☆アルツハイマーデー記念講演会

“ああ 認知症家族” ~つながれば希望が見えてくる~と題して、久しぶりに本部の高見代表理事に講演をしていただき、いつもの軽妙な語り口にあっという間に時間が過ぎて行きました。当日色々な研修会が重なり駐車場は満員で皆様にご迷惑をかけてしまいました。

レジュメ抜粋

全国の支部の“老舗” 島根県支部の先進性

公益社団法人 認知症の人と家族の会  代表理事 髙見国生様子

 ※ 「島根にもきっと困っている人がいる」「ぼけても人間らしく暮らしてほしい」「高齢社会で共に生きる地域づくりを ~ぼけと家族とお隣さん~」。1981年に結成、受け継がれてきた心島根県支部の先進性と心意気…。

1 33年たっても変わらない家族のつらさ

2 家族の四つの苦労
 ①心身ともの疲労 ②家庭生活の混乱 ③先行きの不安 ④孤立無援の思い

3 励ましあい助けあい、「ぼけ」ても安心して暮らせる社会をめざす「家族の会」

 (「家族の会」の理念)
 認知症になったとしても、介護する側になったとしても、人としての尊厳が守られ日々の暮らしが安穏に続けられなければならない。認知症の人と家族の会は、ともに励ましあい助けあって、人として実りある人生を送るとともに、認知症になっても安心して暮らせる社会を希求する。

4 「家族の会」の役割

5 今も昔も変わらない“ホンネで語る家族の心得”

  • 認知症を理解する 理屈が分かっても、介護は楽にならない 認知症を恥じない、隠さない
  • どこまで家で看るか 在宅介護がいちばんいいのか 社会的サービスを大いに使う
  • 泣くこと、話すこと、笑うこと つながってこそ、希望が見える 専門職との付き合い方

6 認知症の人と家族-2人の人生をどう支えるか それが認知症問題
 人間の優しさと思いやり、社会の仕組み・制度があいまってこそ“ぼけても安心して暮らせる社会”は実現する。(「安心を保障する介護保険・社会保障制度を目指し行動しよう」~支部代表者会議アピール~ 別紙)

7 そしてあなたも「家族の会」へ

当日の感想を皆様から頂きました。

 様子介護する側の身近なお話が聞け、共感するとともに迷っていたことがすっきりしました。

 高見代表のお話をぜひ聞きたくてきました。おもしろくおかしくも、やさしく分かりやすくお話をされ、大変よかったと思います。うわすべりの理解が深まったと思います。

 分かりやすい内容でユーモアの内容も混じえたり、よく理解できました。ありがとうございました。

 現介護者です。高見代表のことば一つ一つに共感でき、介護の状況を理解してもらっているとの思いで勇気づけられました。

 大変よかったです。私が家族の会に入って感じたことを再確認するお話でした。

 途中から聞きましたがお話 とても参考になりました。 認知症の母が昼寝している間に来ましたが、色々うなずけることが多かったです。

 改めて家族の会のありがたさ、重要性を感じました。黄色の⑤の家族の心得はとてもいい勉強になりました。地域みんなが支えあうことの大切さを痛感しました。

 今日のお話の中で私が常々一番考えていることと共通したことは、いかにして実りある人生を送ることが出来るかというテーマです。言い換えるといかにしたら、これまでの介護を通して生じた心のストレスを逆にプラスの思いに変えることが出来るかということです。この10年間の私の大きなテーマであり少しずつ前進しつつあります。

 家族の会のできた経緯などよくわかりました。自分の母が認知症で今病院に入院しておりますが、本日の講演を聞き、心が少し楽になりました、ありがとうございました

 穏やかにお話をしていただいた中で自分の中での介護の不安から開放されたいと思う事を家族に支えて欲しい 誰でも向かう道と思い現実を見ていく

 家族の気持ちを改めて知った、専門職として本人様にどう接するのか職員をどう教育するのか少し分かった、話が上手だった。

 義母のアルツハイマーをすこしでも理解しようと思い参加しました。軽妙な語り口で楽しく聴けました。

 とても楽しく聞くことが出来ました。聴衆に納得してもらうように話すことで少しでも得ることが出来ればと思い聞き入りました。それも長い経験から出てくるものでしょう、参考になりました。本もいただきました、ありがとうございました。

 姑の介護を終えて7年、高見代表のお話にうなずくことばかり涙も出そうになりました。本当に介護を通して沢山の方々と知り合い豊かな気持ちになりました。さてこれからは再び実家の母の介護が始まります、これまでの経験を生かしていきたいと思います。

 内容は深いのだが、聞く人を楽しませて面白がらせて、さすがとおもいました。高見代表のお話をはじめて聞きましたが、今日来てよかったです。

 キレイ事ではない、おしつけがましくない、講演ですんなり頭に入った。「家族」だけでなく家族以外(地域・施設)の方にこそ聞いてもらいたい内容である。家族以外でも支えられる社会にならないといけないと改めて思った。本を買ってかえります。ありがとうございます

 黄色の⑤の内容のお話がとても良かったです。文章を読むよりお話を聞くほうがやっぱり良いです。おばあちゃんを亡くなるまで家で母と看ましたがアルツハイマー型認知症でした。今日のような話を聞かせてあげたかったです。

 お話の内容は一つ一つ経験した思いと重なり大変良かったです。家族の会に入って人生が豊かになったことは本当に確かです。

☆家族のつどい  村全体が家族みたいな関係

 知夫村で家族の会と「つどい」開催

 「認知症を地域で理解する集い・家族介護者の集い」(知夫村社会福祉協議会主催)が10月22日、同村の「ホテル知夫の里」で開催され、本土から渡った黒松基子支部長ら家族の会会員ら9人と地元の皆さん14人が交流を深めました。人口600人を切る知夫村では、村全体が家族のような関係で行政も個々の住民との連絡を密にしています。その半面、認知症の家族の集いに取り組もうとしても人口が少ないために前に進むことが出来ない、との悩みを聞きました。以下はこの日研修のため同村に訪れていた県立大学短期大学部の学生の皆さんと村役場の保健師さんがまとめてくれた「つどい」のもようです。

病院食があれば…
 実母(92歳:要介護1)と実兄(73歳:要支援1)を介護。自分自身が年を取り、これからが不安。料理も大変。兄は高脂血症のため食事を減塩で薄味にと、とても気を遣う。知夫村には病院食がない。毎日3食の食事作りが億劫になる。誰も手伝ってくれない。1回分を1パックずつ入っているような配食サービスが知夫村にもあるとよいけど…。

外出時の転倒に注意
 実母(97歳:要介護4)と2人暮らし。近くに親族がいるため、助かっている。何回かケガをしており、外出時の転倒が心配だが、もう少し動かせたいと思う。美味しいものを作って、一緒に食べるよう心がけている。生活リズムは母に合わせているが、母も私の心配をしてくれている。暗い顔はできない。

地域とのつながり
 知夫村では隣近所と家族の様子が分かっているから安心感がある。集いとか関係なく、いつでも話し合える環境を目指している

加齢で症状も緩和
 妻(66歳:要介護1)を介護。年と共に症状が緩やかになった。子育て中は大変だった。

見守り兼ね配食
 知夫村では社会福祉協議会が見守りをかねて配食サービスを行っているが、病食の配食は人的不足のため、できない現状にある。介護者の集いは、年に2回程度。食事会や勉強会、施設見学などを計画している。

愚痴を聞いてもらいたい
 実母(96歳:施設入所)を介護。入院で認知症の症状が悪化した様子。1人で介護している時はどこに当たればいいのか分からない。ケアマネを頼り、愚痴を聞いてもらっていた。

悩みを共有する場の必要性
 このような会に参加して、同じような経験者と悩みを共有することが大切だが、知夫村では男性介護者の参加が少ない。男性は女性と違い、自分で処理しようとする。また恥ずかしいとの思いを持っているが、人に甘えることも大切。人の話を聞くと勉強になる。

女性は上手に気を抜く
 義父を介護。専門職がする介護は、感情が先に出てしまう。夫は父が認知症を発症すると思わず虐待をしてしまった。介護を一生懸命するからこそ、虐待につながると思う。男性は試行錯誤しながら、とても頑張り、耐える。女性は上手に気を抜くことを知っている。

姉妹それぞれ役割
 実母(85歳:要介護2)を別世帯で介護する。幻覚症状があり、すぐ怒る。一緒に暮らす姉が心配。姉は3、4ヵ月に1回旅行するが、その間に私が自宅に連れてきて介護すると、攻撃的ではなくなる。姉妹、それぞれの役割を持ち、話し合いながら介護している。

働きながら義母介護
 働きながら、義母を介護した。申し訳ない思いもあったが、いい経験であったと感じる。家族の協力がとても大切。現在はいろいろな制度があり、当時よりは介護をやりやすい現状にある。

母の生きがい気になる
 子育てをしながら、義母を介護した。義母との関係は悪くなかったが、いい嫁を貫いたため大変だった。また現在は実母(95歳:要介護4)を介護している。仕事でも介護関係をしていたため、介護の仕方はある程度分かっている。介護の合間には気分転換をしている。実母は普段、手足のリハビリ後、テレビしか見ていないため、気分転換ができているのか心配になる。何が、生きがいか悩みか分からない。たまに、朝起きたら早く死にたいと思わせるような発言が聞かれる。デイサービスは嫌がるし…。

1人で抱え込まぬ
 実母を妻と共に最期まで介護。息子にしかできないことをしてきた。母が子どもにそそぐ愛情と子どもが母に返す愛情が同じであると良い家族関係になる。つどいでは家族の介護体験を話し合うことで、助けられる人もいる。1人で抱え込まないこと。

きちんと受け答え
 義兄(要介護3)を介護。ほとんど寝たきりで、幻覚症状があるが、きちんと受け答えするように心がけている。

30年間続いた介護
 嫁姑関係のいざこざはなく、30年間に義祖母・義父・義母・実母・弟を介護。現在は自分も要支援。経済面での不安はあった。

出来る限り甘えない
 妻(85歳)を介護。自分自身の健康状態もあまりよくなく、今後を不安に思う。近所の方に日頃や今後のことについて話している。近所同士で、互いの介護状況を見てほしいと話す。夫の立場として、近所に頼んだ分、最後まで介護する思いは強い。また、海兵に入隊していたため、忍耐力にも自信あり、介護も頑張れるように感じる。妻は頑張って介護する姿を見て、感謝している様子。今までの苦労・我慢したことを忘れられると思っている。介護をすることで喜びになる。介護される立場になっても、できる限り甘えないようにしたい。