( 写 真 と 解 説 )
INDEX
1. 前 書 き 編 . 2. 理 論 編 (細胞分裂) . 3. と ま と 編 . 4. き う り 編 . |
5. な す 編 . 6. い ち ご 編 . 7. す い か 編 . 8. ピーマン編 . |
9. 大 根 編 10.< カーネーション編 > 11. 薔 薇 編 . 12. 菊 編 . |
13. シクラメン編 . 14. ユ リ 編 . 15. ぶ ど う 編 . |
写真−1 |
写真−2 |
カーネーションのワイ化現象が確認できます。 |
ワイ化現象を接近して撮影しました。この原因は硼素(B)と亜鉛(Zn)の複合的な欠乏です。 また、モリブデンの欠乏症状も見えます。(▲印)葉が内側に巻き込んでいます、 このような症状になると、カーネーション特有の葉がくるっと巻く現象は起こりません。 |
写真−3 |
写真−4 |
同じくワイ化現象です。 |
上位の葉が黄化(▲印)し、
更にその先端は少し褐変(▲印)しています。葉が黄緑となっているのは石灰(Ca)欠乏であり、
先端が褐変しているのは加里(K)欠乏です。 Ca欠となると細胞分裂が出来難くなり、葉の厚みはなくなります。これに水分調整の役目をするKが欠乏すると、 日中、根から吸い上げた水分の上昇は少なくなり、葉から蒸散した分だけ水分の体内補給ができません。 そのようにして植物は昼間“だらり”と萎れていく訳です。
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写真−5 |
写真−6 |
中央の節部が大きい茎曲がり(▲印)はアンモニア態窒素の過剰障害です。油粕などの有機物を完全に腐熟させないで使用すると、
このような症状を来たします。 粉末の油粕は遅効性と思われていますが実は速効性であり、温室内の水分を含むと分解してアンモニア態窒素に変化します。このとき、この曲がりが発生します。 更に1〜2ヶ月を経過するとその成分のアンモニア態窒素は硝酸態窒素に変化し、いつの間にかその曲がり現象は無くなってしまいます。 |
左下にカーネーションの花首が少し曲がっている(▲印)のがあります。このような曲がりが真っ直ぐになったときの痕が、
この中央の茎に残った2ヶ所“ツブツブ傷”(▲印)です。 これは薔薇の花首の傾げ現象と同じで塩素(Cl)の欠乏です。
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写真−7 |
写真−8 |
花の首傾げの“ツブツブ痕”の所(▲印)を切断して顕微鏡写真にしました。 このように茎の表面は裂けています。 | 葉の先端が折れ曲がって、お辞儀をしている(▲印)ように曲がっています。この症状は皆さん気は付いていないようですが、 どこでも見受けられます。Bが欠乏する圃場に多く見られます。 |
写真−9 |
写真−10 |
これからの6枚(H〜M)の写真は花の色と日持ちについて考えてみたいと思います。
まず、カーネーションのニューレッドを井戸の水と同じ井戸水にチタンという金属とクエン酸を加え有機態にして、
溶液を作り、そこに浸しておいたらどうなるかいうと実験をしたものです。
(写真−10) これはどういう理論になるかというと・・・・ 植物でも動物でも生物は呼吸をするためにタンパク質や炭水化物、脂質を分解・合成しながら、 いろいろな物質に変えて酸素を吸収し、炭酸ガスを排出しています。 |
このいろいろな変化する過程の生産物質の一つにクエン酸があります。
このクエン酸を外部から与えてやりますと、植物はそのクエン酸によって呼吸を行うことが出来ます。 今まで体内に蓄えておいたタンパク質や炭水化物、脂質を分解・合成する必要がなくなるのです。 植物はその物質生産に対するエネルギーの消耗をしなくても良いという事になります。 つまり体内エネルギーを温存できますから元気が出る。結果、日持ちがよくなる訳です。 だからと言って、体内に蓄積した養分を全く消耗しないかと言うと、そのような事ではありません。 切り花が養分を全く消費しないと言う事は永遠に枯れないという事になりますが、そうではありません。 それは日持ちが良くなるという事です。梅干が体に良いよ!とか、みかんは疲れをとるよ!とか、 また市販のドリンク剤を二日酔いの日に生理的に欲しくなるのはこのクエン酸なのです。 |
写真−11 |
写真−12 |
菊の花弁をペーパークロマトグラフィーにて分析した金属成分の分布図です。 白を分析するとニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)が合わさってこの色をつくっています。 また、この図にはありませんがFeを多量に吸収してNiとCuで赤となり、これにモリブデン(Mo)が加わると紫色に、 更に、Moがチタン(Ti)に入れ替わると黄色になります。 つまり、この図を見れば、花や野菜(なすやぶどうの紫色)で色が呆けるといった事はこのような金属が不足しているということが分かります。 |
写真−Hのニューレッドは礫耕で栽培したものですが、これにFeだけを2週間全く追肥しないと、
花はこのようにピンク色となりました。 皆さんの赤色の花で鮮明な色にならないのは土壌のFeが欠乏するからです。 |
写真−13 |
写真−14 |
これはシクラメンのチタンを与えないときの花弁の表面の顕微鏡写真です。 少し紫がかった赤色です。 |
これはチタンを加えた花弁の写真です。 写真−13よりは鮮明な赤となっています。 これは黄色が加わるから鮮明な赤になるわけですが、赤色に黄色を加えると朱色になります。 その朱色が鮮明な赤として我々の眼に感じる訳です。 |
写真−15 |
写真−16 |
カーネーションの塩素過剰障害です。牛糞、豚糞を固形分離しないで使用した場合、排出された塩分が残留しています。 この塩分を除かないで使用すると、このような症状を来たします。 |
以下6枚の写真(16〜21)はカーネーションの生産団地で撮影しました。 葉の先端の曲がり(▲印)は写真−8と同様に硼素(B)の欠乏です。 |
写真−17 |
写真−18 |
硼素が欠乏することによって、葉の導管部は硬化し、細胞は局部的に枯死して褐色の斑点 (▲印)が生じています。この特徴は葉の表裏が同時に褐色の斑点となることです。 | 写真−17に同じ。 |
写真−19 |
写真−20 |
根際の茎の導管部が硼素の欠乏のために硬化(▲印)しています。 その為に夜間の養分の転流は行われなくなり、養分は根に導かれません。 その結果、根は枯死同様となり根の張りもなくなってきます。 |
同じく硼素欠となっている茎です。硼素の欠乏特有の茎の烈開(▲印)症状が見えます。 |
写真−21 |
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左の葉には周縁から少し紫色となって変質したような枯れが見えます。(▲印)これはマンガンの欠乏です。この特徴は葉の縁側から段々と内側に枯れ(黄化→褐色となる)が進んで来ます。 |