浜松市議会ニュースNo88/2012年冬号 …………………………………………………………………………………………………………

■市議会報告

平成23年度決算総括質疑
市内の210公共施設に指定管理者制度を導入。

 去る10月1日、平成23年度決算に関わる指定管理者制度について総括質疑をしました。
 浜松市内における公共施設への指定管理は、まつり会館や江之島荘など210施設に及んでいます。

●小沢 制度導入により、管理に要する経費は、導入前と比べどれだけ削減されたか。また市民サービスは向上したと考えるか。
■市長 経費の削減効果については、約5億5千万円、率にして約15%削減となっている。また市民サービスの向上については、利用時間の延長、開館日の増加、利用料金の引下げなどサービスは向上しているものと考える。
●小沢 8月29日、内閣府から南海トラフの巨大地震による津波高などの被害想定が公表された。指定管理者制度導入施設の地震・津波などに対する危機管理は万全か。
■市長 指定管理者制度導入施設では、施設ごとの危機管理マニュアルで災害時の対応を整理しているが、津波への対応は十分でないため今後、公表される県の第4次地震被害想定の結果を踏まえ、地震・津波などの対策を強化していく。

防潮林を飲み込み民家に到達する津波

●小沢 基本協定書において、第3者に業務を委託させる場合には、市への事前承諾を義務付けているが、平成23年度における再委託事例は何件あったか。また、事前の承諾なしで再委託した事例はあったか。
■財務部長 平成23年度において、設備保守などの第三者への委託、又は請負は、210施設のほぼ全ての施設において行われていると認識している。また、第三者への委託などについては、軽微なものを除き、市の事前承諾なしで行っている事例は承知していない。
●小沢 総務省の通知によって、管理にかかる業務を一括して第三者へ委託することは出来ないことになっているが、その事実はあるのか。
■財務部長 現在、全ての施設について調査中であり、年内に報告する。
●小沢 昨年の総括質疑の答弁で、「今後、必要に応じて労働条件の確保などを仕様書に記載することで、法の規定を遵守するよう徹底する」とあったが、どのくらい記載されたか。
■市長 労働条件等関係法令の遵守を徹底するため、本年4月に指定管理者制度の実施に関するマニュアルを改正した。この改正により、指定管理者が市へ提出する本年度の事業報告から、労働関係法令に基づく適正な業務の履行について報告を義務付けた。

■指定管理者制度とは

これまで地方公共団体などに限定していた公の施設の管理・運営を、株式会社をはじめとした営利企業・ 財団法人・NPO法人・市民グループなど法人その他の団体に包括的に代行させることができる制度。地方自治法の一部改正で2003年 9月2日に施行された。小泉内閣発足後の日本において急速に進行した。   この制度は、経費削減と市民サービスの向上を目的としているが、経費削減によりそこで働く人々の労働条件は厳しい現状にある。

急がれる少子高齢化施策。

 浜松市の保育所待機児童数は表の通りです。景気後退の影響により家計を支えるため女性の就労が高ま り待機児童対策は解消されていません。静岡県内で最も多い実態にあります。また参考までに浜松市の出生数は下の表の通りです。出生率向上のためにも、待機 児童を解消し、安心して働くことが出来る環境を確立することが必要です。

    

 浜松市の65歳以上の高齢者人口は、18万8千人で、高齢化率は23%となっています。過去4年間の要介護認定者の推移は下の表の通りです。



 また、特別養護老人ホームへの入所待機者数については次の表の通りです。



 このように、高齢者を取り巻く状況は年々深刻になっています。 介護保険料が上がってもサービスは改善されていません。当事者や介護者からは、悲痛な声が聞かれます。サービスの充実が求められます。
 さらに、民生委員協議会が実施した、市内における孤立死の実態は、死亡が66人、救急搬送などの事例は179件に及んでいます。今後、こうした事例は増加することから、行政の高齢者見守り・支援事業の充実が急務です。

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■先進地に学ぶ
掛川市「ふくしあ」を訪ねて。

 私は今年2月議会で「高齢者が住み慣れた家で暮らし続けて行けるよう医療、介護、生活支援サービスが切れ目なく提供される24時間対応のサービスが必要だ」と質問しました。
 市長は「病院などの入退院時に切れ目なくサービスが受けられるよう主治医などとの連携強化に取り組む」と答弁されました。
 私は10月22日「健康・医療日本一のまちづくり」を目指す掛川市の地域健康医療支援センター「ふくしあ」を訪問しました。
 すでに掛川市では、医療、福祉、介護、保健の総合的なサービスが提供されており、こうした施設が3ヵ所開設されていました。今後さらに2ヵ所増設し、すべての地域にいきわたる計画が出来ており感心しました。
 浜松市も医療、介護の取り組みが急がれます。

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防災対策

津波避難施設の整備が進むなか、
区ごとの避難行動計画を策定中。
【来春全戸配布】

 浜松市では、南区の2ヵ所に津波避難マウンドを計画しています。
 まつり会館東側(遠州灘海浜公園)に整備するマウンドは高さ約10.5メートル、旧五島小学校グラウンドは高さ約7メートルとする方針です。収容できる人数は、各1,000人から2,000人となっています。
 また、津波避難タワーは西区舞阪地区に5ヵ所、南区では、河輪地区と法枝地区に各1ヵ所設置する予定です。

 さらに、防潮堤整備(民間企業からの寄付金300億円)については、去る9月、県と市の共催により着手式がとり行われました。本格的には、来年6月公表の静岡県第4次被害想定を見極めたうえでの取組みとなりますが、当面できることから早急に進めることとしています。
 県知事は「平時も地域に親しまれるよう整備する」との方針を示し、土砂の調達は天竜区の阿蔵山から約240万立方メートルを賄う予定。

 屋上津波避難施設として江南中学校の整備がすでに完了しました。

江南中学校に整備された屋上フェンス(左)と避難階段(右)

 また今後は、篠原小、新津小、河輪小、可美小、旧遠州浜小、可美中、東陽中の整備が実施されます。さらに、南区役所、西区役所をはじめ中田島団地(C1棟・8棟・31棟)、遠州浜団地(1丁目C2棟、4丁目波7棟)など整備されます。

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冊子「災害から生き抜くために」

 南区における大災害から命を守るため、わかりやすく避難場所などをしるしてありますので、ぜひ活用しましょう。