をもらえたので、ずっと見やすかったし、特に大きな失敗もなく危機を乗り越えた。 N先生にはシュークリームまでもらってしまって、うふふなわかめ。とっても美味かった。 しかし、問題は本番である。 家に帰ってきてまた弾いてみると、相変わらず一度目は失敗してしまう状態(いわゆる、安定していないってヤツ)で、これはいくらなんでもまずいよなあ、と思っていたが、細切れに何度も練習しているうちに、なんとか一回目からでも弾けるようになった。あとは、ステージでうろたえなければオッケイなのだが。 日曜日の午前中は別の用事があって、それなりに忙しいわかめだったが、なんとか午後1時過ぎに、ホールに到着。 N先生と一緒に練習してから着替えたら、もうすぐ出番だ。ゲゲゲッ。 ステージの袖で待っていると、妙な気分になる。上がっているとはっきりとは自覚できないんだが、どことなく落ち着かない、妙な気分。 しかし、自分の心理分析をしている暇もなく、前の出演者の演奏が終わってしまったので、舞台へ。幸い、お客さんはほとんどいなかった。 「花の街」の前奏が無事弾けたので、これで責任は半分は果たしたぞ、と思った。そんなこと考えずに集中しろよ、と思いながらも、いつも間違っていたところを無事クリア。しかしホッとするどころが、ますます落ち着かなくなってきて、そのうちペダルを踏む足が震えてきた。ヤ、ヤバイかも。と不安に陥るが、なんとか、変な音を出したりせずに最後までたどり着く。 結局、上がる暇がないって感じだったな。あの落ち着かない気分はあんまり嬉しいものじゃなかったけど。 これはボランティアではなく、お礼を頂いてしまったので、ますますソツなく弾けたことに安堵したわかめであった。ホッ。 6/21(木) 掲示板にダブルシャープの質問がきてましたので、今日はそのことを書いてみよう。 その前に、1999年11月15日の日記に「ミ#を使う時」の説明をしてあるので、まだ読んでいない方は、そちらを先に読むことをお勧めする。(ダイレクトには飛ばないので、11/15までスクロールして下さい。) さて、はじめにダブルシャープとは何か、ご説明しよう。 X の4つの先端に小さい四角がついている記号で、音符の左側(シャープを付ける位置)に書いてある。(手書きの時は、ただバッテンで書くので、ここでも以下は X と表記します。) 見たことのない人で、ダブルシャープを見たい人は、ハノンの39番の嬰ト短調をご覧下さい。 次に、どの音を弾くかという問題だが。 ダブルシャープとは2回シャープするということだ。つまり、半音上がって、もう半音上がる。 ファの音で考えてみよう。ファ(F‐エフ)をシャープするとファ#(Fis‐フィス)になり、これは当然、ファとソの間の黒鍵を弾く。で、もう一回シャープするとファX(Fisis‐フィシス)になり、ファ#よりも半音上の音、つまり鍵盤はソを弾くことになる。 え? ソを弾くの? じゃあ、どうして初めから「ソ」って書かないんだよ。と思ったあなた。そうでしょ? なぜダブルシャープが存在するのか、不思議でしょ? でもね、現実に存在しているんだから、あなたが文句を言ってもダブルシャープはなくならない。だから、ダブルシャープが付いた音符に出会っても、どの鍵盤を弾くのかさえわかっていれば、練習するのには困らないわけだし、それ以上深く悩まなくてもいいと思うよ。 それでも、なぜダブルシャープが存在するのか、気になって眠れない方々には、楽典の勉強が必要です。 少し長くなったので、続きは次回。 6/26(火) ちょっと日にちが空いてしまったが、ダブルシャープの話の続き。 前回も書いたが、なぜダブルシャープが存在するかを解明するには、楽典の勉強が必要だ。楽典の中でも、音階について理解できれば、ダブルシャープも理解できると思う。 今、このサイトの「楽典の教室」は「音程」を勉強しているが、いつかは「音階」に入るだろう。でも、わかめのことだから、来年になっちゃうかもしれない。だから、それまで待ってくれ、とは言えないので、今回は、ここで音階のお勉強だ。 ミ#の説明の時も音階構成音のことを書いたが、しつこく今日もその話。 音階構成音とは、それぞれの調の音階を構成している音のことである(そのまんまじゃん)。ハ長調なら、ドレミファソラシド、ニ長調ならレミファ#ソラシド#レ、ってヤツだ。 ピアノには白鍵と黒鍵があるので、白鍵が「普通の状態」で黒鍵が「変化した状態」、と感じるのは当然だと思う。だが、音楽はハ長調だけではない。「黒鍵のエチュード」のように、黒鍵のほうが普通の状態、と言える曲もある。 つまり、ダブルシャープにしろ、ミ#にしろ、もとの音階の音を臨時記号で#したら、結果ダブルシャープになってしまった、というのが正しいんだと思う。 ということで話をまとめても良かったんだけど、もう少し詳しく音階のことを説明したくなった。 音階には長音階と短音階、という2種類がある(本当は、もっといろいろあるけど、今日は省略)。長音階、というのは長調の音階のことで、短音階というのは短調の音階のことだ。 で、今回は、短音階について。 短音階は3種類ある。自然(的)短音階と和声(的)短音階と旋律(的)短音階である。 この3つの音階の違いをイ短調で説明しよう。イ短調は、ハ長調のように、調号(ト音記号の横に付くシャープやフラットのこと)が一つも付かない短調である。 意味は深く考えなくていいので、次のことを覚えてくれ。 イ短調の自然短音階はラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ である。 イ短調の和声短音階はラ シ ド レ ミ ファ ソ# ラ である。 イ短調の自然短音階の上行形はラ シ ド レ ミ ファ# ソ# ラ である。(下行形は自然短音階と同じなので間違えないように) 見ればわかると思うけど、和声短音階のソと旋律短音階のファとソには、#が付いている。ということは、つまり、臨時記号で、もとの音(自然短音階の音)を半音上げているわけだ。 これは、他の短調でも同じだ。同じだと言っても、もちろん、ファとソに#を付けるってことじゃあないよっ。短音階の第7音を臨時記号で半音上げたものが和声短音階で、第6、7音を半音上げたものが旋律短音階(上行形)なのだ。 また長くなってしまったので、続きは次回。 6/29(金) さて、しつこくまた、ダブルシャープの話の続きを。 短調の音階というのは、調子記号以外に臨時記号で変化させられる音がある、ということは、わかっていただけただろうか。いろいろな短音階が出てきて話がややこしくなるので、今日は和声短音階についてだけ、考えてみよう。 和声短音階の第7音(音階の7番目の音)は、自然短音階の音より半音上がっている。 ということは、たとえばフラット系の短音階、ハ短調(♭3つ)の場合、調号の音のままの自然短音階は、ド レ ミ♭ ファ ソ ラ♭ シ♭ ド であるが、和声短音階では、第7音を半音上げることになるので、ド レ ミ♭ ファ ソ ラ♭ シ(ナチュラル) ド となる。 つまり、なんでも、短音階の7番目の音を#すれば良いわけではなく、もともとの音が♭の場合には、ナチュラルにするということだ。 さて、いよいよ、ダブルシャープである。 調号が#5つの嬰ト短調は、自然短音階がソ# ラ# シ ド# レ# ミ ファ# ソ# である。和声短音階にするには、この第7音をもう半音上げなければならない。ということは、もともとファ#の音を半音上げることになるので、ファのX(ダブルシャープ)になってしまうのだ。 もしかして、ソじゃだめなの? なんてことは、言わないよねえ。ソ(ナチュラル)にしちゃったら、ソラシドレミソソ、になってしまって、それはもはや音階ではないだろ?ファがなくて、ソが二つあるなんていう音階は、絶対ないゾ。 ということで、嬰ト短調の和声短音階は、ソ# ラ# シ ド# レ# ミ ファX ソ# となる。 さて、ダブルシャープについてはご理解いただけたかな。 「楽典の教室」の「音程5」にも異名同音の話が出てきていますが、異名同音というのは、弾く鍵盤が同じでも、音楽理論上は別の音なんですよ。そこんとこ、よろしく。 |
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