☆投稿 ラストステージに関わる専門職と家族の両方の立場で

 母を施設にお願いして2年が過ぎようとしています。

 母子家庭で苦労して女手一つで3人の子を育ててくれた母です。何でも1人で決めて頑張ってきた母は、認知症になると誰の言うことも聞かない困った人になっていきました。

 福祉の仕事をするようになって、いつか親の介護が必要になった時に役に立てばと言う思いがありましたが、自分の親の面倒を見ることができず、他人様のお世話になっています。

 ケアマネとして関わりながら多くの方の施設入所もお世話させていただきましたが、自分が同じ立場になってみて初めて、ご家族の気持ちが分かるような気がします。

 介護が大変でやっと入ることができたのは喜ばしいことですが、施設に居る姿を見ると些細なことでも、自分が看ていたら違っていたかもしれない!家に居たら違っていたかもしれない!と思ってしまい、罪悪感にとらわれるのです。あんなに大変でどうしようもなくて、途方に暮れてやっと入れてもらったのに・・・・・・

 同じような思いをされているご家族の話は何度もあります。辛い思いをされて、やっと入れてもらったのに…、じゃあ自分で看ておられた方が良かったのか・・・・・何とか早く入所できるように一生懸命頑張ったつもりだったのに…、等と以前は家族の複雑な心境を理解できていませんでした。

 ケアマネとして、入所時にできるだけ情報提供を密にしてスムーズに生活が移行できるようにしているつもりです。施設の職員さんには入所されてきたその方を知るために、ご本人にもご家族にもたくさん話を聴いてあげてほしいと思います。

 それぞれの方が、生き生きと生活されてきた歴史があることを想像してみて下さい。父として母として、夫として妻として、あるいは独りで頑張ってきた人など、色々な立場で生活してこられたと思います。その方が大切に思っておられることに少しでも近づくことができれば、人生の最後のステージを笑顔で過ごしていただけるのではないでしょうか。

 私はこれから家族として、プロの介護ではできない部分に寄り添っていけたらなと思います。これから先、どれ位生きてもらえるのか分かりませんが、後悔の念を少なくできるようにしたいと思うこの頃です。(T)