☆寄稿 入所高齢者の列車事故に思う

 6月1日(日)正午過ぎ、出雲市から松江市に向け車を走らせていたところ、斐川と宍道の境のあたりの線路上にやくも号が停車し、運転席横のドアが開いているのを見かけました。「こんなところで停車するとは、何か事故だろうか。踏切でないところを渡ってはねられたとか…」と話しながら、ラジオのスイッチを入れると、「松江市内の山陰線で人身事故」とのニュースが流れました。

 翌2日の朝刊には、近くの高齢者施設入所の87歳の男性が線路上ではねられ死亡したとの記事が載って、心配が現実のものであったことを知りました。

 つい先頃も、認知症の老人のJR事故に対する損害賠償請求裁判で、名古屋高裁での控訴審判決でも家族の責任を指摘して賠償命令が出され、徘徊する認知症の人を介護する家族のみならず多くの人に怒りと不安を抱かせたばかりでした。

 家族介護にとどまらず、施設でも同じ責任を問われることになると、施設に受け入れてもらえなくなることも考えられます。そうなれば家族はそれこそどうすればよいのでしょうか。聞くところによると、認知症の人がスーパーの売り物を勝手に食べる等のトラブルにより警察沙汰になることもあるそうです。このような問題は今後増えていくことは間違いありません。

 松江地区会のKさんは、「このような問題にこそ家族会が先頭になって取り組むべき」とおっしゃっていますし、私もそう思います。しかし、松江地区会のみで解決できることではなく、今のところいい案は思いつきません。

 そこで、地区会や県支部で、まず、県内で認知症患者と社会とのトラブルにはどのようなものがどれくらい発生しているのか調査することから始めてはどうでしょうか。(松江地区会・H)

☆寄稿 叔母の認知症

 滋賀県草津市のグループホームに入所している叔母(93歳)に会いに行きました。父の妹で、小さいときにお世話になったので、記憶があるうちにと行きました。大阪に嫁ぎ、独居になり、ここ数年で膀胱癌のためストマを付け、生活をしていましたが、ストマをはずすようになり、独居の生活が困難になり、老人アパートに入所してから、仏壇を運んだり、部屋の中を毎日ひっくり返したあげく、上腕骨折しました。ギプスをはさみでたたいて切ろうとしたり、介護がないと生活ができなくなり、グループホームを探しましたがストマではどこも入れてくれず、とりあえず姪(叔母の姉の子)が自分の家に引き取ってくれました。ストマがあるだけで施設は拒否されました。探した末、1ヶ所、ストマくらいならと入所が決まり現在のグループホームに入ることができました。

 順調に生活ができていたのですが、先月トイレで転倒し、腰椎圧迫骨折をしました。居室に入ると歯はなく・やせている・ベッドにいる様子は寝たきり老人そのものでした。痛いというのを車椅子に座らせ、入れ歯を入れ、顔・頭・首を30分くらいマッサージしていくうちに顔にも生気が戻り、赤みのある元気な叔母の姿になっていきました。その30分の間、私はこの叔母に何の孝行ができたのだろうか思うと胸が締め付けられました。名前も顔も忘れてしまい、叔母にとっては1日1日を過ごすことが、今が一番幸せだと思うことにしました。次に会いに行くまで今のままでいてほしいと願い、バイバイと手を振る叔母の姿は「モトコ、マタキテネ」と言っているような元気なころの姿でした。(K)