INDEX
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写真−1 |
写真−2 |
葉の先端が黄化しているが確認できます。これはK欠乏です。 更に、少し判りにくいですが葉脈と葉脈の間が黄化しているのも確認できます。これはCa欠乏です。 | これは四葉(スーヨー)です。葉の周縁が黄化しているのが確認できます。・・・K欠乏です。 |
写真−3 |
写真−4 |
葉の先端が少し黄化しています・・・K欠乏(▲印)です。 それよりも重要なことは、成長点の生育が止まっている事です。これを上から覗いてみますと・・・・ |
葉の先端が黄化しています、これはK欠乏(▲印)です。葉と葉の間も黄化しています・・・Ca欠乏(▲印)です。 成長点は伸びが止まり一塊になっているように見えます。これはホウ素(B)の欠乏(▲印)です。 低温の時にはこの様になることがありますが、この時は暖房の最低温度を18℃にしていましたので低温によるものではありません。 近年の研究では植物体内に於けるBの働きはかなりの部分で解明されてきています。 その論文によると、 Bは常に新しく補給されていないと組織が上手く形成されず、その為に成長点や受精に影響を及ぼし、その欠乏となった植物の花や実は落ちてしまいます。 また、Bは養分の通る道、即ち導管や師管を保護する働きがありますので、この欠乏を来たすと大変厄介なことになります。 |
写真−5 |
写真−6 |
このような葉を多く見かけます。葉に縮みが入ってカップ状になり、葉の内部に鮮明な黄色の部分が発生すると共に、
葉の「縁」から内部に向かって黄化し、葉は小さくなっていきます。 カップ状はモリブデン(Mo)欠乏、内部の黄色は亜鉛(Zn)、「縁」の黄色はマンガン(Mn)の欠乏です。 Znは植物の体内で成長ホルモンを作るのに不可欠の金属です。 Znが欠乏すると欠乏症状が出た葉から上部にある葉は極端に小さくなります。 |
これは極端なMo欠です。Mo欠になりますと、キウリとしての大切なタンパク質が出来難くなると共に、
ウィルスに対する抵抗力がなくなります。 そしてタンパク質が出来難くなるということは日持ちが極めて悪くなるということを意味します。 |
写真−7 |
写真−8 |
礫耕でKの追肥を抑えてK欠を故意に発生させました。 キウリのK欠の特徴はこのように @ 葉の「縁」が黄化 A キウリは先細り になることです。 根元が太くなる症状もありますが、このような時はアンモニアの過剰障害です。 |
葉脈は鮮明なグリーンをしていますが、他の部分は黄化しています。
グリーンをしている葉は黄化する10日程前の写真です。 |
写真−9 |
写真−10 |
Fe欠乏が一面に出た圃場です。こうなるとFeの葉面散布をやっても効果は期待できません。 |
キウリの下葉は枯れています、これは苦土欠乏です。
苦土は植物の体内でたやすく成長点に移動します。 土壌に苦土が不足すると植物下部の体内の部分の苦土が上方に移動していきますので、結果として下葉から枯れ上がってくるのです。 黄色くなる原因は細胞ー12・13を参照 |
写真−11 |
写真−12 |
同じように下葉が黄化しています苦土欠乏です。 また、この写真は全体的に萎れています。これは肥料の与えすぎです。肥料塩積算障害です。 この特徴は夕刻以降、再び回復をします。 10、11の苦土欠は何れも施肥過剰による障害です。拮抗作用による欠乏です。このような時は、肥料は一切入れない事。 灌水は夕刻以降少量する。10時と14時位に葉面散布を励行。次作の元肥には堆肥は使わない、 ピートモスを2〜3000kg/10aを入れる。(兎に角、肥料分を薄める作業が大事) |
右の葉の黄色の斑点はベト病と言われています。中央の葉の葉脈はグリーンで葉脈と葉脈の間が黄化しています。Fe欠乏の中期症状です。 ベト病はFe欠乏です。 |
写真−13 |
写真−14 |
これは同じウリ科の仲間のメロンの写真です。中央の葉の周辺が少し幅広く黄味がかっています。 キウリにもこれと全く同じ現象がでてきます。これはリン酸(P)欠乏です。 | これもメロンの写真です。葉の右側の周縁に黄化が見え始めています。これはマンガン欠乏の初期です。 これとともに葉全体に黄色の斑点も確認できますが、これはFe欠乏です。 この葉はマンガンと鉄が欠乏した複合的な症状です。 |
写真−15 |
写真−16 |
赤土は乾燥すると土に亀裂が出来るからというので、海砂を客土したところ、このような現象が発生しました。
海砂に含まれる海水の成分である塩素(Cl)によってリン酸の吸収が抑えられ、 そのために新陳代謝のエネルギーが失われて、 下から5〜6枚の葉に見られるように激しいFe欠乏症状を示しています。
新陳代謝のエネルギー源は |
黄化した葉は周縁から黄褐色になっています。これはマンガン(Mn)の欠乏です。 < ひとことメモ >リン酸(P)を多く入れると味がよくなるとか、花では色が良くなると言っているのをよく耳にします。 そうではありません正確には、リン酸の働きはエネルギー代謝に深く関わることです。 |
写真−17 |
写真−18 |
一見キウリの緑班バイラスに見えますが、木は枯れ死していません。
普通、緑班バイラスの場合このような幼果が発生すると1週間以内にほぼ全滅してしまいます。 この時、土壌分析をしませんでしたから、原因を究明し断定はできませんが、色々な事例と照らし合わせて比較しますと硼素欠乏の疑いが多分にあります。 |
写真−8でFe欠乏を見ました。これも同様、周縁の黄化した葉はK欠乏のように見えますが、この症状はFe欠乏の初期です。 |
写真−19 |
写真−20 |
マンガンと硼素( ▼印部)、鉄の複合的な欠乏です。 | マンガンの欠乏です。葉の周縁から黄化しています。 |
写真−21 |
写真−22 |
一見すると斑点細菌病のように見えます。この特徴は黄色斑点と斑点が発生している部分の「ちぢみ」です。 これは硼素(B)の欠乏です。 |
この写真は「苦瓜」です。葉の周辺の緑色が薄くなりバイラス症状に似ています。この症状は塩素の過剰障害です。 塩素は10a当り15kg以上検出されれば有害とされており、 その主原因は未発酵の牛・豚の糞尿堆肥を使用するからです。 牛・豚の糞尿堆肥は必ず、被覆しないで野積みとして、大量の雨水にて食塩分を流亡させた1ヵ年以上経過したものを使用します。 (堆肥はすき返しを励行し良く空気を与えること、その場合、菌を補給するため10%程度の未消毒の土壌を加える。 また野積みをする場合は行政と良く相談して下さい) |
写真−23 |
写真−24 |
モリブデン(Mo)とKの欠乏した複合症状です。葉がカップ上になる(Mo欠)、葉の先端が黄化する(K欠)がそれを示している。 | 同左 |
写真−25 |
写真−26 |
中央に見える葉脈間の黄化部分は石灰欠乏を示し、他の緑色の部分は黒っぽい深い緑色になっています。 このどす黒くなった色はリン酸の過剰を示します。 | これは銅(Cu)が欠乏すると現れる症状です。これがもっと進行しますと・・・・ |
写真−27 |
写真−28 |
このように酷くはっきり現れてきます。鉄欠乏のベト病ではありません。 |
葉脈間にはっきりと緑色が抜け落ちる感じのクロロシスが確認されます。これは石灰(Ca)の欠乏です。収穫が増えてくると特に発生します。 このような場合、硝酸石灰を4kg/1トン当り(=週2回程度で良い)を灌注します。 |
写真−29 |
写真−30 |
これは塩素(Cl)の過剰の写真です。 このように葉の周縁が真っ白に枯れています。塩素が圃場に入る原因として考えられるのは、
@外材を使った大鋸屑堆肥を脱塩処理をせずに使用した。 また、銅の欠乏も見えます(▲印)。 |
塩素の害(▲印)。 |
写真−31 |
写真−32 |
写真−28のようなCa欠乏症状のキウリにはこのような実がつきます。
内側の種子は小さくなり同様に組織も生育不良になりますから必然的にキウリは曲がります。 キウリの曲がりはCa欠乏であり、中央付近の黒い穴は硼素の欠乏です。 |
この写真は原因を断定できません。栽培現場の状況を説明しますと、この圃場は用水を雨水に頼らなければならず、排ビニールを利用してタンクを作り、 そこに水を貯めて灌水を繰り返した処このような症状が発生しました。 |
写真−33 |
写真−34 |
更に灌水を繰り返したところ症状は酷くなるばかりでした。また、散水量の多いところほど悪いので、 シートをブルーシートに交換した処、落ち着いたとの報告がありました。 これは農ビから溶出する重金属の害ではないかと推察しました。 |
その時の、根の状態です。毛根は殆どありません。 後年、水耕栽培ミツバでクロム鍍金した金属材料を浸けて様子を監視したところ類似した現象になりました。養液を換え金属を取り除いたら回復しました。 農ビには伸縮性を持たせる為、可塑剤を用います。これには重金属が含まれています。一方、伸縮性が不必要なブルーシートではポリエチレンが主体です。 重金属は分析しても確認できないくらいの極微量でも人体・植物に害を及ぼします。農ポリは燃やせる、農ビは燃せないというのはこのような理由です。 |