ハウスみかん栽培の問題点 

 更新日:2008年11月 5日

 INDEX
   前 書 き .
T 肥培管理 .
 1. 土壌分析と追肥
 2. 追肥の基準
 3. ハウスみかんの肥料の吸収量
 イ) 追肥
 ロ) リン酸の吸収
 ハ) 石灰と窒素の吸収について
 ニ) 石灰とpHの検討
 4. ハウスみかんの土壌分析
 5. pHとCaOと収量の相関性
    pHと植物 .
 @.土壌pHの決定原因
 A.アルカリ性土壌の状態
 A.土壌pHと肥料要素の溶解と利用度
 植物と土壌に於ける石灰と苦土 .
 1) 土壌と石灰、苦土について
 2) 植物と石灰、苦土について
 3) 石灰と苦土肥料の追肥について
 肥培管理の結論 .
 6. 追肥について
U 温度管理と自動温度調節器の信頼度 .
 1. 予措加温
 2. 発蕾時の加温
 3. 自動温度調節器の信頼度
 4. 傾斜地のハウス内温度の均等化
V 灌水と灌水時期
W 果実の旨み成分の形成
 1) 甘味の形成
 2) 酸味の形成
 3) 旨みの形成
 4) みかんの美味しさ
X その他
Y 柑橘類の要素欠乏の症状と概略
   @リン酸  A加里  B石灰  C苦土
   D鉄  Eマンガン  F銅  G亜鉛
   Hモリブデン  I硼素

 前書き

   みかんのハウス栽培が、露地栽培と異なる点は、、、、
発蕾 → 開花 → 結実初期 → 中期を迎え、この養分が一番必要なときに、ハウス栽培では露地栽培と異なり、室温が異常に高温になる。そのハウス内の高温によって、みかんでは異常な葉面蒸散が行なわれ、新陳代謝もそれに比例して激しくなる。

特に発蕾時においては微量要素の吸収は著しく、例えば吸収の良好な有機酸微量要素を鉄分として20リットル/10aを施しても、1ヶ月足らずで全て吸収され土壌中には殆んど残留しない。また、結実して果の肥大が進んでいけば窒素や石灰の吸収量が著しく多くなる。

このことにより、露地栽培とハウス栽培での肥培管理の方法は当然のことながら考え方を異にする必要があるし、元肥や礼肥などでその成長をまかなえるのか、などの疑問点が浮上する。そのような疑問を解明するために私たちはこの土壌分析の間隔を15日間に1回のサイクルで試みることにした。その結果、ハウス栽培における肥料の吸収スピードは15日間という短期間にもかかわらず、“予想外に速い”ということが判明した。

 以下、土壌分析の結果を基にして、この栽培の問題点を考えてみたい。



T.肥培管理

   まず、慣行の肥培管理に疑問を呈す。それは、、、、

@ 何故、春肥や夏肥及び秋肥のように特定の時期を見計らって施肥をするのか?
A 何故、果の成熟中に窒素肥料を施してはならないのか?
B 何故、開花中や果が肥大している時や春芽・夏芽・秋芽が発芽し成長している時、それらに必要な肥料を追肥しないのか?
C 何故、ハウスみかんだけに、葉が黄化したり、異常落葉したり、落果するのか?
  以上のように昔から伝えられてきた施肥法に対する疑問の是非を、下に示す土壌分析のデータで考察してみる。

 最初に、農家が勘によって施肥をした結果の例を見てみる。
まずは、1978年3月18日の分析値は、土作り追肥を勘に頼って行ってきたハウスみかんの土壌(この時は、露地栽培を引き継いだ地力からのスタート)であり、そこにビニールハウスを建立した。

土を肥やすための施肥とみかんの生長を促すための施肥、その双方の作用を同時に進めるために行っている追肥が、中々うまくできていない様子が伺えるデータである。

処が、6月10日の時点になると一端吸収量は落ち着いてくる。これは果がある程度成長してしまい摘果も終わり、樹木への負担が軽減されてきたのだろう、ここで地力をつける。 その後、12月には開花が始まり、1月にはまた、果実の成長が始まる様子が伝わってくる土壌分析データである。3月になるとかなり落ち着いた余裕のある土壌になっている。



1.土壌分析と追肥

 表−@ 土壌分析と追肥の例 (分析者:米澤農業研究所)
 ※ 当時は10Kgを標準としていた。
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
分 析 日
肥料投入量
酸度
(PH)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
追 肥
標準値 6.0〜6.2 2〜3 10 50 50 320 30 2.7  
                   
’78. 3.18 4.56 3.46 2.00 105.20 20.27 102.42 21.17 0.00  
60 Kg
200 〃
200 〃
20 g
        32.60
100.00
100.00

20.00



2.70
硫酸加里
苦土石灰
炭酸石灰
微量要素
修正値   3.46 2.00 105.20 52.87 302.42 41.17 2.70  
                   
’78. 4. 9 4.52 2.94 2.87 92.20 28.03 95.40 18.14 0.00  
20 Kg
50 〃
200 〃
200 〃
20 g
  3.40 3.40    
27.00
 
 
100.00
100.00
 
 
20.00




2.70
硝 安
硫酸加里
苦土石灰
炭酸石灰
微量要素
修正値   6.34 6.27 92.20 55.03 295.40 38.14 2.70  
                   
’78. 5. 5 5.46 5.15 8.01 109.93 49.85 162.75 14.11 0.00  
300 Kg
20 g
          150.00 30.00
2.70
苦土石灰
微量要素
修正値   5.155 8.01 109.93 49.85 312.75 44.11 2.70  
                   
’78. 6.10 6.48 3.16 9.21 135.93 51.96 301.65 23.18 0.00  
80 Kg
20 g
          40.00 8.00
2.70
苦土石灰
微量要素
修正値   3.16 9.21 135.93 51.96 341.65 31.18 2.70  
                   
’78. 7. 7 6.10 1.84 109.93 44.57 210.45 20.16 0.00  
200 Kg
20 g
          100.00 20.00
2.70
苦土石灰
微量要素
修正値   1.84 5.47 109.93 44.57 310.45 40.16 2.70  
                   
’79. 1.23 6.17 0.59 115.25 33.55 162.75 19.15 0.056  
40 Kg
100 〃
200 〃
20 g
  6.80 6.80    
50.00
100.00

20.00



2.70
硝 安
苦土石灰
炭酸石灰
微量要素
修正値   6.80 6.80 115.25 33.55 312.75 29.15 2.756  
                   
’79  3. 4 7.17 8.24 5.54 101.65 35.75 415.99 17.64 0.057  
100 Kg
20 〃
20 g
         
10.80
  16.40

2.70
硫酸苦土
硫酸加里
微量要素
修正値   8.24 5.54 101.65 46.55 415.99 34.04 2.757  
                   

 この分析は福岡県糸島市(M農園)のハウスみかん栽培の一例である。
昭和52年(’78年)に露地栽培をしていた圃場にハウスを建設し、引き続きハウス栽培として開始したものである。
今までは勘に頼った施肥であったため、分析は実施していない。それ故、肥料成分が大変な飢餓状態にあったことが分かった。

追肥した肥料名 (単位:Kg/10a)
分析日 硝 安 硫酸加里 苦土石灰 炭酸石灰 硫酸苦土 微量要素
’78年 3月18日   60 200 200   20 g
’78年 4月 9日 20 50 200 200   20 g
’78年 5月 5日     300     20 g
’78年 6月10日     80     20 g
’78年 7月 7日     200     20 g
’79年 1月23日 40   200 100   20 g
             
合  計 . 60 110 1180 500   120 g
             
’79年 3月 4日   20     100 20 g

これだけの肥料を施して良好な生育をしている。
注)−1.参考対比:ハウスみかんの石灰と窒素の吸収について
   −2.   〃  いちご栽培に於ける追肥量


 << 考 察 >>
『 問題点 』
表−@の土壌分析と追肥の例では、以前は勘に頼った施肥であったために、その肥料の成分は大欠乏の状態にあった。

分析を開始して以降 ’78年3月 〜 ’79年の1月までの追肥量の合計は、
@.石灰
 炭酸苦土石灰 (200+200+300+80+200+200)= 1,180Kg
 炭酸石灰   (200+200+100)= 500Kg
   *石灰の合計量は1,680Kg、成分は53%として890,4Kgとなる。

A.加里
 硫酸加里 (60+50)= 110Kg
   *加里の合計量は110Kg,成分は54%として59,4Kgとなる。

B.苦土
 炭酸苦土石灰 (200+200+300+80+200+200)= 1,180Kg
 硫酸苦土    100Kg
   *苦土石灰の苦土分の合計量は1,180Kg,その成分を10%とした場合は118Kg、硫酸苦土の苦土分の合計は100Kg,成分は16,4%として16,4Kg、その合計量は134,4Kgとなる。

C.窒素
 硝安 (20+40)= 60Kg
   *硝安の合計量は60Kg,成分は34%として20,4Kgとなる。

D.可給態鉄
   * 毎月20リットルのグリーンアップを追肥しても、そのすべてが効率良く吸収されるため毎月の分析値は“ゼロ”となっている。


参考に、他地区に於けるぶどう栽培の土壌分析の例があるので何点か列記する。                       
 表−B 栽培物:デラウェア(於:大阪府)
< 分析者:米澤農業研究所 >
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
分 析 日 農園名 酸度
(pH)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
備考
標準土壌値 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7  
’86.10. 2 Y・K農園 3.83 1.94 0.53 94.18 10.55 74. 14.11 0.11  
’86.10. 2 K・K農園 3.91 1.22 0.80 120.47 17.59 95.40 20.16 0.07  
’86.10. 2 H・S農園 3.43 1.80 0.66 34.49 18.76 40.68 26.20 0.80  
’86.10. 2 Y・A農園 3.64 1.72 0.46 61.33 16.42 92.59 17.13 0.75  

このように、ここでも勘に頼った結果、大飢餓状態である。作物の状態は雨が降ればハウス内に流入し、果実は裂果の大被害に見舞われ、葉は薄く、薄緑色である。典型的な石灰欠乏の症状である。


2.追肥の基準

 肥料成分の欠乏・標準・過剰について

 表−C 肥料成分の欠乏・標準・過剰
 (注) A : これ以上となると欠乏を来たす。
     C : これ以上となると過剰。
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
分 析 日
肥料投入量
酸度
(pH)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
塩素
(Cl)
欠乏 A   1.0 30 5 280 20    
標準 B 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7  
過剰 C   4.2 35 58.2 75.1 380.8 36   15
極限量   2〜3 40 60 80 400 40    


3.概ね15日間のハウスみかんの肥料の吸収量

 下の表は、表−@と同じ地区に於いて分析を約15日間の間隔で行い、肥料の吸収量の追跡調査を試みた。

 表−D ハウスみかんの肥料の吸収量(於:福岡県糸島市 T農園)
< 分析者:米澤農業研究所 >
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
  分 析 日 酸度
(pH)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
’77年の
栽培
標準値 6.0〜6.2 2〜3 10(当時) 50 50 320 30 2.7
’77. 2.12 6.12 0.09 0.70 14.78 22.25 279.16 31.24  
2.26 6.02 0.54 1.40 16.55 30.38 252.50 44.34  
3.13 5.40 0.49 0.53 5.91 17.27 133.29 35.28  
3.25 5.86 1.08 2.13 26.60 37.35 227.29 44.35 0.288
4.10 5.32 0.65 1.00 57.92 33.86 158.54 46.37 0.070
4.24 5.63 1.03 3.34 23.64 34.72 211.85 43.34 0.107
5. 9 5.58 1.09 5.47 23.64 33.86 202.03 49.39 0.252
5.22 5.95 2.35 6.14 29.55 37.43 279.20 54.43 0.363
6. 5 5.62 0.96 12.41 28.37 36.86 258.15 51.41 0.324
6.21 5.69 1.49 9.14 46.09 43.47 296.03 50.40 0.654
7. 7 5.42 1.09 11.67 34.28 43.47 241.32 49.39 0..36
7.18 6.14 1.09 16.68 24.82 33.55 315.67 62.49 0
                   
’78年の
栽培
標準値 6.0〜6.2 2〜3 10(当時) 50 50 320 30 2.7
’77.11.22 6.00 5.15 3.34 29.55 40.16 267.97 43.85 0.108
’78. 1.29 5.80 2.72 0.80 30.73 46.69 235.70 32.26 0.070
2.12 5.93 1.25 1.67 48.46 41.27 294.63 30.24 0.078
2.28 6.40 2.65 9.47 66.19 50.49 417.39 33.77 0.258
3.12 6.23 9.93 4.00 39.59 42.80 318.48 28.22 0.078
4. 2 6.07 3.68 6.14 60.28 50.91 352.15 30.24 0.092
5.22 6.28 4.63 10.67 59.10 61.47 354.96 28.22 0.092
                   
’79年の
栽培
標準値 6.0〜6.2 2〜3 10(当時) 50 50 320 30 2.7
’78.10.18 6.27 4.49 5.67 63.83 57.24 499.47 46.37  
’79. 1.20 6.48 0.96 3.87 86.88 45.63 430.72 48.38 0.042

イ) 発蕾・開花・着花・果の成熟に関係なく窒素(硝安にて)は、標準値10Kgになるよう追肥をした。

ロ) リン酸の吸収に注目をして欲しい。

  表−@では第1回目の分析で105.20Kgと、すでにこの時点で過剰である。しかも、収穫が終わる7月7日の分析結果を見ても、その値は109.93Kgと過剰になっている。つまり、この間は過剰であるからリン酸は全く施肥をしていない筈である。しかも、養分は減じて行く筈なのに、この数値である。これはその分析4月9日、5月5日、6月10日の経過を分析勘案してみても分かる通り、リン酸は全く吸収されていないということである。

処が、表−Dでは、リン酸が初回分析14.78Kgから始まりその期の収穫では毎回不足分を施肥している。なのに、15日後に分析をすれば数値が低くなっている。つまり、リン酸は5〜50Kgの間で日々吸収されているのである。

 この現象は、飽和リン酸(過剰リン酸状態)と飢餓リン酸(欠乏リン酸状態)の吸収率の差である。 リン酸が過剰となれば全リン酸に対して水溶性リン酸の割合は減ってしまう。 下の表−Eはカーネーションの栽培の際にそのリン酸の状態を分析をしたデータである。



次に、全リン酸に対して水溶性のリン酸がどの位の割合で存在するのか、カーネーションの栽培土壌の分析データーを示す

 表−E
< 分析者:米澤農業研究所 >
注)P2O5の項のTotalは全リン酸、H2Oは水溶性リン酸、%は水溶性/全リン酸を示す。
採土場所 p H NH4−N NO3−N P2O5 K2O CaO MgO
H2O KCl Total H2O %
滋賀ー@ 5.88 5.78 9.41 47.36 721.02 10.05 1.39 63.58 462.99 49.39
唐 津 7.70 7.36 2.43 14.08 709.20 13.59 1.91 47.74 636.96 120.96
滋賀ーA 4.50 4.13 6.69 31.35 487.58 15.96 3.27 39.06 260.96 43.34
熊本(バラ)   3.55 10.26 5.88 478.71 22.46 4.69 12.95 54.01 17.64
滋賀ーB 6.08 5.41 4.19 5.45 341.59 18.91 5.53 7.88 310.06 46.37

  ここで注目すべきは、分析値に表れる全リン酸の値は多ければ多いほど、 吸収される水溶性リン酸の値が少なくなるという現象をしっかり見て理解して頂きたい。

処が残念なことに、日本農業の現状はこのような表(分析表:ECと肥料濃度の検討)にもあるように、殆んどの圃場がリン酸の大過剰となっている。この背景にはリン酸を与えてやると“果実や野菜を美味しく作れる”とか、“花ではリン酸を入れると色が奇麗に仕上がる”といったような誤った認識の結果と、最大の問題点は長年に至って肥料のバランスを考えずに配合肥料を使ってきた弊害である。



ハ)石灰と窒素の吸収について

  2〜5月の間は成長期にあり、石灰の吸収量はピークとなっている。6月になり収穫が始まると果実は落ち着いた状態になり、その時期には窒素・石灰ともにその吸収量は幾分吸収はしているものの、土壌は安定し落ち着いた状態にある。その時期に於ける肥料の吸収過程をまとめると、、、、

 表−F
  窒素 kg/10a 石灰 kg/10a
NH4−N NO3−N 追肥量 硝安 CaO 追肥量 炭酸石灰
標準値 13(当時の設定値) 320
’77. 2.12 0.09 0.70 12.21 35.91 279.16 40.84 81.68
’77. 2.26 0.54 1.40 11.06 32.52 252.50 67.50 135.00
’77. 3.13 0.49 0.53 11.98 35.23 133.29 186.71 373.42
’77. 3.25 1.08 2.13 9.79 28.79 227.29 92.71 185.42
’77. 4.10 0.65 1.00 11.35 33.38 158.54 161.46 322.92
’77. 4.24 1.03 3.34 8.63 25.38 211.85 108.15 216.30
’77. 5. 9 1.09 5.47 6.44 18.94 202.03 117.97 235.94
’77. 5.22 2.35 6.14 4.51 13.26 279.20 40.80 81.60
’77. 6. 5 0.96 12.41 0 0 258.15 61.85 123.70
’77. 6.21 1.48 9.14 2.38 7.00 296.03 23.97 47.94
’77. 7. 7 1.09 11.67 0 0 241.32 78.68 157.36
’77. 7.18 1.09 16.68 0 0 315.67 0 0
               
合 計     78.35 230.41   935.19 1961.28

  この肥料の吸収量はハウスみかんの生育ステージと合致する。また、表−@の分析表と比較しても、ほぼそのまま重ね合わせることが出来る。従って、この2件のデータに基づけば、その栽培は生育ステージに関係なくその時期、減じた養分(標準値にしておく)を与えた方が良いということが読み取れる。


ニ)石灰とpHの検討

 石灰とpHの関係は表−@でも分かる通り、石灰の量に比例してpHが上昇しているのが分かる。

 表−G(表−@土壌分析と追肥の例から)
分析者:米澤農業研究所
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
分 析 日
肥料投入量
酸度
(pH)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
石灰の補正量
標準値 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7 炭酸石灰(CaOとして)
’78. 4. 9 4.52 2.94 2.87 92.20 28.03 95.40 18.14 0.00 400 (212)
’78. 3.18 4.56 3.46 2.00 105.20 20.27 102.42 21.17 0.00 400 (212)
’78. 5. 5 5.46 5.15 8.01 109.93 49.85 162.75 14.11 0.00 300 (159)
’78. 7. 7 6.10 1.84 5.47 109.93 44.57 210.45 20.16 0.00 200 (190)
’78. 6.10 6.48 3.16 9.21 135.93 51.96 301.65 23.18 0.00 80 (42.4)

 石灰とpHの関係はこの表でも分かる通り、石灰の量に比例してpHが上昇していることである。石灰は果実の肥大期には特に必要とされる要素で、これは果実の肥大つまり果肉組織の基となる中葉部の形成に必須の要素だからである。従って、このデータに関して理解しなければならないことは、果実の肥大に対して石灰の量が不足していくという事態に対して、いかにしてその補給を的確にしていくかということでもある。

 更に下表を見ていただきたい、、、、

4. 他地区で分析したハウスみかんの土壌分析の例

 表−H(表−@土壌分析と追肥の例から)
分析者:米澤農業研究所
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
サンプル 酸度
(pH)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
石灰の補正量
標準値 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7 炭酸石灰(CaOとして)
A 3.70 3.02 5.13 76.83 31.34 100.62 29.23 0.00 438.76(232.5)
B 3.98 2.23 5.93 ★60.87 31.34 175.37 46.36 0.00 289.26(153.3)
C 4.27 2.66 4.33 146.56 25.82 159.94 51.400 0.07 320.12(169.6)

 ★は60Kgが極限量(表−C)であるので過剰としない。
 は過剰。
 は欠乏症状。
 はpHを炭酸石灰によって補正したときの投入量。

  CaOの過少によるpHの低下の影響
  pHと収量(温州みかん)

              図−@
pHと収量

5. pHとCaOと収量の相関性

 イ) CaO欠乏

  @ アルカリ性肥料の不足

    pHの低下

  A 細胞分裂の減退

   果実が大きくならない。
   果実が張らない。
   異常落葉
   生理落果
   浮き皮
   尻腐れ

 ロ)pH

   pHと植物

  @ 土壌pHの決定原因は主に石灰の欠乏か過剰に起因している。
   (−)の要因・・・・硝酸態窒素・リン酸・硫酸根  が主となる。
   (+)の要因・・・・石灰・アンモニア態窒素・苦土 が主となる。

表−I 土壌pHと硝酸・石灰の関係
分析者:米澤農業研究所
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
サンプルNo. pH
(KCl)
硝酸
(NO3-N)
石灰
(CaO)
A 5.41 20.55 329.71
B 6.21 8.00 324.09
C 6.42 9.33 346.54
D 6.50 19.00 383.01
E 6.81 11.20 392.84
F 7.26 3.80 397.04
標準土壌 6.0〜6.2 (20)〜30 320


 左表のように、石灰量がほぼ同じ量の時、硝酸の量が増えるとそのpHは下降している。アルカリ性化した土壌へ窒素肥料を施す場合は必ず硝酸態窒素系の肥料を使用すべきで、この時アンモニア態窒素系の肥料を施した場合には硝酸化成が遅れる。

結果としてサンプルE・Fの比較でも判るように硝酸が欠乏となって、pHは上昇し作物の生育を悪化させてしまう。そのような不都合を来たさないように、窒素の硝酸化を速やかに行うために有機物を十分に使用することが大切である。


  A アルカリ性土壌の状態について

 表−J
分析者:米澤農業研究所
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
サンプル 酸度
(pH:KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
備  考
標準値 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7  
ハウスみかん 7.17 8.42 5.54 101.65 35.75 415.99 17.64 0.057  
い ち ご 7.68 0.91 7.20 104.02 31.34 475.62 29.23 0.000  
 ハウスみかんの土壌では、石灰415Kgと過剰である。また、アンモニア態窒素が硝酸態窒素の5.54Kgを上回り、8.42Kgと過剰になっている。この現象でのpHはアルカリ側に働く。この値がいちご土壌の0.91Kg程度なら、この土壌はpHが6.8位の筈となり、ギリギリの安全圏である。

 一方、いちごの土壌では窒素分の分布比率は理想であるが、石灰分が大過剰となっているためにpHが7.68のアルカリとなっている。

  B 土壌pHと肥料要素の溶解と利用度

表−K Trougの表
幅の広いところで効果が最大になる。(平均的に効果があるpHは6.8です。ただし、H2O計測時)  Troug 

 『解説』
土壌中の肥料成分は、その土壌のpHによりその溶ける量が決まります。太い部分は良く溶けるpHを示し、細い部分は溶け難いpHを示します。全ての成分でバランス良く溶けるpHはほぼ6.8の処です。
但し、硝酸態窒素はpHに関係なくすべてのpHで良く溶けます。

 処が、土壌分析のサンプリングは圃場1面に対して10ヶ所を均等に採土します。つまり、土壌pHが6.8ということは7.4もあれば6.5もあると考えなければなりません。この場合の7.4の所では生育不良になります。このような生育にムラがあり背丈の揃っていない圃場を良く見かけます。従って、土壌pHは6.0〜6.5、作物によっては6.3〜6.6に収まるようにした方が良いわけです。

 図−@のpHとみかんの収量の因果関係をこのTroug表で説明すれば、pHが5.0以下になると石灰は殆んど溶解せず、飢餓状態になります。このことは結果的に中層が形成出来ないため果肉が正常に発達せず、果実玉は小粒になり、浮き皮・軟果・尻腐れが多くなります。また、この症状の初期の段階(幼果の段階)では生理落果が始まります。ここの時点を予想して早めに石灰を追肥すれば良いのですが、農家の人はこのような場合には摘果の方を選択しています。その結果、収量減となっているのが現状です。(石灰の追肥量を参考)

 『 図−@の収量 』と『 Troug溶解度 』表の石灰 はそのまま関連していることが分かります。


植物と土壌に於ける石灰と苦土 (この項は “果菜栽培テキストVOL.1” の\を参照)

 1)土壌と石灰、苦土について

  酸性土壌の中和


 2)植物と石灰、苦土について

  @細胞構造と石灰、苦土

  A葉の緑と苦土

   葉緑素 a型 (緑 色) C55H72O5N4Mg

   葉緑素 b型 (黄緑色) C55H70O6N4Mg


  B石灰と苦土の植物体内に於ける流れ

   石灰 ・・・・・・ 植物体内の流動は少ない。欠乏すると葉の黄化、きゅうりでは曲がり果、スイカ・メロンの裂果が見られる。

   苦土 ・・・・・・ 成長点に移動する。土壌に不足すると下葉から枯れ上がってくる。


 3)石灰と苦土肥料の追肥について (この項は “果菜栽培テキストVOL.1”の\−4 を参照)

  @石灰の追肥は消石灰で良いのか?

  × 消石灰 3g + pH 6.38(井戸水)1リットル → pH 12.43 に
    セメントが無かった時代は : 消石灰 + 麩海苔      + 麻糸くず → 漆喰壁をつくる。
    圃場では         : 消石灰 + わら(有機物) + 土壌  となり、地下50cm位のところで岩盤となっている。
  × 生石灰   生石灰 + 水 → 発熱 → 消石灰 に
      (故に、土壌は固くなり、pHが高くなるので使えない。必ず、炭酸石灰または苦土石灰を使う

   炭酸石灰(中効性)
   炭酸苦土石灰(中効性)
      3g + pH 6.38(井戸水)1リットル → pH 7.03 を示す。
  × 珪酸苦土石灰(遅効性)
   鋼滓苦土石灰(遅効性)
   硝酸カルシウム (速効性)
   塩化カルシウム (速効性)  葉面散布に最適 (0.3%溶液にて使用)・・・融雪剤でOK
   塩化マグネシウム(速効性)  葉面散布に最適 (0.3%溶液にて使用)
   硫酸マグネシウム(速効性)  葉面散布に最適 (0.3%溶液にて使用)・・・工業薬品(溶解度が高い)を調達する

  A苦土過剰の土壌

  @.溶リン(P2O5:19%、CaO:30%、MgO:18%)や苦土石灰(CaO:53%、MgO:5〜15%)などのマグ入り肥料の多用による過剰。
   この時のMgOの分析値は129Kg/10aが検出され、ほとんど青枯れの状態にあった。
   このように通常の4倍近くも投与した理由を聞くと“苦土を入れることで味が良くなる”というので毎作、投与してきたということであった。

★ Mgは主に葉緑素の成分である。葉などに含まれるMgのうち、葉緑素の成分は約10%位ではないかといわれている。残りのMgは炭水化物代謝などの生理作用に関与し、蛋白質の合成など多くの酵素に関与するなど重要な働をしている。Mgがその条件を満たしていれば酵素の働きが良くなり、生理状態は活発化することであるから、そういう意味では“味が良くなる”というのは間違いではないが、味即ちその風味はアミノ酸であり、正確にはMgは葉緑素の主成分と酵素の働きを促進する触媒であると言うべきである。★


 肥培管理の結論

 15日間に1回の割りで土壌の分析をし、それに基づいて追肥量を決定し施した。その結果、相当量の肥料分を施さねばならない事が判明した。また、その生育ステージに於ける肥料の吸収の速さや種類にも違いがある。それに伴ってpHについてもかなりの変動幅があることも理解できた。このことにより最低でも1ヶ月に1回は土壌分析の必要性がある。

 ハウスみかんの土壌のpHが低いにもかかわらず、CaOの追肥をしないのはpHの測定が不正確ではないのか、それとも石灰分を軽視いているのではないか。

 先ののデータから考えたハウスみかんの栽培では窒素・リン酸・加里の対策よりも、むしろCaOの追肥対策を如何に行うかの方が緊急の課題である。

  << 参考 >> pHの測定について
乾土10g+純粋50ml又は1規定塩化加里液50mlを毎分30〜40回の振とう器で1時間振とうして、懸濁液のままpHメーターで測定する。
(振とう方法は正式には時間ではなく回数で規定されている。30回/分×60分=1800回以上の振とうをしなければならない。)

  << 注意 >> 石灰の測定値
石灰の測定には精度が要求される。この分析値について方々で見せられるが、石灰の分析値は殆んどが高い目に検出されていると断言できる。特に、振とう回数1800回を遵守する。また、分析者は硝酸態窒素と石灰の比率を参考にして検討し、判断材料の一つとする必要がある。(試験管を数回振った程度では正確な数値は検出できない)


6.
追肥について

追肥は原則として液肥の方が望ましい。特に、石灰質肥料の炭酸石灰や苦土石灰は遅効性であるため吸収速度に欠けるから、硝酸石灰や塩化石灰などの即効性肥料を併用する。その場合の濃度は、浸透圧の理論による、0.5〜1.5気圧で使用しなければならない。

使用する肥料は『肥料一覧表』から選定する。手持ちの配合肥料がある場合には、袋の保証成分表を確認して使用量を割り出す。


U.温度管理と自動温度調節器の信頼度

1.予措加温

被覆材の展張は、加温を開始する前に早めにしておく。

被覆をしてからの加温の温度設定は、先ず当該地区の夏季の平均的な温度や地温に近くなるよう、次第に上昇させていく。

本格的な加温時までの設定温度は、昼間のハウス温度をその加温温度より5℃位下までになるよう設定する。

被覆材としての農ビは毎年更新する。1年を経過した後の透光度は40%%以下となる。これは、特にハウスみかんの発蕾〜果の成熟までの光合成量を考えた場合、この光量では不足することが懸念される。


2.発蕾時の加温

28℃を上限とする。
土壌分析をしながら栽培した場合、土壌の管理がしっかりなされるので高温に起因するとよくいわれる“瓢箪ヒヨウタン型の奇形”は余り問題視しないで良い。


3.自動温度調節器の信頼度

イ)自動温度調節器(サーモスタット)にはガス式と電子式がある。また、高湿度の温室では錆のため作動不良となるので常に点検を励行すること。

市販の農業用のサーモスタット(ガス式)を過信してはいけない。ガス式は28℃に調節しても±5℃前後の誤差で作動する。 ±5℃前後の誤差とは28℃+2.5℃=30.5℃前後で換気扇がONとなり、28℃−2.5℃=25.5℃前後で換気扇がOFFになるということを繰り返していることである。

この点、電子式のサーモスタットは通常±0.5℃の誤差の範囲で作動する。しかしながら、メーカーや商品によっては精度に難があるので購入時に良く説明を受けることが大事。また、電子式はガス式に比べて雷やインバーターなどから発するノイズによる影響を受けやすく、これらが原因で誤作動や故障が生じることが多々ある。この対策を考えておく必要がある。(電子式をメインサーモにしてガス式をバックアップサーモとして使用すれば安全度が増す)。

ロ)サーモスタットの設置

感温部(センサー部)は直射日光を避ける。
水平に取り付けて感温部は風上に設置する。
感温部に陽よけや・雨よけカバーの覆いをした場合、カバーの中に入れてしまわない。感温部は常に新鮮な空気に触れさせておく。

取り付けの位置
1個のとき  樹高×2/3のレベルでハウスの中央付近。
1000u当りに3〜4個を取り付ける必要がある。セントラル・コントロール方式を採用し温度のムラを少なくなるようにする。

ハ)加温終了時の取り扱い

ガス式・電子式の違いはあるものの基本的には、、、、
温度目盛りダイアルは最高温度に設定して、次年度まで暗冷所に格納しておく。(主にガス式)
取り付けたまま放置しておいてはならない。(特に、電子式=雷による被害回避)
ガス式では28℃に設定したままでハウス内に放置すると夏季になった時、昼間ON・夜間OFFを繰り返すこととなり、翌年の使用開始時期には故障をしていることがある。
ガス式では機械式構造になっているため錆の問題が、電子式では雷の被害が、多いという問題を特に考慮すること。

4.傾斜地のハウス内温度の均等化

 << 夜 間 >>
夜間必要な暖房機の選定は下記の公式で計算すると良い。
 6〜7Kcal × ハウス規模(u)×(室内設定温度℃−外気温度℃)=必要エネルギー(Kcal)

@ 暖房機はハウス内の高い場所に設置し、送風ダクトで低部の方へ送る。
A 暖気の集中する高部への暖房送風量は少なく制限する(ダクトの本数を減らす、吐出穴の数を減らす、吐出口の口径を絞るなど)。
B ハウス内に数枚のカーテンを水平方向に吊るし、上部の暖気が移動するのを止める。

  << 昼 間 >>
換気扇(羽根径100cm)は7月過ぎる頃まで使用するので、その設置台数は1台/100uとすること。
吸気口は電動式(吸気面積は1u)を換気扇1台に付き1.5台〜2台が必要である。
 換気扇は1000uの場合 : 1000u ÷ 100u = 10台、 吸気口は : 15〜20台が必要。

@ 換気扇は低い方の妻面側に設置する。吸気は高い方の妻面の吸気口から導入する。
 冷たい空気は比重が重いから自然に坂を滑り落ちていく。
 逆に、換気扇を上側に設置して吸引すれば暖気を引っ張り上げることとなり、フェーン現象が反って酷くなる。それ故、吸気位置側で高温障害を来たすこととなる。
A 暖房機は、昼間もファンのみの手動運転とすることでサーキュレット(温室内の攪拌)としても使用できる。
B 屋根部に天井用電動シャッター(自然吸排気)や天井換気扇(強制排気)を点在して設置すると、より効果的である。


V.灌水と灌水時期

ハウス内の土壌は常に乾燥気味になる。樹下灌水設備を設けた上、土壌水分計などでデーター管理しながら適度な灌水を行うようにする。

1)灌水は糖度を増加させる
H2O + CO2 → 葉緑素+太陽の光エネルギー → CnH2nOn炭水化物 + O2

★ 植物は水と炭酸ガスを吸収して葉っぱの中の葉緑素にて太陽光をもらって炭水化物(糖分)を合成する。そして、酸素を吐き出すのだが、厳密にはここで水分も吐き出している。
従って、注−1)12H2O + 6CO2 → 葉緑素+太陽のエネルギー → C6H12O6炭水化物 + 6O2↑+注−2)6H2O↑  と最近の高校生物では学習している。


注−1)
12個の水分子はこの水の分解と注−2)で行われる反応(CO2の固定反応)の為の補酵素(NADPH2)を生成する為の水分子が含まれていることを明確にするために12分子と表示している。
注−2)
CO2の固定反応(カルビン・ベンソン回路)で生成される水分子をはっきりと示すために表示したものである。

炭水化物(グルコース) =  ブドウ糖(grape suger)のこと。甘みは蔗糖の1/2。
蔗糖(サッカロース)  =  砂糖のこと。

★ 水を断つ(水を切る) → 樹・果共に水分不足 → 果は萎縮(甘く濃縮) → 樹木を傷める → 改植しなければならない。


2)夏季の灌水 ・・・・・・ 必ず、夜間に行う。(昼間はハウス内の気温や地温の低下を来たす)

3)ループ配管 ・・・・・・ 吐出水量の均等化。


W.果実の旨み成分の形成

1)甘みの形成

@ 炭水化物(糖分)

   六炭糖

a)ブドウ糖 英名:グルコース C6H12O6  式量:180.16
遊離形で甘い果実、その他の植物組織に多量に存在する。

ブドウ糖 英名:グルコース    @)麦芽糖



A)蔗糖



B)乳糖
英名:D−マルトース。  C12H22O11  式量:342.30
還元性二糖、発芽中の種子などに存在する。甘味剤に使用され、水あめの主成分。甘味は蔗糖(サッカロースまたはスクロースとも呼ぶ)の1/3である。

英名:サッカロースまたはスクロース。  C12H22O11  式量:342.30
テンサイ糖とも呼れ、砂糖のことである。サトウダイコン(汁液20%)、サトウキビ(汁液10〜15%)には貯蔵糖として存在する。甘味剤や菓子原料として使われ、甘味はグルコースの2倍

英名:ラクトース。 C12H22O11  式量:342.30
哺乳類の乳汁に遊離した形で含まれる(人乳6.7%、牛乳4.5%、鯨0%)。植物ではレンギョウの花粉中に含まれる事がある。α型は弱い甘味、β型の方がやや甘い。


b)果糖 英名:フルクトース C6H12O6  式量:180.16
             還元力を持ち、糖類中で最も甘味が強い。

果糖  英名:フルクトース       


2)酸味の形成

@ クエン酸  C6H8O7  式量:195.13

クエン酸     レモンやみかんなど柑橘類の果実に多く、またカビなどの好気性クエン酸発酵で作られる。
植物細胞内ではクエン酸シンターゼによりアセチル-CoAとオキザロ酢酸から生成し、クエン酸回路の中間体である。

Ca+2,Fe+2とキレートを作る。 クエン酸塩は微生物細胞のFe3+吸収を容易にする。


A ビタミン C ( L-アスコルビン酸 )  C6H8O6  式量:176.13

ビタミン C ( L-アスコルビン酸 )      


3)旨みの形成

料理をする際、だし汁をとる。これに使用するのは、昆布からはグルタミン酸、鰹節やいりこなどの乾燥魚はイノシン酸が旨みの成分としてある。これは何れもアミノ酸である。

@ タンパク質 ( 多数のアミノ酸が重合して出来た高分子化合物 )

国際名:プロテイン=ギリシャ語の第一人者,もっとも重要なという意味から由来している。
“タンパク質のないところに生命はない”と言われるほど重要な生理作用物質である。

一般式
タンパク質
  分子内にアミノ基−NHとカルボキシル基−COOHとを持つ化合物。 微生物や植物ではタンパク質合成に必要なアミノ酸のすべてを生合成する系を持っているが、 動物の約半数は食餌によって摂取する必要がある。

天然から見出されたアミノ酸は700種以上、タンパク質の構成々分と認められているのは20種である。 つまり、生体内に存在する主要アミノ酸20種のうち必須アミノ酸は9種、イソロイシン・ロイシン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・スレオニン ・トリプトファン・バリン・ヒスチジンであり、これらは生体内では合成されず、食事から摂取する必要がある。


グルタミン酸  C5H9NO4  式量:140.13

グルタミン酸  


昆布、チーズ、緑茶などに大量に含まれ、その他椎茸、とまと、魚介類に比較的多く含まれている。

<< 参考 >> グルタミン酸ナトリウム(味の素)  C5H8NNaO4  式量:169.11
植物が窒素を吸収してアミノ酸から蛋白質を合成していく過程、そのコクや風味を作っている。

『 植物体に於ける硝酸のアンモニア還元 』

植物体に於ける硝酸のアンモニア還元

植物が吸収した硝酸態窒素はモリブデンフラビン酵素の働きによって酸素を1個取られて亜硝酸となり順次たんぱく質に変化していく。そこには、必ず触媒としての金属が必要であり、その金属で酵素は活性化することになる。

従って、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、などのいずれが欠乏しても蛋白質は植物体内では形成されない。特に、最入り口のMoが欠乏した場合、窒素として吸収された硝酸は植物の体内にそのまま残留する。この場合、この植物を食したら苦い。食べ続けると翌朝に目を覚ますと目ヤニが出るようになる。これが今話題の残留硝酸塩である。

この硝酸塩の基は窒素であり、蛋白質の重要因子である。また、上述にあるような酵素も蛋白質そのものでもある。このように合成されたタンパク質は“タンパク質のないところに生命はない”と言われるほど重要な生理作用物質でもある。その様に重要な蛋白質の必須成分である窒素分は少なくするのではなく、この還元過程を促すような手法を採用しなければならないのである。

 表−L 温州みかんのアミノ酸組成(科学技術庁資源調査会報告書第102号から)
注@ たんぱく質の単位はg/100g
mg/食品可食部100g当り






注@










  含硫アミノ酸   芳香族アミノ酸  




























































0.8 16 28 31 7 10 17 17 10 27 18 5 22 11 58 37 84 57 19 81 33

4)みかんの美味しさ

みかんの美味しさを探求する手法を上記の項では理論分析して見た。ここでその手法の整理をする。

まず、植物は太陽から光エネルギーをもらい、水と炭酸ガスを使って光合成をしている。炭水化物つまり甘味の成分である糖を合成する。次ぎに、その糖は植物が呼吸をするためクエン酸回路に入ろうとする。この回路では酸味の代表であるクエン酸やリンゴ酸などの有機酸を分解・合成している。この時つまりこの回路に入る際、重要になるのがピルビン酸脱水素酵素という酵素の働きを借りる必要があるということである。

ここで現在の農業事情には二つの問題点がある。一つ目の問題点に皆さんは、微量要素は堆肥などを使っているから何時も土壌に存在している、と考えていること。二つ目は微量要素を使っていても、その市販品の殆んどがEDTAであることである。このようなEDTAを微量要素として使った場合、果たして良いのかという問題点である。

この項をリンクしてもらうと分かるが、EDTAは農学者の間では安定していると論じられている。処が理学者の間では呼吸回路が阻害されている可能性のほうが高いと論じる報告まである。若し、後者たちの意見が正しいとしたら、EDTAを使うことによりクエン酸回路の働きは鈍り、植物は代謝がうまくできないという悪循環に陥って行く。その結果、作物は元気を失い生長も遅れる訳である。このクエン酸回路は植物代謝の根幹である、すべての作用にも影響を及ぼすこととなる。

ここまでで、甘い事と酸っぱいことが分かった。それではその美味しさはどうなるのか?皆さんは、食卓や台所で旨味を増す為に“味の素”を使うでしょう。この“味の素”はL-グルタミン酸ナトリウムというアミノ酸である。昆布の旨み成分から発見されたものである。アミノ酸は窒素がタンパク質合成過程の際、必ず生成される物質である。

この種のアミノ酸は23種ほどあると言われいる。その各々のアミノ酸の量が色々の比率で混ざり合い、みかんはみかんの風味をトマトはトマトの風味を醸し出しているのである。そして、その過程には酵素が働き、その酵素のためには各種微量要素が必須とされているのである。だから、ここでも必要量の窒素は絶対に確保すべきで、その上で微量要素の投与を続ける必要があるのである。

ここで、甘味と酸味と風味の三つが絡み合った。やっと、美味しいみかんとなった訳である。そこで、もっと美味しくする為には果肉を極め細やかに作ることである。浮き皮や軟果や生理落果などになっていては絶対ダメである。果は締まっていなければならない。極め細やかに組織になるということ、つまり、組織が密になるということはその数が一個あたりのみかんに対して多くなるということでもある。

ここには細胞の分裂という理論が関わってくる。この細胞分裂には石灰質の肥料を抜きでは語れない。このようにして出来た、極め細やかな組織の中に、この三味(甘・酸・旨味)がびっしりと詰め込まれる。その組織の数は多ければ多いほど良く、そのコクは強くなる。

また、このようにして出来た果は取立てより2〜3日経過した方が美味しい、取立てが美味しいと言うのは厳密に言うと間違いである。少なくとも普通の栽培ではそうかもしれないが、我々では違う、その違いが明らかに分かるのである。微量要素が効いていると、果を取った後もその果の中で合成・分解は盛んに行われており、窒素は旨さに変わっていく。また、取立てでは少し酸味があったのが甘味に変わっている。

そして、本当のみかんでもトマトでも糖度は水切りしたようには甘くならないが、そのように苦労して(水切り)して栽培した果と比べても、遜色ない十分な美味しさである。それは食べた後でもその風味が口の中に残るのである。従って、これはトマトで経験したことであるが、我々の作るトマトは糖度6.5〜7.0もあれば十分で、これは普通の9.0以上のものと同等に感じる。これはその風味の醸し出し方だと思う。

残念ながら、私たちは先のように水を与えないで栽培して甘味を増したものにはコクと風味を感じることがない。むしろ、植物組織が要素不足の為に木質化して例えば皮が硬かったり、水分が少ない為に食べ辛く、違和感を感じることが多い。

さて、以上のような事を長々と述べましたが、皆さんは水切りのような事をして栽培したものが本当に美味しい、瑞々しいと感じていますか?
また、その様な植物生理学を無視するような栽培をしなければ、本当に美味しくならないのかどうか、どう考えますか?


X.その他

1)水田の転換畑、または地下水位の高い畑は

排水を良くする。 → 根に酸素が多く行き渡る → 細菌類の活性化 

@ 排水溝

A 暗渠排水設備

2)薬剤の散布

健全なみかんを栽培すれば殺菌剤は殆んど使う必要がないと思うが、殺虫剤の使用は必要と思われる。その場合、

@ 防除の時間帯は温度の低い、つまり気孔の閉じた時間帯(夕暮れ時)に行う。

A くん煙を最上とする。
但し、くん煙剤が被覆材に付着する可能性があるので注意。
透明度の低下 → 光合成が低下 → 病弱になり、品質が低下 (出来るなら部分的にテストをして使用する)

3)換気

ハウスの場合50℃まで短時間で一気に上昇するので注意をする。 → 高温で異常落葉。(特にCa欠乏のとき・・・4)項を参照)
  特記:但し、完全な肥培管理をなされた栽培では50℃付近にて1時間経過しても異常落葉をしていない。

4)冬季から早春にかけての異常落葉の原因究明(土壌の分析)について

    
 表−L  大分県杵築地区の例分析者:米澤農業研究所(S46.10.11)
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
サンプル
Kmは海岸から圃場までの距離
酸度
(PH:Kcl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標準値 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
A) 0.8 Km 6.55 1.25 0.73 17.72 38.18 475.55 33.76 異常落葉
B) 0.8 Km 4.88 1.94 0.93 23.63 47.60 141.68 23.18 異常落葉
C) 1.5 Km 3.45 1.51 0.66 11.82 19.37 84.87 10.08 異常落葉
D) 1.5 Km 5.27 1.72 1.20 11.82 38.30 173.25 12.59 異常落葉
E) 2.0 Km 6.60 1.44 1.20 73.85 47.60 402.60 58.45 落葉なし
F) 2.0 Km 6.16 1.48 0.59 10.63 22.63 227.96 49.89 異常落葉
イ)異常落葉(耐霜性、耐寒性の低下) ・・・・ A,B,C,D,F
  原因はリン酸の欠乏の影響が大きい

ロ)リン酸欠乏( 印 ) A,B,C,D,F
  石灰 欠乏( 印 )  B,C,D,F


Y.柑橘類の要素欠乏の症状と概略

 リン酸欠乏
欠乏部位の症状 欠乏要素 症    状 原    因  ・  そ  の  他
リン酸欠乏の葉
リン酸欠乏の葉
リン酸
P2O5
葉は垂れ下がり、葉脈の緑色は無くなる。全面が青銅色または紫がかった褐色となる。

異常落葉を生じて耐寒性もなくなる。

太陽エネルギー
 ↓
葉緑素
 ↓
ADP+リン酸(P)
 ↓
ATP(エネルギー貯蔵)
 ↓
新陳代謝のエネルギー
 ↓
リン酸を離す(ADP)
(このサイクルを繰り返している)

故に、P2O5が欠乏するとエネルギー欠落となり、新陳代謝は出来なくなる。

その為に生育は停止し、葉の葉緑素は斃死(へいし)(倒れ死ぬこと)して褐色化し落葉するようになる。


加里欠乏
欠乏部位の症状 欠乏要素 症    状 原    因  ・  そ  の  他
加里欠乏の葉(先端が枯れるのが特長)
加 里
K2O
葉の先端が黄褐色化し、果汁は少なくなる。また、個重の重量も減り、渇き気味の果になる。
加里は細胞内の水分の調整と関わりがあり、その膨圧を調整している

加里が欠乏すると

水分が欠乏する

植物の浸透圧は低くなる

蒸散は減少する

根からの養分の吸収が減る

結果、養分の供給も減少する
(悪循環を繰り返す)


石灰欠乏
欠乏部位の症状 欠乏要素 症    状 原    因  ・  そ  の  他
石灰欠乏の葉(石灰は移動し難い成分なので、根から一番遠い成長点に近い葉に多く発生する)
石灰欠乏の葉(土壌に石灰が不足すると、葉の養分が成長点や果肉に移動し始める。その時、このように葉の色が抜け出す)左右の葉は正常な葉の色
石灰欠乏の果(土壌に石灰が不足すると、果袋の中心部分が接合しない(青の矢印)、また浮皮(緑の矢印)となる。
石 灰
CaO
新梢(春芽、夏芽、秋芽)に良く目立つ。芽の葉は黄化し、完全に展開しても緑化が遅延する。

このような樹の果は裂果、浮き皮( 印)となり、果を横切断してみると中心に空洞( 印)を生じている。

このような土壌は酸性化しており、pH5.0以下では根は褐変して細根は少なくなっている。

耐寒性は著しく減少し、石灰欠が更に酷くなると葉は全面薄黄色になっていく、葉は薄く日光に透かしてみると濃淡がはっきり見える。

石灰が欠乏すると
中層が減少

細胞内の原形質流出

細胞枯れ死

空洞、葉緑素の減少

黄化


石灰は植物の細胞分裂に必須

分裂不能

裂果

(最大の問題点は収量減である)


苦土欠乏
欠乏部位の症状 欠乏要素 症    状 原    因  ・  そ  の  他
苦土欠乏の葉(苦土欠乏は下葉に発生する) 苦 土
MgO
古い葉から発生し、葉脈と葉脈の間の緑色が失われて褐変する。糖度が減少する。

アルカリの性質を持っているが石灰のように大量に使用しないため、土壌PHに対する影響度は少ない。

また、Mg2+電子は、酵素が必要とする金属の中では一番多い。植物代謝に於ける大変重要な金属である。

苦土は葉緑素の構成分子である。
a 型 C55H72O5・N4Mg ・・・・ 黄色 .
b 型 C5572O6・N4Mg ・・・・ 黄緑色
故に、苦土が欠乏すると
中層が減少

原形質流出

葉緑体が流出

葉緑素の欠乏

黄化

褐変

炭酸同化作用低下
(炭水化物不足や糖質減少)

糖度は減少する


 鉄欠乏
欠乏部位の症状 欠乏要素 症    状 原    因  ・  そ  の  他
鉄欠乏の葉(この写真は微量要素の総合的な欠乏症状だが、特に鉄欠乏が酷い。鉄欠は葉脈を残し、全面的に緑色が抜けていく

Fe
葉脈は緑色であるが、そのほかはすべて一様に黄緑色となり、更に欠乏が進行すると褐色化する。 葉緑素の母体である葉緑体は葉緑素a型160、b型70を有している。その他にマンガン2分子、鉄12分子、銅6分子がタンパク質と化合して葉緑体の新陳代謝に重要な関係を持っている。

その為、これらの何れが欠けても葉緑素の生産は減少し、その葉の緑色は減少して黄化し最終的に褐色化する。


 マンガン欠乏
欠乏部位の症状 欠乏要素 症    状 原    因  ・  そ  の  他
マンガン欠乏の葉(葉の周縁から枯れ込んでくる)
マンガン
Mn
葉の周辺から黄化し葉脈も黄化

褐変

枯れ死
要素欠乏と光合成量
(炭酸ガス固定)
  乾物当り 葉緑素当り
完全 100 100
−Fe 51 92
−Mn 36 57
−Cu 62 79
−Zn 38 55


 銅欠乏
欠乏部位の症状 欠乏要素 症    状 原    因  ・  そ  の  他

Cu
微細な丸型の黄
色の斑点が生じ

白化

孔となる
銅酵素(呼吸酵素=銅+タンパク質)

銅が欠乏した細胞

呼吸が不可能

斃死、故に微細な小さい斑点が出来る

病原菌が繁殖

病害が発生


 亜鉛欠乏
欠乏部位の症状 欠乏要素 症    状 原    因  ・  そ  の  他
亜鉛欠乏の葉(Znは成長ホルモンが関係するので必ず成長点が細くなる)
亜鉛欠乏の葉(葉脈と葉脈の間に帯縞状の黄色部が生じるのが特長)
亜 鉛
Zn
葉の周辺、葉脈は緑色で葉脈と葉脈の間に帯縞状の黄色部が生じる。

また、この症状が出るとそれから上位の葉は小さく節間が詰まる。

亜鉛は生長ホルモンを生成するのに必須のものであり、亜鉛欠乏となると生長が鈍化する。


  
 モリブデン欠乏
欠乏部位の症状 欠乏要素 症    状 原    因  ・  そ  の  他
モリブデン欠乏の葉(葉が巻いたり、シワが出来たようになるのが特長)
モリブデン
Mo
葉の周辺が表側に向けて曲がり、カップ状となる。

葉に皺が出来る。

耐寒性が減少。

柑橘類のタンパク質の合成が不充分となって、みかん特有のコクと香りが減少。糖度及び酸味共に減少し、水っぽい味になる。


 硼素欠乏
欠乏部位の症状 欠乏要素 症    状 原    因  ・  そ  の  他
硼素欠乏の果(黒い斑点が見える)
硼素欠乏の葉(葉が折れ曲がるのが特長)
硼素欠乏の枝果(枝の裂開が確認できる)
硼素欠乏の果肉
硼 素
B
果実の中心部が褐変。

果実に苦味が発生。

果皮に黒い斑点が発生。

枝や幹に裂開が発生。

硼素は石灰や苦土と共に作用し、ペクチンなどで生成された細胞壁をしっかりと固定しているとの報告がある。

土壌中に常に硼素が存在しないと生殖作用や成長点にも大きな影響を及ぼし、菜種の不捻、ナス果の落果や白菜の芯くされなど多々報告がある。

その他、大根の黒点病、きゅうり・とまとのつる割れなどがある。特に導管・師管などを保護して栄養分の移動を助けている。 その為、柑橘類や梅などでは着果にも影響を及ぼすなど植物の生長に深く関与している。


 = 完 = 




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