憲法改正について、歴史サイトである当ホームページも簡単にふれてみたいと思います。
そもそも、憲法改正ってよくわからん!という方のためになるべく分かりやすく、出きる限り詳しく説明しますね。ちょっと、長くなるかも・・・。
憲法改正賛成派の人々の意見
まず、現在の日本国憲法の成り立ちについて知っておきましょう。
太平洋戦争に負けた日本にアメリカからマッカーサー(サングラスにパイプの怖そうな人だね)がやってきましたね。そして「お前らの今までのやり方は間違っていたんだから、憲法変えろよな!」と命令してきたんです。
そこで、日本は松本国務大臣っていう人を中心に「分かりました憲法作りま〜す」ってことになったんだね。これが1945年10月25日のことです。
しかし、この松本案が1946年2月1日に毎日新聞にスクープされちゃう。当然、マッカーサーの耳にも入るわけです。それを見たマッカーサーは、「うぁ、全然ダメじゃん。もういいや、俺たちで作っちゃえ。」ってことになりました。そして、連合国側で日本の憲法の案をまとめる作業に入ってしまった訳なのですが、驚くことにこの憲法草案の作業に加わった人達の数は”なんと25人!”少ないですねぇ。しかも、別に憲法の専門家という訳でもないのですよ。適当に「君と君、あと名前知らないけど、君でいいや」みたいな感じ?
2月8日に松本案はGHQに提出されますが、そんなの認められる訳もなく却下!だって、すでにGHQ側で憲法作り始めちゃってますからね。そして、2月10日にはGHQ側での憲法の草案はまとめられ2月13日には、この憲法草案は日本政府に渡されました。「はい、これでよろしくね」って具合です。
1945.10.25 |
松本案(憲法起案委)発足 |
1946.02.01 |
毎日新聞により松本案のスクープ |
1946.02.03 |
マッカーサー、GHQに起案を指示 |
1946.02.10 |
GHQによる起案の終了 |
1946.02.13 |
GHQによる起案の完成。日本政府に渡される。 |
つまり、現在の日本国憲法は、連合国側のたった25人の人たちが1週間ほどで作り上げた憲法だということです。(まぁ、実際には日本の衆議院で若干の修正が施されてから制定されていますが、GHQによる押し付け的な面は否定できませんね)
実際、現在の憲法には、現在ではおかしいと思える箇所も多々あります。
たとえば、前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書かれています。読み流してしまえば気付きませんが、よく見ると諸国民?この諸国民とは外国の人のことです。つまり、私たちの安全、生存は外国の人たちを信頼してお任せしますよ。ということです。自分達で守る!ということではなく、外国の人にお任せしちゃうというのですね。
さらに、もっとも問題となっているのが憲法第9条。
第9条(戦争の放棄、軍備および交戦権の否認)
@日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
A前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
とあります。あれ?と思うところがありますね。陸海空軍を保持しない?自衛隊いるじゃん。そうです、実は今の日本は憲法違反をしているのですね。強引に解釈をかえて現在の日本では自衛隊を保持していますが、自衛隊は明らかに軍隊なので憲法違反です。
また、GHQの最初の憲法の案では、@項の最後に「自国の安全を維持する手段としての戦争も手段も放棄する」と書かれていました。さすがに、これは酷すぎるということで憲法から削除され、そのおかげで現在では日本にミサイルが飛んでくれば、それを打ち落とすことはできると解釈しています。しかし、そのミサイルが仮に日本の西側から飛んできて日本を通り過ぎ、アメリカに落ちていくようであれば日本はミサイルを打ち落とすことは出来ません。「自国の安全」は何もしないでも維持できちゃいますもんね。逆に打ち落としてしまったら憲法9条の違反となってしまいます。しかし、もし本当にそうなってしまったら、アメリカは怒って日米安保条約も解消になりかねませんね。
そこで、憲法第9条の@項については、基本的には変更しなくてもいいが、自衛隊の存在はちゃんと憲法に書き込みましょう。(自衛隊ではなく国防軍と名前を変える案もでていますね)
また、日米安保条約によってアメリカは日本を守ってくれるが、日本がアメリカなどの国を守ることはできないというのはおかしいから「集団的自衛権」、これを十分協議した上でなら行使できるようにしよう、としています。
また、大災害などの時の対応についても憲法に書き加えようともしていますよ。
ふ〜ん。でも、戦後から今まで何で憲法改正してこなかったの?
実は、かなり前から憲法改正の話は出ていました。自民党などは党結成当初から憲法改正を掲げてきましたからね。しかし、憲法改正には大きなハードルがあるのです。
それが憲法96条。
第96条(改正の手続、その公布)
@この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を得なければならない。その承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
と、あります。この各議院の総議員の三分の二以上というのが、現実的にはかなり難しいのです。この96条があったから、今まで憲法は改正されずにきたともいえます。
つまり、憲法改正に賛成という人は、まず「この憲法第96条に書かれている総議員の三分の二以上というのを過半数以上としましょう」としています。そして、国会を通り、国民投票により過半数の賛成を得られたら、憲法の時代にそぐわないと思える所を変えていきましょうよ。というのですね。
う〜ん。長くなってきましたね。でも、憲法改正反対派の人たちの意見も重要なので、もうちょっと長くなりますよ〜。
憲法改正反対派の人々の意見
憲法改正反対派の人々とひと口でいっても色々な意見があります。
まず「憲法を改正してもいいが、第96条を変えるのはおかしい」という意見。
確かに憲法には、すでに時代に合わなくなってしまった部分もあるだろうから変えてもいいんじゃない。でも、変えるなら、ちゃんと憲法に書かれている通りに総議員の三分の二以上の賛成を得てから変えなさいよ。憲法改正のハードルを下げてしまったら、今後政治家のいいように憲法を変えられかねないじゃないか!という意見です。
まぁ、現在の憲法改正に賛成の政治家の人たちは本気で国を守ろう!良くしよう!と考えているのは間違いないのですが、今後、どんな人が現れるかわかんないですからね。ハードル下げるのは危険では?という考えですね。
次に「憲法第9条の改正は断固反対!」という意見。
そもそも、憲法には「陸海空その他の戦力は、これを保持しない」と書かれているのだから、自衛隊があるのはおかしいだろ?本来なら憲法に書かれている通りに将来的には自衛隊をも無くす努力をしなければならないのに、自衛隊の存在を憲法に書き込むとはどうゆうこと?という意見。
この意見には、「そんな理想的なこと言っていてどうすんのよ?中国の尖閣諸島問題、北朝鮮の脅威。どうすんの?」と考える人も多いでしょうね。
まぁ、現在の憲法を貫き通すのならば、平和的外交で何とかするしかないでしょうね。「諸国民の公平と信義を信頼する」しかありません。それが、今の憲法に書かれていることなのですから、その高い理想、精神を守るために現在の憲法の範囲内でいっそうの努力をするほかないという意見ですね。
また、憲法9条改正反対で最も多い意見と思われるのが、自衛隊の保持は世界情勢など見ても今後とも維持していくほかないけど、集団的自衛権には反対!という意見です。
これは何となく想像できますね。もし憲法が改正されアメリカがどこかの国に平和維持の目的で攻め込んだ時、「憲法が改正されたんだから、日本も前線で活躍できるよね。がんばってね。世界平和の為だから・・・」と言われることも想像できます。まぁ、直接言ってこなくても他の国々が連合国として参加したら行かざるをえませんね。その時、仮に自分の家族が憲法改正後の軍隊にいたら青ざめちゃいますね。
また中東などの戦争に日本も参加することになったとして、その時の軍隊の青年たちの多くが軍を去っていったとしても、誰も責められないでしょう。その為に軍人が減りすぎ国防どころではなくなったとしたら、あなたやあなたの家族を軍に志願させますか?それが嫌だったら、9条改正なんてするんじゃない。外国に何と言われようと、国益が多少傷つこうと現行の憲法の範囲内でよりいっそうの外交努力をし、何とかするしかない。という意見です。
現実問題、すでに自衛隊の入隊者は減少傾向にあります。その上で憲法9条改正となれば入隊者はさらに減少していくことも考えれれます。そうなった時、どうするのか?それも今のところ明確ではありません・・・。
これらの意見は、賛成派、反対派共に一例を挙げたのみですので、100人いれば100の意見があることでしょう。憲法改正に詳しい方、しっかりした考えをお持ちの方なら「いや、そういうことじゃなくて・・・」と思われた方も多いと思われます。
ただ、重要なのは憲法改正には国民投票が必要であり、その日が近づきつつあるということです。その日までにあなたは憲法改正に賛成か?反対か?結論を出しておかなければなりません。これは国の将来を大きく左右する重大な決断です。(脅かすつもりじゃなくて、マジで・・・)
投票権は18歳以上の日本国民。仮に2年後に国民投票が行われるとしたら現在16歳の方も他人事ではないのです。
その為にも、このページが憲法改正について考えていただける一歩となっていただけたとしたら幸いです。
2013/11/23
追記:政府は憲法改正ではなく憲法の解釈を変える事により集団的自衛権の行使が出来るようにしましょうと、いう案を国民に示しました。この集団的自衛権の行使容認については別のページにて解説いたします。
2014/05/19
>集団的自衛権の行使容認について
2015年9月19日安全保障関連法が成立しました。この安全保障関連法については、別のページで解説しています。
>集団的自衛権って何?
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