島根県支部総会を5月26日に開催しました。

 家族の会島根県支部は昨年30周年を迎えました。私たちの活動は創立以来変わってはいません。「家族のつどい」「電話相談」「会報発行」です。7カ所の地区会を中心として年間61回のつどいが開かれ、介護の中で苦しさ悲しさ辛さとそしてその大切さを切々と語り合う仲間が集まっています。電話相談も日々そうした介護者やご本人の声を聞かせて頂いています。そうした声を会報に掲載して、この3活動を基本とする県支部の2012年度の姿勢には何ら変わりはありません。

 今年介護保険第5次改訂がありました。「家族の会」もその改正に向けて声をあげ、家族と本人の要望を改定に盛り込むために努力しました。また県支部でも各市町村を訪問し介護現場の実態と介護者の心について語り合ってまいりました。行政、福祉の現場でなされている真摯な努力には深く頭の下がる思いがしたのも事実ですが、一方で私達の要望からすれば更に一層の改善を求めたい箇所も多くあります。

 いま県下で連携が重視されています。これまで医療・行政・福祉がばらばらであったため、本人と家族の声が届いていませんでした。市町村や更により小さい単位で連携を模索することにより本人と家族の声を答えて具体的にそして実行的に解決していく方向が求められます。「家族の会」がその責を果たすためにも積極的な声をいま以上に挙げることも大切ではないでしょうか。

総会記念映画会「此の岸のこと」上映と感想

現地の様子 映画上映に90名の参加があり、外山監督と意見交換が活発におこなわれました。学生さんも参加され幅広い年齢層の方に見ていただきました。この映画は少しの音楽と雑踏の音はありますが、台詞はなく、介護者である夫の悲しみ、つらさ、疲れがリアルに描写されていて、見る人それぞれの立場で考える映画です。夫の体調の悪さ等により、最期まで介護して行くことが出来ないと自分で判断されたのか、心中を選ぶという切ない物語です。介護サービスも利用せず、世間の付き合いもみられず、もう少し他の交流があればこんな事態にはなっていなかったのではないか、とも思われます。あえて現代社会の大勢の中の孤独を問題にしているのではないでしょうか。

 見た人それぞれがどうとられ、どう感じ、これからどうして関わっていくかを考えさせられた映画でした。無声であることが人の心に深く入ってくる事に感動しました。若い人達に観賞してほしい映画だと思います。(60代女性)

 昨今の介護についての切実な問題と自分自身の介護体験、また家族状況や健康面で明日は我が身と何とかならなかったものかと改めて考えさせられました。セリフのない映画でしたが、涙が止まりませんでした。自分と重なるところがあるかな!誰もがいく道です。命の大切さをもっともっと子供から大人まで感じて欲しいです。人の一生は長いようで短いものだと最近思っています。如何に最期を迎えるか、誰も死を考えていないのを考えさせられました(60代女性)

 様々な感情がうまれました。介護をされている場面の中に心が苦しくなることがありました。しかし、ベッドで一緒に横になられる姿を見て“愛おしい”と感じておられるのかなと想像したり、ボートの上で寄り添っておられる姿から、最期心中されることに悲しいとは思いませんでした。夫婦にはきっといろいろな関係があり、最期をむかえるにあたって様々な形があるのだろうと思いました。しかし心中を美化するようなことはどうなのか・・ということも考えました。(20代女性)

 会話がいっさいないのがとてもよかったです。(長年つれそった夫婦だからなのか?認知症のためか)老々介護とは?男性が介護するということは?とても興味深かったです。ラストは心中となってしまいましたが、私はあの終わり方でよかったとおもいます。介護に答えはなく、正解もないとおもいます。(20代女性)

 せりふがなくてもまったく気にならないくらい、言葉が通じました。何故、この夫婦は生き抜く道を選ばなかったのだろうか。映像としては心中の方がとても哀愁を呼ぶのでしょうか。今晩夫と「介護」「生きるということ」「命」等を話合ってみようと思っています。(60代女性)

 最初に思ったことは2人の愛の感動と2人が心中してしまったことの残念さです。でもトークショーで外山監督の言葉で身近な問題として考えることの大切さを感じました。在宅での実習で介護者の負担・利用者さんの思いに触れさまざまな形の介護を学びました。今日の映画はすごくリアルに描かれていると感じ、表情やしぐさから愛やつらさを感じました。今の社会でおこっているリアルな問題を感じ若者の視点からこれからの事をもっと考えていかなければと思いました。(20代女性)

 無声なので自分で気持ちを察しながら鑑賞しました。右手の震え、通帳から見える資金難、等ご主人が自分の介護力の限界を感じ散りゆく桜の浮かぶ川の流れを見る姿に死に場所を探しているのか、赤ちゃんや若い人たちを見る彼の姿に希望を感じながらも、心は解放されず、閉じてしまった事等を感じながら、国は地域包括ケアシステムを続ける方向がかえって映画の様な状況を助長するのではないかという危惧感をおぼえました(60代女性)

 上映後、監督と来場の皆さんと意見交換をしました。たくさんの皆様から多くの意見を言っていただきたいと思いましたが、時間の関係上残念な思いをした人もいたと思います(ごめんなさい)